著者 : 神田茜
1967年生まれの理夏。アパレル業界に憧れて上京した19歳の頃バイトをしていたパン屋さん「アンゼリカ」が閉店すると聞き、30年ぶりに下北沢を訪れた。古いアパート「コーポ服部」で過ごしたバイト仲間の秋子、元住人・ちはるとの日々は濃く楽しい時間だったが、秋子に恋人ができ、すれ違い、三人はバラバラになってしまった。時を経ても消えることのない罪悪感を抱える理夏に、一通の手紙が届きー下北沢に実在した人気パン店「アンゼリカ」を舞台に、青春の輝きと苦みを知る大人のための物語。
十代半ばで両親を失い、姉妹二人で生きてきた陽菜と元菜。陽菜は女優として活躍し、元菜は付き人をつとめている。ある日、元菜はロケ現場でカメラマンの生駒と出会い、彼に惹かれていく。そんな折、役を降ろされて窮地に陥った陽菜は、生放送の番組で写真家と交際していると宣言してしまう。「元菜を愛しているなら、私と交際宣言をして」-二人の関係に気づいていた陽菜は、話題作りのために、生駒に無理難題を持ちかける。深い絆で結ばれた姉妹の関係と、元菜の恋の行方は!?究極の三角関係を通して一人の女性の自立を描く新しい恋愛小説。
人生、「逆から」たどってみたら…?「私」の死後を生きる夫、「私」のお葬式のときの次男、「私に」挨拶にやってきた長男の婚約者…人生の共演者たちの視点から描かれる7編の連作短編集。
彼氏いない歴=年齢の三十歳OL・印子が一目惚れしたのは、イケメンマジシャンのユウト。彼に近づきたい印子はなんと仕事を辞めてマジックの世界へ。でも誰かに愛されたことのない臆病な心は暴走し、印子は彼の前から逃げ出してしまう。そしてユウトにも彼女を追えない理由があった。憧れという目隠しを取って本気で人を好きになる、最高の両片想い小説!
主婦の矢沢鶴子は、水引をつくる内職と息子の中学校のPTA活動で忙しい毎日だ。最近義母がハマっているロックミュージシャンのフジマサキに自分もハマり、日々癒されている。ある日、PTA会長が不倫スキャンダルで突如辞任、まさかの次期会長に推薦され、しがらみだらけのPTAの恐ろしい世界を身をもって体験することに…。持ち前のユーモアで難局を乗り切れるのか?!心の支えは、フジマサキのライブビューイングに行けること!フツーの主婦のおかしな日常を独特のユーモアと観察眼で描く、痛快作。
酸いも甘いも知っているのが40代ー。けれど自分のことは、おぼつかない。妻に浮気されていた男、息子のサッカーチームのママ友になじめない女、駄ジャレが止まらない離婚した男に、落語家に妄想恋愛する女、幸せな勘違い教師の男。それでも前向きに生きていく。迷える大人たちの励みになる、心に優しい短編集。
三十歳。生まれて初めての恋が私を変える。手品のようにー女子力の低いOLが人気マジシャンに一目惚れ。オレンジ色のシルクスカーフを巧みに操る彼に近づきたくて、仕事をやめてマジックの世界へ。芸も恋も前途多難、心が折れそうになったとき、不思議な巡り合わせが…愉快な恋愛成長小説。
中学二年生の翔には悩みがあった。それは、言葉を読み間違えたり言い間違えたりして周りを笑わせてしまうこと。わざとではないのに同級生から漫才の相方に指名され、母にはユーモアセンスがあると励まされる。みんなと同じことができない自分には、どんな才能があるのだろうー。生きづらさを抱えながら日々を過ごす翔と、彼を取り巻くひとびとの悩みと優しさを描き出す、切なくも愛しい物語。
ディスレクシア(読み書き困難)のため生きづらさを抱える翔。息子のハンディキャップを受け止めきれずにいる両親。家族関係に悩みを抱えるクラスメイトの山上と中島。人生のはじまりの時間を生きる少年少女たちと、人生のとまどいの時間を生きる大人たち。それぞれの思いが交差した先に灯る、小さな光を描く連作短編集。
私生活が原因で会社を辞めた美佐江は、偶然「学生寮の賄い」募集の貼り紙を見て応募するが、そこはある団体の「信者」たちが寝泊りする施設だった(「奥様」)。作家として注目を集める女性講談師が、5人の女性の平凡な日常に潜む悲喜こもごもを繊細に描き出した連作短編集。