著者 : 築山桂
遥か難波宮の時代より、大坂の町を守ってきた闇の一族“在天別流”。その長の妹にして男装の美剣士、東儀左近は南河内を目指していた。庄屋の家で見つかった名刀「小竜景光」が四天王寺に預けられることになり、その護衛を依頼されたのだ。だが、庄屋は孫娘とともに惨殺され、刀は無くなっていた。名刀を奪うためなら殺しもいとわぬ非道の賊“猿一味”を左近は追う。すると、伊達家から消失した名物「鶴丸国永」の行方も知れ…。圧巻のラスト、シリーズ史上最高の快刀乱麻がここに!
四天王寺の境内で、東儀左近はぼろを着た三十半ばの女に「死んだ息子の仇を取ってほしい」とすがりつかれた。聞けば、廻船問屋・長浜屋のべか車に轢き殺されたのだが、役人が金で丸め込まれ、車力も長浜屋も無罪になったという。難波宮からこの方、千年以上も大坂の民を陰で守り続けてきた“在天別流”の姫である左近は、事件を調べ始める。すると、なぜか京都所司代・水野忠邦の家臣が左近の周りをうろつき出し…。シリーズに待望の新作、書き下ろし長編第3弾!
蘭学を志し、大坂の思々斎塾で勉学に励む緒方章(後の洪庵)は、師匠の頼みで御禁制である翻訳蘭学書の写本を買おうとする。だが、取引の現場で闇商いの本屋が殺されてしまった。狼狽する章の前に現れ、禁書が同心の目に触れぬよう救ってくれたのは、東儀左近という名の謎めく男装の麗人だったー。後に適塾を開き、幕末明治の大物を数多く育てた緒方洪庵。その青春時代に次々と降りかかる難事件。左近に導かれながら、まだ何者でもなかった若き日の洪庵が疾走する、傑作シリーズ第一弾!
謎めく東儀左近は、千年の昔から舞楽を奉じてきた由緒ある“在天楽所”の一族だと緒方章(後の洪庵)は承知した。しかも、“在天”は大坂の町の守り神でもあるという。北前船が運んできた“隠し荷”に悪徳商人が色めき立ち、欲得ずくの騒動を巻き起こす。左近一族が動くなか、脅威の天然痘が絡み、章も医学の徒として義心のもとに奔走する。一方で、まもなく江戸遊学を控える章の、持て余す左近への思いの行方はー。痛快無比、浪華の町を悪事から守り抜くほろ苦い決意を描く、傑作シリーズ第二弾!
人気浄瑠璃作者・近松門左衛門に命を救われた虎彦は、彼の裏稼業「近松万始末処」に引っ張り込まれる。こき使われるまま、失せ人捜しにお犬さま騒動、井原西鶴の幽霊退治など、さまざまな事件に奔走する虎彦だが、近松にはある思惑がー。正体不明の美貌の剣士に賢い忠犬、からくり細工師見習いの少女ら始末処の面々が繰り広げる、時に爽快、時にホロリの新感覚時代エンタメ小説、登場!
天下を揺るがす書として封印されてきた、聖徳太子の予言の書『未来記』。その書が納められている大坂・四天王寺には“番人”がいた。僧・天海から、幻の書を奪取せよとの密命を帯びた異能の忍び・千里丸は、不思議な能力を持つ少女と出逢い、自分の生き方に疑問を持ち始める。秘宝をめぐる、異能者たちに公儀隠密、南蛮絞りの秘術を操る豪商も絡んだ壮絶な闘いを描く、痛快時代エンタテイメント!文庫書き下ろし。