著者 : 秋山香乃
井伊直虎は男だった? 今川義元の母親は寿桂尼ではない? かつては“常識”とされていた戦国時代の定説は、最新の研究によって塗り替えられつつある。もし、これらの「新説」を元に、歴史作家が小説を書いたら、一体どんな物語が生まれるのか…。 歴史・時代作家グループ「操觚(そうこ)の会」の永井紗耶子ら10名が最新の学説を交えて書き下ろす、実験的な戦国小説アンソロジー!
時は平安末期。朝廷の権力争いに敗れ、伊豆へと流された源頼朝は、失意の日々を送っていた。だが、北条氏の娘・政子との出会いを機に、平家打倒の戦いに身を投じていく。次々と立ちはだかる壁を乗り越えた先に、稀代の英雄が見たものとは。静岡新聞で連載された歴史小説、待望の書籍化!
2024年NHK大河ドラマの世界を 歴史小説の気鋭が華麗に描く 愛され続けた女性(ひと)、 愛し続けた女性(ひと)。 明るく聡明で美しい定子。 内気ながらも慈愛に満ちた彰子。 天皇をめぐるふたりの后の愛憎絵巻。 あれは四十年前、高校の古典の時間。 一条天皇を巡る二人の女性が、男たちの権力闘争に運命を左右され、 かたや転落し、かたや上っていく。 そこにはどんな女の心と決意があったのか……と想像したものです。 ようやく形になりました。--著者 第66代一条帝の辞世の句を、内覧並びに左大臣の藤原道長は 「露の身の 草の宿りに 君をおきて 塵を出でぬる ことをこそ思へ」と書き留め、 帝に親しく仕えた権大納言藤原行成は 「露の身の 風の宿りに 君をおきて 塵を出でぬる 事ぞ悲しき」と記した。 道長は歌の中の「君」は中宮彰子を指すのだと解したが、 行成は皇后定子を呼んだ言葉だと確信をもって綴った。 死ぬ間際に一条帝が呼びかけた「君」とは、誰なのか。 関白内大臣藤原道隆の娘・定子と、時の権力者左大臣藤原道長の娘・彰子。 ともに一条天皇の后として藤原氏の権力争いに翻弄された ふたりの女性を中心に展開される華麗なる平安絵巻。
新書『応仁の乱』がベストセラーになって以降、関心が集まっている「足利氏」は、NHK大河ドラマ『麒麟がくる』でも注目された。 本書は、戦国を語る上で欠かせない「足利氏」をテーマに、7名の歴史時代作家が書き下ろした短篇小説を収録したアンソロジー。 著者は、2020年上半期の直木賞を受賞した川越宗一をはじめ、大人気シリーズ「口入屋用心棒」の著者の鈴木英治、2020年の中山義秀文学賞を受賞した木下昌輝など、ベテランから新進気鋭まで、実力派ばかり。 これまで戦国史を語る上で、メインで書かれることがなかった「足利氏」を軸に、この時代の画期となる出来事を時系列で描いていくことによって、“もう一つの戦国史”が浮かび上がる。 ■目次 第一話 早見 俊◎嘉吉(かきつ)の狐ーー古河(こが)公方家誕生 第二話 川越宗一◎清き流れの源へーー堀越(ほりごえ)公方滅亡 第三話 鈴木英治◎天の定めーー国府台(こうのだい)合戦 第四話 荒山 徹◎宿縁ーー河越夜合戦 第五話 木下昌輝◎螺旋(らせん)の龍ーー足利義輝弑逆(しいぎゃく) 第六話 秋山香乃◎大禍時(おおまがとき)--織田信長謀殺 第七話 谷津矢車◎凪(なぎ)の世ーー喜連川(きつれがわ)藩誕生 コラム 喜連川足利氏を訪ねてーー栃木県さくら市歴史散歩 収録作品は、いずれも書き下ろし!
