著者 : 真野明裕
マフィアが仕切るカジノでイカサマを仕掛け荒稼ぎしたプロの賭博師ビーノは、そのために最愛の従妹キャロルを殺される。復讐に燃えるビーノは、マフィアの親玉・ジョーを追う女検察官ヴィクトリアを巻き込んで、一族の手を借りて大ペテンを仕掛ける。知恵の限りを尽くした騙しのドラマが今、幕を開けた!!果たしてその結末は…。
月曜日、セーヌ川の遊覧船の舳先に飾られていた年若い女性の生首。さらに、火曜日、水曜日と、欧州各地にばらばら死体の一部が届けられた。FBI欧州連合「ユーロポール」特捜班に抜擢された心理分析官クローディーンは、フランスを震撼させたこの猟奇事件の犯人像割り出しに取り組んだ。だが、彼女の必死のプロファイリングを嘲笑うかのように、惨殺体が相次いで発見されていく。
血液中の氷片、胴体に均等につけられた平行する傷痕。ばらばら殺人の遺体に残された不審な痕跡から、クローディーンは連続殺人事件の核心に迫っていった。しかし、「ユーロポール」や各国警察の思惑により、彼女の功績が実名入りで報道されてしまったことで、犯人側は、殺人リストに彼女の名を加えることに…。先端技術を駆使した捜査法をリアルに描出したサイコスリラーの傑作。
EU(欧州連合)版FBIともいうべきユーロポール。そこに誕生した初の心理分析官、クローディーン・カーターは、ソルボンヌ出身の才媛だ。連続殺人、臓器窃盗、悪魔信仰、ハイジャック、幼児売買、マフィアの復讐劇…国境を越え、民族を越えて頻発する猟奇、凶悪犯罪に果敢にいどみ、プロファイリングを駆使して犯人をあぶり出す。スリリングに展開する待望の新シリーズ12話。
21世紀の世界経済の鍵を握る人口12億の中国市場をめぐり、米仏両国の巨大資本グループは水面下で激しい経済戦争をくり広げていた。ニューヨーク・ミラー社の若手記者エリック・トゥルーエルは情報収集のためCIA工作官に近づく。しだいに彼は経済謀略の実体に迫り、ついにフランスが中国の生物兵器開発を援助していることを突きとめる。だが、CIAとの協力のなかで取材活動の範囲を逸脱していったエリックも、その運命を大きく変えてしまう-。
マグニチュード8.6の大地震により、東京は壊滅状態となった。国家機能の中枢は寸断され、秒刻みで死者が増えて行く。掠奪、暴動、疫病…。廃墟と化した首都に明日はないのか。惨状を見守る諸外国の対応は?『ザ・ハウス・オブ・ノムラ』で話題をさらったアレツハウザーが、精緻な取材とデータを基に日本の危機管理能力を鋭く抉る衝撃のパニック・シミュレーション。
警備会社に勤めるジャック・デヴリンは、社長から重大な仕事を託された。友人の息子がハワイで不審な死を遂げたので、調べてほしいというのだ。死亡した男は、ヴェトナム戦争の英雄で、デヴリンは戦地で彼に助けてもらった恩があった。デヴリンは悪辣な敵が待ち受けるハワイに向かうが…ハワイの街と熱帯雨林に展開する壮絶な闘い。迫真のアクション巨篇。
戦争で負傷したヘイスティングズは、旧友の招きにより、閑静なスタイルズ荘で静養することになった。しかし、彼はそこで、奇怪な事件にまきこまれることになる。別荘の所有者で富豪のイングルソープ夫人が、深夜、何者かによって密室の中で毒殺されたのだ。たまたまその村に居合せたもとベルギー警察の名探偵ポワロの緻密な推理が始まる…。ミステリーの女王クリスティのデビュー作。
マンハッタンで堅実な投資顧問会社を経営するファーは麻薬密売で逮補された息子の将来と引換えにFBIとの取引を受け入れた。カリブのカイマン島にファーは工作員数名と傍受装置を完備した投資顧問会社を作り、おとり捜査が開始された。巨額の資金洗浄を持ちかけてきたのはコロンピアのコカイン・ブローカーとニューヨーク・マフィアだった。一味は罠にはまったかに見えたのだが。
