著者 : 篠田真由美
隣国の急襲により、陥落したシェミハザ伯爵の城。伯爵の嗣子イオアンは、侍者ラウルとともに、襲爵の許可を得るために、貴種たちの上王が住まう都を目指していた。追ってくる刺客を元僧侶の騎士ハイドリヒたちの助けを借りながらかいくぐり、人間たちが信奉する教会の聖山に辿り着く。そこには、現在の上王の叔父で、大罪を犯したために追放されたイリヤがいた。彼は人々を魅了し、聖山に住む人々だけでなく、貴種たちをも操り、とんでもない騒動を引き起こそうと目論んでいた。貴種と呼ばれる吸血鬼たちが人間を支配する世界。その均衡が揺らぎ始めた!著者渾身の書下し冒険青春浪漫。
六月の緑の森の、白い花の咲く木の下でぼくは君と出会った。人の姿をした美しい一角獣(ユニコーン)とーー。放火殺人の生き残りである少女に、宿命のように心惹かれていく蒼。しかし少女の母は、眼窩をイッカクの牙に貫かれて無惨な死を遂げる。すべてが明らかにされたとき、桜井京介の下した決断とは? プロローグ──精霊の棲む森 プロローグ/モノローグ──たったひとつのあたしの望み スゥィートルームの密議 山中異界 夜はさざめく 貴婦人と一角獣 陰画としての惨劇 小さな花のように 緑蔭百花譜 緑色のユニコーン 裁かれる時 優しい死神 エピローグ/モノローグ──たったひとつ、ぼくの望むこと ノベルス版あとがき 文庫版あとがき
世俗から隔絶された全寮制の男子校・聖マカーリィ学院。高等部2年生の饗庭怜は、鐘楼と呼ばれる塔から落下し、その前後の記憶を失ってしまった。学校では、自殺未遂と噂されたが、怜には自殺する理由など思い当たらない。友人・白石智生から殺人未遂の可能性を示唆され、真実を探ろうとする怜。失われた記憶のピースを集める中、怜は死体を発見してしまう。何者かの追い詰められていく怜に手を差し伸べたのは、中等部1年生の工藤アキラだった。
秋の文化祭をひかえ、新聞部のアキ、ハル、タモツは、新聞制作コンクールのための企画に頭を悩ませていた。目下調査中の七不思議のひとつ「記念博物館の謎」もなかなか進展がない。そんな中、三人に奇妙なおまじないの話をした女生徒が失踪した…。魔女、人狼、暗号、複雑怪奇な建物、そしてドイツ第三帝国の秘密まで絡み出し、彼らにさらなる危機が迫る!謎が謎を呼ぶ、大好評学園ミステリー第二弾!
都内にありながら、深い森に囲まれた全寮制の北斗学園。戦前からの建物が点在する広大な敷地の全貌は、学生たちにも定かではない。新聞部に所属する中等部二年のアキは、学園に伝わる七不思議のある特殊性に気づき、友人のハルとタモツとともに調査を始める。しかし、それを阻もうとするかのように、不隠な事件や奇妙な出来事が次々と起こり…。魅力あふれる建築物と眩惑的な謎が織りなす学園ミステリー。
長崎県の孤島波手島。明治の教会が残る無人の島で、女たちが火に焼かれて死んだ。宗教的理由による集団自殺か、はたまた。事件性を疑う私立探偵に乞われ、桜井京介は現地へ向かう。その頃、蒼はカルト教団に入信したまま戻らぬ友人を救出しようとしていた。ふたりに迫る悪意の罠。狂気の炎が再び空を焦がすとき、京介は蒼を救えるのか 長崎県の孤島波手島。明治の教会が残る無人の島で、女たちが火に焼かれて死んだ。宗教的理由による集団自殺か、はたまた。事件性を疑う私立探偵に乞われ、桜井京介は現地へ向かう。その頃、蒼はカルト教団に入信したまま戻らぬ友人を救出しようとしていた。ふたりに迫る悪意の罠。狂気の炎が再び空を焦がすとき、京介は蒼を救えるのか。 プロローグI──幻視黙示録 プロローグII──いやはての丘 殺意の情景(1) 少し灰色の春 独房の聖女 殺意の情景(2) 灰の水曜日 ぐろうりや 殺意の情景(3) 顔無き侵入者 カルトの方舟 殺意の情景(4) 波手島縁起 鋼の罠 interlude 夢と現の狭間に 凶天使の影 エピローグI──幾度でも エピローグII──昏き鏡 ノベルス版あとがき 文庫版あとがき
日本画の大家・野々村白仙の養女、美貌で才気溢れる薔子がクリスマス・パーティの席上、シャンパン・グラスを掲げての乾杯直後、中毒死。事件の後、心因性の不調に悩む高校生の義弟の郁哉に、スクール・カウンセラーの薬師寺香澄は、桜井京介という不思議な男性を紹介する。桜井は、郁哉に「君は僕に、なにを望むのですか?」と訊ねるが…。(『黄金の薔薇を手にして』)ほか、魅惑的で美しい謎と小さき者への慈愛を描く傑作短編4編を収録。
「私の記憶の中にあるホテルを探してくださらない」ある老婦人から依頼された私は、かつて横浜の高台にあり、多くの外国人客を迎えた小さなホテルについて調べはじめる。海が見えるオープン・テラス、年末にバンケットルームで開催される豪華絢爛なダンス・パーティ、評判のシェフが作り出す珍しい料理の数々、世間の目をはばかる客も多かった長期滞在者用のアパートメント。不思議なことに、もと従業員や宿泊客たちが語るホテルにまつわる思い出話には、死と影と奇妙な謎がからみついていたー憂いと頽廃の気配漂う、美しくも恐ろしい連作短編集。
