著者 : 石原慎太郎
2022年2月1日に死去した石原慎太郎氏。その最後の文学的結晶ーー 限りなくピュアな初恋の記憶を描いた「遠い夢」、死後公開された「死への道程」など、単行本未収録のまま残された作品を収録。 「太陽の季節」から67年、まさに「白鳥の歌」と呼べる一冊。 遠い夢 空中の恋人 北へ 愛の迷路 ある結婚 死への道程 解説 石原延啓
研ぎ澄まされた「文学」の刃 1993年以降に発表された秀作を厳選! 【収録作品】 聖餐 山からの声 海からの声 空からの声 沢より還る 海にはすべて 青木ヶ原 わが人生の時の生と死 ブラックリング 生死刻々 生き残りの水兵
抉り出される人間の業 想像力と情念の所産。石原文学の軌跡! 【収録作品】 青木ヶ原 完全版 やや暴力的に 僕らは仲が良かった 夢々々 世の中おかしいよ うちのひい祖父さん ワイルドライフ 海の家族 ある失踪 ヤマトタケル伝説 特攻隊巡礼 暴力計画 ーーある奇妙な小説ーー老惨 死者との対話 いつ死なせますか 噂の八話 死線を超えて ハーバーの桟橋での会話
俺たちは大事な約束を忘れていたよな。刑罰では拭いきれない加害者への憎しみ。二人きりの兄弟が選んだのは“仇討ち”だったー。鮮烈、圧巻、陶酔のハードボイルド。円熟の筆致で描き出す「男の美学」。表題作含む二編収録!!
最大の武器は知力と色気、そして暴力! 特攻隊員、愚連隊、安藤組組長、映画俳優…… 昭和の一時代、修羅に生きた男の激動の生涯をモノローグで描ききる圧巻のノンフィクションノベル! あんた『雪後の松』という詩を知っているかい。昔、ある坊主から教わったんだ。『雪後に始めて知る松柏の操、事難くしてまさに見る丈夫の心』とな。男というものは普段の見かけがどうだろうと、いざと言う時に真価がわかるものだ。松の木は花も咲かず暑い真夏にはどうと言って見所のない木だが、雪の積もる真冬には枝を折るほどの雪が積もっても、それに耐え、青い葉を保っている。それが本物の男の姿だというのだ。/俺はこの詩が好きなんだ。 (「長い後書き」より)
インパール作戦で多数の戦友を失った男が戦後にとった行動とは?(『暴力計画』)。死に直面する作家が自在なリズムで自己と対話する(『-ある奇妙な小説ー老惨』)。末期患者と看護人の間に芽生えた奇妙な友情(『死者との対話』)。ある少女を襲った残酷な運命(『いつ死なせますか』)。切れ味の鋭い掌編の連打(『噂の八話』)。「これは私の一生を通じて唯一の私小説だ」(『死線を超えて』)。ヨットレースを引退した男の胸に去来するものは(『ハーバーの桟橋での会話』)。齢87を迎え、死と直面する自らをも捉える作家の冷徹な眼ー珠玉の七編。
首都圏随一の規模を誇る「中央救急病院」に今日も瀕死の重傷患者が運び込まれた。地下鉄の事故に遭ったという妙齢の女性は、切断寸前の左脚が皮肉でわずかにつながる無惨な容体。駆けつけた父親の涙ながらの訴えを受け、救急部長を中心とするチームが高度な縫合手術に挑んだー。救急救命の最前線で繰り広げられる熱き人間ドラマを描く感動作!
高等小学校卒ながら類まれな金銭感覚と人心掌握術を武器に年若くして政界の要職を歴任。ついには日本列島改造論を引っ提げて総理大臣にまで伸し上がった田中角栄。「今太閤」「庶民宰相」と称され、国民の絶大な支持を得た男の知られざる素顔とは? 田中の金権政治を批判する急先鋒であった著者が、万感の思いを込めて描く希代の政治家の生涯。
『太陽の季節』で既成文壇に敢然と挑戦した著者の、同時期の傑作を集めた短編集。不良少年たちが、精神を病む女を弄び、海に突き落とすまでの無軌道ぶりを描く表題作。賭場の若い女の豪胆な賭け方に魅せられた男が語る「乾いた花」。鱶の化身のような女と少年の交流を幻想的に描いた「鱶女」など5編。他に弟・裕次郎の出世作となった映画「狂った果実」の原作を特別収録する。
ヨットレースの最中、髪の毛一筋ほどのきわどさで目撃した落雷の恐怖と眩(まばゆ)さ。海面下23メートルに広がる豪奢な水中天井桟敷。杭打ち機の何千トンという圧力を跳ね返すぼろぼろのされこうべ。ひとだまを捕獲する男。冷たい雨の夜に出会ったずぶ濡れの奇妙な男。かけ替えのない弟裕次郎の臨終の瞬間。作家の人生の中で鮮烈に輝いた恐ろしくも美しい一瞬を鮮やかに切り取った珠玉の掌編40編。
人口わずか十七人、南西諸島の絶海の孤島をリゾート化すべく、観光会社の青年が島に赴任してきた。前任者が死を遂げたこの島で、彼はいつしか島の女タカ子の魅力に引き込まれて行く。彼が忌ましい島の秘密に気づいた時、年に一度の祭が幕を開けた…。古代からの因習と共同体の掟に縛られた亜熱帯の離島を舞台に、人間存在の秘められた深淵を浮かび上がらせる恐怖と衝撃の長編。