心身ともに虐待され、心にトラウマを負ったチェロキー・インディアンの幼女、タートル。若い独身女性のテイラーはその子の傷を癒し、ともに生きようと決意して、やがてタートルを養女にした。しかし、人生とはつねに思わぬ方向へ転がるものなのかもしれない。たまたまタートルとテイラーがテレビに紹介されるや、チェロキーの女弁護士がいきなり乗り込んできて、こう言ったのだ。「白人は部族の許可なしにインディアンの子を養子にはできないのよ」切れ者と評判の女弁護士にわが子を奪われるとおびえたテイラーは、衝動的に、あてのない逃避行へと走る。一人の傷だらけの子をめぐり、サスペンスフルに、かつ情味豊かに繰り広げられる、大人たちの人生を賭けた駆け引き。旧来の幸福な家族像がことごとく崩壊しつつあるアメリカ社会で、新しい家族のありかた、新しい母子と隣人の関係を鮮明な夢のように描き上げ、全米ベストセラーに輝いた感動の大作。
この奇妙な青春のストーリーは、わたしが貧しく希望のない町をオンボロ車に乗って逃げ出したことから始まった。オクラホマのチェロキー・ネーションを通過中、インディアンの女が近づいてきて、頼みもしないのに車の座席に小さな子供を置いていった。わたしの体にしがみつこうとするばかりで、声も出せず、体じゅうに生々しいあざがあった。しかもその子は、女の子だったのだ。突然ころがりこんだインディアンの子供を連れたまま、わたしはアリゾナのとある町にたどりつく。そこにはまた、乳呑児をかかえ夫に捨てられた女や、暗い過去をまとうグアテマラからの亡明者夫妻がいた。それぞれの痛みや悲しみにとまどい、途方に暮れながらも、わたしはその町で生活の糧を得て、傷だらけの子供の閉ざされた心に光をあてようと試みるが…やがて、子供の心にさらに傷を負わせる事件が起こった。へらず口を叩きつつひたむきに生きる若い女主人公と、いたいけなインディアンの女の子との心の交感を描く感動作。
臆病な娼婦ベラ。可憐な女ベラ。男たちに蔑まれ、弄ばれ、怯えながら生きてきたベラ。ある朝を境にベラは生まれ変わった。華麗で、セクシーで、凶暴な女にー。女性の部屋を終日覗き、性的ないやがらせの電話を掛けつづける男、マゾヒスティックな性行為を強要する多汗症の太った大学教師、女性患者の体をつけ狙う高慢な歯科医師…。ベラは彼らに評決を下す。まったく無表情に。
元ニューヨーク市警警官のジャック・デヴリンは、兄のジョージが飲み歩いている間に何者かの暴行を受け、瀕死の重傷を負ったことを知った。兄の足跡をたどると、明け方から昼にかけて営業する違法深夜クラブの存在が浮かび上がってきた。自らの手による報復を決意したデヴリンは、犯罪の渦まく街の裏側を支配する魔窟、深夜クラブの只中へと踏み込んでいく。
ニューヨーク市警麻薬課を率いるレイモンド・ダグラスは、大量のコカインの押収に成功した。ところが、麻薬問題からの責任のがれを狙う市警本部長のさしがねで、麻薬取締局に手柄を奪われた上、コロンビアへ出向させられてしまう。失意のダグラスが異国の地でめぐりあったのは、やはりニューヨークから来た新聞社の特派員、ジェーン・フォックスだった。夫を残し、念願の海外特派員として、期待と不安にみちて赴任してきたのだった。麻薬カルテルによる非情なテロが横行する街で、捜査に、取材に奔走する二人は、やがて激しく惹かれあっていく…。
ジョフリーはなにをやっても愚図でいじめられっ子の中学生。ある日彼は、走り去る輸送車の後部から血がしたたっているのを目撃した。仲間に懸命に訴えるが誰も取り合ってくれず、逆に嘘つきだと先生から大目玉をくらう始末。だが、ひとり不安に怯える少年の背後に奇想天外な強奪作戦を企む男たちの魔手が迫っていた。悪党どもに立ち向かう少年の奮闘ぶりを軽快に描く、英国推理作家協会賞シルヴァー・ダガー賞受賞作。
1986年夏のイギリスは、いたるところカットばやりだった。ランダム・ハウス英和辞典で50項目にものぼる複雑多岐な用法をもつ〈CUT〉という言葉を曲芸的に駆使し、しがない純文学作家がテレビの業界人たちに骨までしゃぶりつくされるさまを通して80年代のイギリス社会を諷刺した、超辛口のドタバタ喜劇。