著者 : 簑輪諒
慶長五年九月十五日。美濃国関ヶ原で起こった大会戦は、東軍・徳川家康と西軍・石田三成の戦いとして知られるが、勝敗の鍵を握る人物がもう一人いた。小早川秀秋。彼の裏切りは予想されていて、味方に引き入れようと両軍の将たちは蠢いていた…七人の作家が戦場を活写する、大好評「決戦!」シリーズ第六弾!
武田の遺臣として、数多の主家を渡り歩いた御宿勘兵衛。武田家滅亡から、大坂の陣までー仕えた家が次々と滅びることから、「厄神」と忌み嫌われた男と、彼に関わった度し難い男たち。時代に迎合することなく、己の夢と覚悟を貫いた依田信蕃や久世但馬守など、気鋭の著者が描く、くせものたちの物語。
坂本龍馬とともに暗殺された男、中岡慎太郎。彼はいったい何者だったのか。土佐藩の山間の小さな村の庄屋の家に生まれた光次(のちの慎太郎)は、やがて志士活動に身を投じ、幕末という時代を駆け抜けてゆく。地味で地道でいごっそう(頑固者)。真面目と理屈っぽさが取り柄の男は、魑魅魍魎うずまく幕末の世で何をなすことができたのか?龍馬がもっとも頼りにした男の波瀾万丈の一代記。
織田信長の重臣だった丹羽長秀の死後、丹羽家に対する豊臣秀吉の仕打ちは苛烈を極めた。一二三万石から四万石への大減封、家臣団難散の中で命じられた、北条攻めの小田原出兵。窮地に陥った城好きの若殿長重と、空論屋と呆れられた新米家老の江口正吉は、命を賭して御家再興に挑むー。秀吉を畏怖させ大谷吉継ら大名を驚嘆させたうつろ屋の、起死回生の策とは!
歴史に残るような戦国武将は、戦いに勝つべくして勝つのみにあらず。時として味方は寡勢、敵は数倍という絶対絶命の場面を潜り抜けて来て、世に名を残したのだ。織田信長、伊達政宗、浅井長政、島津義弘など七人の武将たちの驚愕の逆転の打開策を、当代きっての名手七人が描く、珠玉の短編アンソロジー。
永禄八年、上杉輝虎(謙信)が義を掲げ、下総国臼井城に侵攻を開始した。総勢一万五千といわれる上杉軍に対し、臼井の兵は二千ほど。後ろ盾となる北条家からの援軍は、わずか二百五十余であった。抗戦か降伏か、紛糾する城内をまとめるため、北条の武将松田孫太郎は道端の易者を軍師に仕立てた。白井浄三である。ところが、浄三は想像を絶する奇策を次々と画策し…。
鬼の義重・坂東太郎と恐れられた荒武者だったが、今は子・佐竹義宣に実権を譲り、隠居した身だ。そんななか、天下統一を成した豊臣秀吉より命が下る。「常陸を平定せよ」五百年の歴史を持つ佐竹家の誰もがなし得なかった夢を我がなし得る。義重は年老いた身でありながら早速攻略に取りかかる。しかし、実権を握る子・義宣に報せが入り…。父祖伝来の重み、在りし日への思い、老いへの恐怖、次世代へと委ねるもの。祖・源義光より現代まで900年続く佐竹の家名はいかにして護られたのかー。
蜂須賀家政は、秀吉のエリート黄母衣衆ながら、川並衆頭領として秀吉を支える父・小六の高い壁を前に、悶々とするひねくれ者。信長の死後に躍進を続ける秀吉から、齢二十八にして阿波一国を任されるが、それはベテラン家老を七人も宛がわれた不本意な大抜擢。なにより阿波は国人や海賊の力が強い難治の土地。だが自身も川の民の出であり、体制側になりきれない家政は、武家とは反対のやり方で政に乗り出すが…。三千石からいきなり十七万五千石の国主にされた男の葛藤と成長、そして苦悩の末の関ヶ原での誰もが予期せぬ大決断!
信長の家老にして「米のように欠かせぬ男」と言われた知将・丹羽長秀。だが清洲会議で秀吉を支持し、越前・若狭・加賀123万石の大封を得たとき、丹羽家取り潰しの定めは決まってしまった!長秀死後の4万石への大減封、家臣団離散の中での小田原出兵、そして、北陸の関ヶ原「浅井畷」における前田家100万石との死闘…。風前の灯火の丹羽家に残されたのは、家中も「空論屋」と呆れる新米家老・江口正吉と、城オタクで人の好い若殿・丹羽長重、そして、あまりにも大きすぎる「理想」だった!理不尽に滅封された丹羽家の若き新米主従の空論で理想を貫いた、胸熱くなる闘いの軌跡!第19回歴史群像大賞入賞作品。