著者 : 筒井康隆
最終核戦争が勃発…人類の狂乱を描いた傑作「霊長類 南へ」。世界からの脱走をもくろむ男の奮闘「脱走と追跡のサンバ」。単行本初収録のドタバタ劇「マッド社員」シリーズ。ほか小松左京による筒井康隆論や「NULL」の復刻も併録した充実のラインナップ!
黄金期の日本SFを、希代の小説家にしてアンソロジストが同時代に編んだシリーズ第二弾。星新一のニューウェーブ「門のある家」、小松左京の力技「結晶星団」に加えて、編者自身の傑作「おれに関する噂」、松本零士のセクシー美女が登場する「セクサロイド」など、一作一作が長編なみの濃さと読みごたえを持つ作品がずらりと並ぶ1972年度版!
一九七〇年代は、日本SFの黄金期である。ホラー、コミカル、ナンセンス、アクション等々、小説やマンガのあらゆる楽しみが、SFという可能性の中で結晶し、新しい世界を切り開いていく。-はなやかな話題と、挑戦的姿勢、それが生み出す傑作に満ちていた一九七一年の日本SFを、同時代に居合わせたかのように体験できる歴史的アンソロジー。
1973年、葉月貴夫は5歳にして性器を切り取られた。しかしなお美しく健やかに成長した貴夫は、周囲の人びとのさまざまな欲望を惹き起こしていくー。彼は、果たして我らの煩悩を救済し給うのか?巨匠筒井康隆が、古今のありとある日本語の贅と、頽廃的なまでの小説的技術の粋を尽して、現代を語り、未来を断固予言する、数奇極まる“聖人伝”。
「日本SF初期傑作集」とでも副題をつけるべき作品集である。(筒井康隆)-優れた書き手たちがその個性を存分に発揮しつつ、SFと小説の可能性を探り続けていた1960年代の代表的傑作を集める。斬新なアイディア、強烈なイメージ、ナンセンスの味わいなどがたっぷり。「SF」の枠組みを超えて、二十世紀日本文学におけるひとつの里程標となる歴史的アンソロジー。
人類は誕生と同時に「虚構」を生みだし始めた。原始の昔に口承された物語から、現代最先端のヴァーチャル・リアリティまで、それは我々の文明に寄り添うように今も確かに存在する。先史時代の洞窟、六歌仙のサロン、戦国時代の戦場、現代のTVスタジオ…著者もまた時空を超えて「虚構」を追い求めてきた。作家の個体進化をたどることで、人類文明の系統進化を仮想体験する稀有の作品集。
ささやかな社会批判をした妻が密告により逮捕され、土に植えられてしまった。次第に植物化し、感情を失っていく妻との切ない別れは…。宇宙の伝説と化した男が、二十年ぶりに帰ってきた。かつて賑やかだった鉱山町の酒場、冒険をともにしたロボット、人妻となった愛しの彼女。郷愁にみちた束の間の再会は…。奇想あふれる設定と豊かな情感が融け合う不思議な作品群。
血管の中を虫が走り、小さな大名行列が見えるーアル中のタクシー運転手は客を乗せたまま破滅街道をまっしぐら。ラジオ局の経理課長は、労組のストで無理矢理マイクを持たされ、放送事故続出の怪番組で大暴走。悪夢のような不条理と極限状況に壊れてゆく人々、その姿を笑うあなたの心もいつしか崩壊の一途を…。精神の強靱でない方は決して読まないでください。新発掘短篇「人類よさらば」も収録。
風呂の排水口に○○タマが吸い込まれたら、自慰行為のたびにテレポートしてしまったら、突然家にやってきた弁天さまにセックスを強要されたら。人間の過剰な「性」を描き、爆笑の後にもの哀しさが漂う悲喜劇。
小松左京『日本沈没』のパロディで、日本列島以外の文明を持った人類が住む陸地ほぼすべてが沈没してしまった世界を舞台に、唯一残った日本へ殺到する、世界の著名人の悲惨な境遇と世界で一番偉い人種となる日本人と三等市民である外国人の軋轢を描いた小説。第5回(1974年度)星雲賞短篇賞受賞作品(ちなみに長編賞は『日本沈没』)。 2011年、原因不明の天変地異でアメリカ大陸が1週間で海に沈む。大統領はじめ国外脱出しようとする人々で大混乱に。をの後、中国大陸、ユーラシア大陸、アフリカ大陸、オーストラリア大陸が沈没。田所博士は日本列島だけが無事だった理由を解明していた。避難民で人口の増えた日本社会はどうなるのか。食料問題、移民問題、独裁者によるテロ行為……。そして田所博士は日本も沈むと予言する。作品の完成度の高さに小松左京を嫉妬させた、世界が舞台の未曽有のパニック小説。2006年、映画化。
放課後の実験室、壊れた試験管の液体からただよう甘い香り。このにおいを、わたしは知っているーー思春期の少女が体験した不思議な世界と、あまく切ない想いを描く。時をこえて愛され続ける、永遠の物語!
