著者 : 田口俊樹
美人でスタイル抜群ながら、なぜか男運に恵まれない、その名もジョレイン・幸運。強靭な独身女性だが、動物にだけは弱いという彼女が、男と別れたときの自分の年齢の数字でロトくじを買ったところ、なんとこれが大当たり!賞金は2800万ドル…ところが、当たりくじはもう1本あった。悪いことに、それを買ったのは、ネオナチもどきのちんけな犯罪者2人組。このトチ狂ったコンビが、アメリカを陰謀から守るため、なぜかジョレインの当たりくじに目を付けてしまったから、話は面倒な方向に。
やる気のない新聞記者トムが、当たりくじの取材にやってきた。もちろんジョレインのほうはお呼びじゃない。そこへ例の2人組が登場、よせばいいのに、ジョレインの当たりくじを力ずくで奪おうと挑戦。ただ殴られるようなジョレインではなかったが…突如はじまる超高額宝くじ追跡劇に、ふりふりの巨乳ウェイトレス、ミュージカル『羊たちの沈黙』の主演女優、犯罪界の大立者に、聖なるカメまでからんで大混乱!異能のベストセラー作家が贈る、当意即妙抱腹絶倒感動必至の傑作。
妊婦が惨殺されたー臓器と胎児の脳を摘出されて。ジミー・パス刑事はいきなり壁に突き当たる。押し入った形跡なし。被害者に苦悶の表情なし。犯人を目撃したはずの人物も、いっこうにその特徴を覚えていない。手がかりは、母体から検出された多種多様な化学物質と、現場に落ちていた奇妙な木の実だけだった…。知と血が絢爛に交錯する驚愕のスーパーナチュラル・スリラー、登場。
凶行は繰り返される。その動機も犯人も知っている人物はただひとり。身元を偽った人類学者ジェイン・ドウーいま、彼女が仮面を脱ぎ捨て、犯人の前に立ちはだかる時がやってきた。風がやんだ炎暑のマイアミ。都市機能が麻痺し、警察も市民も奇行に走るなか、呪術師たちの戦いが火蓋を切るー。文化、科学、宗教、人種と、21世紀が抱える難題を巧みに織り込んだ力作に全世界が瞠目。
深夜の市を徘徊する不眠症の作家チャーリー・バクスターは犬を散歩中に友人ブラッドリーに出会う。離婚し落ちこんでいたブラッドリーに、周囲の人々の恋愛体験を基に小説を書くよう勧められたチャーリーは、よそに女をつくって家を出たブラッドリーの最初の妻、勝ち気な美人弁護士の次の妻、元ジャンキーに一目惚れした愛らしい娘、不良息子との折り合いに悩む哲学教授らに、それぞれの最もプライヴェートで、でも話さずにいられない愛の問題を語ってもらい、『愛の饗宴』という珠玉の物語にまとめてゆく-ありとあらゆる愛の形を織りこんだ、おかしくて哀しい究極の恋愛群像劇。全米図書賞最終候補作。
映画化原作ーー世界のノワール・ファンを震撼させた名作がニック・カサヴェテス監督で映画化。 「このミステリーがすごい!」第1位! イギリス推理作家協会・最優秀新人賞受賞! 「ゼロ年代ベスト・ミステリ」第3位!(早川書房「ミステリが読みたい!2011年版」) 時代を超えて衝撃を与えつづける〈暴力の詩人〉ボストン・テランの不朽の名作。 憤怒。それを糧にボブは追う。別れた妻を惨殺し、娘を誘拐したカルト集団を。復讐の旅の道連れはケイスーー奴らに捕らわれ、その地獄から生還した女。敵の棲む砂漠の彼方、文明の果ての荒野へと、ふたりは憎悪と銃弾を手に踏み込んでゆく。 鮮烈にして苛烈な文体が銃撃と復讐の宴を描き出す。異形の言葉たちが高熱のとぐろを巻いて唯一無二のグルーヴをうねらせる。発表とともに国内外の作家・評論家の絶賛を受け、刊行から20年を経てもなお熱っぽく語り継がれる、ゼロ年代最高のノワール。
英国商社シングル&シングル社の重役が、トルコの丘で銃殺された。時を同じくして、同社社長の孫娘の信託口座に、スイスの銀行から五百万ポンドもの大金が匿名で振り込まれる。度重なる異常事態から、社長である父の身の危険を察知したひとり息子のオリヴァーは、過去の確執を越えて、失踪した父親の行方を追うが…。混迷するロシアを背景に、冒険小説の巨匠が、父と子をめぐる愛憎を濃密に描く傑作長篇。
猫はきらいだ。家は持たない。群れることもない。女性にはやさしい。若者には時にきびしい。人間には頼らない。そして困っているものはぜったいに見過ごせない。義侠心に厚く、自立して生きる犬のローヴァーが出会う、都会の片隅の、心に残る小さな出来事。
アメリカ南部の島ジェイムズ島にあるメイナード邸で、不可解な“事件”が頻発する。何者かに案山子が盗まれたり、武器室の斧が消えるという。さらに主人メイナードの言動も理解しがたかった。そうしたなかで殺人が起こる。鈍器で頭部を殴られたようだった。しかも殺人現場には、被害者以外の足跡がなかった。メイナード邸に客として招待されていたギデオン・フェル博士は、そこで最後の謎に挑むことになる。足跡のない殺人と限定された容疑者、百年前の惨劇と伝説、そして意外な真実とその動機。名探偵フェル博士の最後を飾る、長編本格ミステリ。