戦国時代、静岡の地は遠江・駿河・伊豆の三国に分かれ、名だたる武将たちがしのぎを削っていた。要衝には、敵の侵攻に備えて山城、平城、海城などが数多く築かれ、遺構は今もひっそりと各所に名残をとどめている。歴史小説界に新風を吹き込もうと創設された「操觚(そうこ)の会」のメンバー10人が今回、その県内の城にスポットを当てた。いずれも徳川、今川、北条、武田の軍勢が武門の意地と誇りを懸けて激突した舞台。各作家が1つずつ選んで、ユニークな人間模様を紡ぎ出したーー。全編書き下ろしの異色アンソロジー。 ・地図 ・年表 ・「時満つる城ー堀川城語り」(堀川城)芦辺拓 ・「梅花の鏡」(諏訪原城)永井紗耶子 ・「意地は曲がらず」(韮山城)谷津矢車 ・「紅椿」(曳馬城)坂井希久子 ・「残照」(蒲原城)蒲原二郎 ・「風啼きの海」(下田城)彩戸ゆめ ・「最後の城」(掛川城)杉山大二郎 ・「井川の血」(今川館)鈴木英治 ・「返り咲きの城」(山中城)早見俊 ・「老将」(高天神城)秋山香乃 ・あとがき
戊辰戦争の際、官軍と奥羽列藩同盟の間で武装中立を目指した長岡藩家老・河井継之助は、「英雄」として語られることが多い。しかし、彼は本当にそうだったのかーー。藩を救うために諸国を巡った若き日、妻・すがとの絆、会津藩家老・秋月悌次郎や仙台藩隠密・細谷十太夫、そして武器商人エドワード・スネルとの親交を通して、動乱の時代を峻烈に生き抜いた人間・河井継之助の、真の姿に迫る感動の長編小説。
三国支配を実現し、安定した栄華を誇る今川家に生まれた氏真は、武芸や和歌に長け、知的で無益な争いごとの嫌いな少年だった。“海道一の弓取り”と呼ばれる父・義元を桶狭間の戦いで失い、惣領として否応なく戦う道に飛び込んでいく。乱世にあって、男として人間として惣領としてどう生きるか。悩み苦しみながらも己を貫いて生きた人間氏真の姿を描く。
幕末史の暗部、血塗られた暗殺事件の数々に、実力派作家7人が、想像力と推理を駆使して挑む、書き下ろし短篇競作企画。はたして定説は覆されるのか? 驚きの結末と真犯人とは? 【筆者とテーマ】 谷津矢車 ◆桜田門外の変 早見 俊 ◆塙忠宝暗殺 新美 健 ◆清河八郎暗殺 鈴木英治 ◆佐久間象山暗殺 誉田龍一 ◆坂本龍馬暗殺 秋山香乃 ◆油小路の変 神家正成 ◆孝明天皇毒殺
講武所教授方を経て、遊撃隊として鳥羽・伏見の戦いに参戦、幕末にその名を残す“伊庭の小天狗”こと伊庭八郎。途中、箱根山崎の戦いで左腕を失いながらも盟友・土方歳三の待つ北の地へ向かう。合流。箱館戦争で激闘の末負傷、26年の生涯を終えた。隻腕の志士として名を残し、幕末の動乱を駆け抜けたその峻烈な生涯を描く。カバーイラストは『口入屋兇次』『MUJIN-無尽ー』で人気の崗田屋愉一氏。同じく崗田屋氏によるカラー口絵つき。
出奔した道楽者の兄が拵えた大借金。その取り立てに現れた男を見て、骨董店『萬屋』の一人娘・お伊馬はたじろいだ。単なる商家の次男坊というが、白狐の化身と見紛う優男。本当に人間なのか、と疑いたくなるほど異様な雰囲気をまとっている。なぜ兄はこんな男から金を借りたのか?真相を追うお伊馬はやがて途方もない事件に巻き込まれるー。
自分が斬った男の娘・お雪と暮らす有安は、ある日、血まみれで倒れている男を発見する。それは己の過去を知る人間だった。医師として助けるべきか、今の平穏を守るために見捨てるべきか?親子の別れを予感させる出来事に、呆然と立ち尽くす有安だがー。シリーズ第3弾。
万延元年(1860)、江戸の天然理心流の道場・試衛館で日々近藤勇や土方歳三らとともに剣術修行に明け暮れる十七歳の沖田総司は、幕府の浪士組に参加し上洛する。新撰組隊士となった総司は、芹沢鴨暗殺、池田屋事件と幕末の京の街を疾走する。信じるもののために燃焼し尽くした総司の生涯を描く新撰組三部作完結篇。
文久元(1861)年、伊勢・藤堂家の御落胤との噂がある藤堂平助は、ふとしたきっかけで土方歳三と知り合い、天然理心流の試衛館の食客となる。北辰一刀流を使う平助は、ある時、同門の清河八郎から、浪士隊の話を聞き、近藤勇らとともに同道し入京するー。新選組の中にあって異色の剣士の短い半生を描く長篇小説。
鳥羽・伏見の戦で近代的な軍装の薩長軍に、なす術もなく敗れた新選組。時代はすでに日本刀ではなく、小銃の時代になったと土方歳三もわかってはいるのだが、その後も、甲府、宇都宮、会津で戦い続け、そして敗れた。北の果て箱館に行き着いた歳三は、最後の戦いに臨む。新世界に背を向け、負け続けた漢の姿を鮮烈に描く。