和菓子司の隠居、宇谷九一郎の住む宮脇町でも「老人相互処刑制度」が始まった。町内には、もと自衛官、神父、もとプロレスラー、そして幼なじみなど、「強敵」五十数人が犇めいている!21世紀最大の、禁断の問いをめぐる筒井文学の新たな代表作。
同人誌「焼畑文芸」に載った処女作がヒョンなことから「直廾賞候補」となった市谷京二。周囲の羨望と冷笑、「カモ」を待ち受ける作家、編集者たち。受賞めざして繰り広げられる駆け引き、陰謀の末の悲劇!ブンガクをめぐる狂乱と欺瞞を徹底的にカリカチュアライズして描き文壇を震撼させた猛毒性長篇小説。
精神医学研究所に勤める千葉敦子はノーベル賞級の研究者/サイコセラピスト。だが、彼女にはもうひとつの秘密の顔があった。他人の夢とシンクロして無意識界に侵入する夢探偵パプリカ。人格の破壊も可能なほど強力な最新型精神治療テクノロジー「DCミニ」をめぐる争奪戦が刻一刻とテンションを増し、現実と夢が極限まで交錯したその瞬間、物語世界は驚愕の未体験ゾーンに突入する。
ドタバタとは手足がケイレンし、血液が逆流し、脳が耳からこぼれるほど笑ってしまう芸術表現のことである。健康ファシズムが暴走し、喫煙者が国家的弾圧を受けるようになっても、おれは喫い続ける。地上最後のスモーカーとなった小説家の闘い「最後の喫煙者」。究極のエロ・グロ・ナンセンスが炸裂するスプラッター・コメディ「問題外科」。ツツイ中毒必至の自選爆笑傑作集第一弾。
中学生の珠子の前に、ある日、突然現れたグランパ(祖父)はなんと刑務所帰りだった。だが、侠気あふれるグランパは、町の人からは慕われ、珠子や家族をめぐる問題を次々と解決していく。そしてグランパの秘密を知った珠子に大事件が襲いかかる。「時をかける少女」以来、待望のジュブナイル。読売文学賞受賞作。
渡辺儀助、75歳。大学教授の職を辞して10年。愛妻にも先立たれ、余生を勘定しつつ、ひとり悠々自適の生活を営んでいる。料理にこだわり、晩酌を楽しみ、ときには酒場にも足を運ぶ。年下の友人とは疎遠になりつつあり、好意を寄せる昔の教え子、鷹司靖子はなかなかやって来ない。やがて脳髄に敵が宿る。恍惚の予感が彼を脅かす。春になればまた皆に逢えるだろう…。哀切の傑作長編小説。
第一講 印象批評 第二講 新 批 評 第三講 ロシア・フォルマリズム 第四講 現 象 学 第五講 解 釈 学 第六講 受容理論 第七講 記 号 論 第八講 構造主義 第九講 ポスト構造主義 同時代ライブラリー版によせて 現代文庫版によせて