ーシルヴィアの悪夢は現実のものとなった。将来を約束していた恋人が溺死したのだ。そのときからだった。否定しようのない霊能力が発揮されはじめたのは…(「頭痛と悪夢」)。-’98年度MWA賞短編部門候補作「ダヴィデを探して」を含むスカダーもの3編のほか、軽妙なタッチで読者を楽しませてくれる泥棒ローデンバーものなど13編を収録。作品の幅の広さと、変化に富むシリーズものに冴えをみせるブロックの、上質なオリジナル短編集。
バーニイが経営する「バーネガット書店」でのある日。カウンターのバーニイが目をあげるとハンフリー・ボガートに関する本を差しだしている絶世の美女が立っていた。一目惚れしたバーニイとその美女イローナは、ボガートの話題で意気投合し、その夜から十五夜連続でボガート主演映画を上映する映画館に通うことになった。ポップコーンを分かちあいスクリーンに魅せられるふたり-でも、もちろんバーニイは泥棒稼業を忘れてやいません。キャンドルマスという変な名前の男に依頼されある高級アパートメントに書類鞄を盗みに忍びこみますが…。
シカゴの静かな郊外で自閉症の少年サイモンは国家の安全を脅かす最も危険な存在になろうとしていた。恐ろしいほどの数学的才能を持つ彼は、みずから知らずに国家安全保障局(NSA)の開発した超ど級難度の暗号「キウィ」を解読してしまったのだ。NSAに命を狙われるサイモンを守るのはFBI捜査官のアート・ジェファースンのみ。際限なき逃亡を続ける中でサイモンはしだいに愛と勇気に目覚めていく。
オレゴン州の片田舎ウィタカーで公選弁護人を務めるピーター・ヘイルは、数週間前まで父が経営するポートランドの大手法律事務所で働き、経済的にも父の援助で何不自由ない生活を送っていた。ところが、自らの無知と過信が招いたミスで大切な訴訟に惨敗。怒った父から、勘当同然でウィタカー行きを命ぜられたのだった。そんなある日、地元の女子大生が惨殺され、殺人容疑で知的傷害を持つ青年ゲイリーが起訴された。世間の注目を集めるこの裁判を勝利に導けば、莫大な報酬を手にすると同時に、父に自分の実力を認めさせることができる。不純な動機からゲイリーの弁護を引き受けたピーターだったが、天衣無縫な被告の人となりに接するうちに、次第に弁護士としての自覚と誇りに目覚めていく。だが、検察側の態勢は磐石。ピーターは不利な証拠の数々を突き崩すことができるのか!?人間ドラマの魅力とけれんたっぷりのミステリ趣向。“読者を眠らせない作家”マーゴリンがその真骨頂を発揮した疾風怒濤のサスペンス。
アル中更生施設で働く青年ジューヴェナルは、触れるだけであらゆる病を癒す“奇蹟”の力の持ち主だった。その力を当て込み、ひと儲けをたくらむ元宗教家が、若い女性リンを手先として更生施設に送り込んできた。ところが、リンは天真爛漫なジューヴェナルにこれまでの男性にない魅力を感じ、たちまち恋におちてしまう。策謀にからめ取られていく二人の恋の行方は?犯罪小説の巨匠レナードが新境地を拓いた傑作恋愛小説。
風光明媚な歴史の町バースに住むルンギ一家は、親子三代にわたって探偵事務所を営む“探偵家族”。戦後、裸一貫から事務所をおこした親爺さん、優しいママ、放蕩息子の長男サルヴァトーレ、妻のジーナと事務所を切り回す次男アンジェロ、経理担当の長女ロゼッタ、そしてやんちゃ盛りの二人の孫だって立派なメンバーだ。そんな彼らのもとへ、ある日近所の主婦がやってきて台所の洗剤がいつもの場所とずれているので調べてくれという。雲をつかむような依頼は、やがて思いもよらぬ展開を…。
シカゴの静かな郊外で16歳の少年サイモンは、国家の保安を脅かす最も危険な存在になろうとしていた。自閉症で、恐ろしいほどの数学的才能を持つ彼は、自ら知らずに国家安全保障局(NSA)の開発した究極の暗号『キウィ』を解読してしまったのだ。それは解読不可能といわれる、超ど級難度の暗号だった。NSAに命を狙われるサイモンを守るのはFBI捜査官のアート・ジェファーソンのみ。彼らを抹殺すべく次々と放たれるテロリスト、そしてネット上の罠。際限なき逃亡を続けるなかで、サイモンはしだいに愛と勇気に目覚めていく-。映画化決定。サイバースリラーの決定版。
息子は医者です。物騒な市の汚ない市営病院の、戦場みたいな救急治療科に勤めています。早くよそへ移ればいいのに。その息子が恋をしました。相手は同じ職場の掃除婦で、しかも子持ちの黒人でした。確かに息子も黒人です。でも、この女とは住む世界が違います。いったい息子は何を考えて…。緊迫する医療現場で献身的に戦う人々が、ひたむきに織りなす愛と勇気、情熱の人間模様。