酸鼻を極めた薬師寺事件から、はや十四年。時効を目前にした七月、蒼こと薬師寺香澄のもとに、謎の封筒が届いた。送り主は「響」、封筒の中身はただひとこと「REMEMBER」-。蒼は京介たちの手を借りずに、過去と向き合い記憶を辿り始める。『原罪の庭』の真相に迫る、「建築探偵シリーズ」最高傑作。
夏休み、人けのない校庭に男の死体が転がっていた。校内には十五人の生徒だけ。警察へは通報せずに、生徒たちによる犯人捜しが始まる。微妙に絡み合う人間関係と錯綜するアリバイから浮かび上がる意外な犯人は?蒼こと薬師寺香澄が活躍する「建築探偵シリーズ」の番外編。ミステリーの醍醐味、ここにあり。
かつて、マレーシアの密林からかき消えたシルク王、ジェフリー・トーマス。それから三十余年、軽井沢の別荘、泉洞荘で、絢爛豪華な絹の布に埋まってひとりの老人が不審死を遂げた。奇妙な縁に導かれて京介、蒼、深春たちはマレーシアはカメロン・ハイランドにある月光荘を目指す。そこで見出した真相とは。
明治に建てられた洋館、月映荘。惨劇は再びここで起こった。京介とともに晩餐に招かれた医師が撲殺されたのだ。図らずも事件に巻き込まれていく京介の前に、複雑な生い立ちを抱える茉莉、雪音を聞くことができる不思議な少女、綾乃たちが、謎を深めて絡み合ってくる。さらに京介自身の過去が揺さぶられる。(講談社文庫) 「赤い大きなお月様」に隠された謎とは? 明治に建てられた洋館、月映荘。惨劇は再びここで起こった。京介とともに晩餐に招かれた医師が撲殺されたのだ。図らずも事件に巻き込まれていく京介の前に、複雑な生い立ちを抱える茉莉、雪音を聞くことができる不思議な少女、綾乃たちが、謎を深めて絡み合ってくる。さらに京介自身の過去が揺さぶられる。 『夜に消えた凶刃』 月は血塗られて 赤い窓の記憶 身勝手で強引な招待 雪音を聞く少女 銀髪の女主人 黒衣の僕 月無き夜の惨劇 抑圧された記憶の神話 スリーピング・マーダー 真理子、笑う 白銀の罠 魔法の赤い月 暗黒星 雪花
イタリア人実業家の亡夫から相続した、小島の館に隠棲する日本人女性=レニエール夫人。彼女から鑑定の依頼を受けヴェネツィアを訪れた神代教授と京介だったが、跡を追った深春、蒼と合流そうそう島の売却を巡るトラブルに巻き込まれる。そして不可解な殺人事件が!文庫版特典「蒼のヴェネツィア案内」も収録。
艶やかに咲く枝垂れ桜の下で、老人が毒を盛られた。容疑者は彼の美しい妻、だが物証はない。事件を目撃した桜井京介は不可能犯罪の謎を解明したはずだったが?十六歳の日の忘れえぬ事件を語る表題作を始め、眩暈を誘う「二重螺旋」四部作など、魅力的な十の謎を収録。シリーズ初の短編集、待望の文庫化。
西洋館を舞台に次々と起こる惨劇…巨大「牢獄」から生きて脱出できるのか?本州最南端の半島沖の小島に建つ、巨大な西洋館。所有者の莫大な財産の後継者を選ぶべく、五組十人の男女が集められたー後継者決定の条件は、巨大ダイヤを館から発見すること。期限は十日。外部との接触を絶たれた極限状態のなか、謎に満ちた宝探しが始まる。二日目の朝、浴室に参加者の一人が吊るされていた。退路のない館内での殺人に震撼する面々。犯人の影も見えぬまま、その翌朝にまたしても、首を切断された死体が発見される…。
伝説の名女優・神名備芙蓉が二十八年ぶりに復活。伊豆の会員制高級ホテルで三島由紀夫の『卒塔婆小町』を演じ、老婆から美女へ見事に変身してみせる。だがその後、演出家の失踪、ホテルオーナー天沼龍麿の館の放火、芙蓉への脅迫と怪事件が相次ぎ、さらなる惨劇が!?京介の推理が四十年に亘る愛憎を解く。
冬のヴェネツィア、華やかなパーティのさなかに起きた奇妙な殺人事件。偶然目撃者となってしまった日本人留学生藍川芹は、やがて事件の関係者からの招待状を受け取る。北イタリア山中の巌上にそびえる“聖天使宮”。未公開の美術品に満たされた巨大な正五角形の宮殿を所有するのは、謎めいた伝説に包まれた美しい一族の末裔だった。心ならずもそこに滞在することとなった芹の前に、勃発する凄惨な連続殺人。一族の過去に揺曳するナチズムの影。車椅子の少年に導かれて、絢爛たる地獄を巡る女主人公が最後に見たものは-。
ガラスの柩を思わせる巨大な温室の中で惨殺された病院長一家。その血塗られた密室に置かれたチェストで、天使のようにまどろむ七歳の少年。ただ一人生き残った彼は、しかし言葉を失っていた。闇に閉ざされた魂を救うため、最大の謎「薬師寺家事件」に挑む桜井京介。建築探偵シリーズ第一部の掉尾を飾る傑作。