著者 : 篠田真由美
ジャンヌ・ダルクと共に戦った英雄にして幼児虐殺の半獣神『青ひげ』ジル・ド・レの真実。悪の深淵に魅せられ、極限の祈りを追求する魂の彷徨!十五世紀のフランス。富裕な大貴族であり稀代の快楽殺人者だったジル・ド・レ。究極の悪を犯すため彼に近づいていった若き錬金術師。神と、己の心が欲するものとをひたすら求めた罪深き人間たちが最後に見たものは。構想二十年-今も変わらぬ無限の苦悩と救済を描き尽くした著者渾身の一作。
十七世紀イタリア。侯爵モンタルト家別邸の、亡き女主人が丹精込めて造った庭園で男の死体が発見される。つづいて次々と起こる侯爵家に関わる者たちの不可解な死。渦巻く血の輪舞。“呪われた庭”に隠された真実のメッセージとは何だったのか?建築探偵シリーズで大人気の著者が贈る長編幻想ミステリ。
何十万もの人間を生きたまま串刺しにしたとされるワラキア公ヴラド。その残忍さゆえに小説「吸血鬼ドラキュラ」のモデルとなった男の真実の貌とは。強大なオスマン・トルコ帝国を相手に孤独な戦いを挑み、過酷な時代を疾風の如く駆け抜けたもうひとりの、“織田信長”の実像を人気の女性作家が描く異色長編。
ルネッサンスの都、十五世紀フィオレンツァ。ヴェロッキオ工房にヴェネツィア政府からの依頼が舞い込んだ-それさえ運命だったのだろうか。運河と、橋と。石畳の街でアンジェロは出会う。愛する少女に、そして-彼に。少女のために初めて己れの力を認め、天使でいてもいいと思った。だがその命を握る者がいる-彼の魂が共に堕ちよとアンジェロを呼ぶ。「私は、君さ」と微笑う。その意味は、そして天使の恋が呼び醒ますのは。いま、天使という存在が地上に生まれてきたことの意味が明らかになる-入魂の超大作。
天使の力をもってエウジェニアを癒したアンジェロだったが、その力は心にまでは及ばなかった。ケルヴィーノに捕われたアンジェロを生に繋ぎとめるのは、エウジェニアへの想いだけ。自らの心を肉体と切り離し、頑なに彼を拒む。だがケルヴィーノは同胞を求めていた、恋うように切望していた-少なくとも五百年の昔には神の従僕であった、堕天使は。「愛せないのなら、いっそ憎むがいい」-天使たちは痛みを孕んで天空に闘う。魂の孤独は癒されることはないのか。奇蹟は救いをもたらすか。超傑作、クライマックス。
アンジェロは、大仕事を終えたヴェロッキオ工房の徒弟仲間がはしゃぐ酒場の喧喋を後に、一人帰途につく。-ふと気付くと見覚えのない街並み。彼は異界の闇に紛れこんでいた。異形のものが襲いかかる。一閃のもと、それを倒した剣士は「君の味方だ」と言あ残すが、以来頭に響く声。『思い出せ』…何を、自分が何を知っているというのか。失われた記憶。メディチ家。巫子。異世界へと続く「扉」-開くのは神か、悪魔か。十五世紀イタリアを舞台に、一つの物語が紡ぎ出される。フィオレンツァの、それは天使の物語。
十七世紀のイタリアを舞台にふたりの麗人と死せる者たちを巻き込んで展開する古風な惨劇。亡き女主人が丹精込めて造りあげた庭園-その呪われた庭を起点に開始される死の舞踏。『琥珀の城の殺人』で世の読者を瞠目させた著者が満を持して問う長編推理第二弾。