著者 : 緒川久美子
キャサリンはかつて婚約したが、一度めは許嫁が亡くなり、二度目は婚約破棄にあった。王太子の友人ボウ・ブランメルがそれを揶揄して「イングランド一結婚から見放された女」と言ったため、社交界でひどい噂を立てられ、以来彼女は引き籠もっている。弟のマーカム卿は姉を心配して、むりやり縁結びをしようとしては拒否されていた。自分は亡くなった父の息子ではないと母から告げられたブロムトン侯爵は自暴自棄になり、家系的に正当な相続人であるマーカム卿に財産を譲ろうと考える。そこでトランプゲームに全財産を賭けてわざと負けるが、マーカム卿は当然受け取りを拒否。かわりに「姉キャサリンと結婚してほしい」と言い出す。しかも、姉には理由を知らせず、自然な形で求婚せよと。はたしてキャサリンはプロポーズを受け入れるのか!?
貴婦人のコンパニオンを勤めるフレイヤは、没落した公爵家の娘で、実はイングランドの女性の自由を守る秘密結社“ワイズ・ウーマン”のメンバー。ある任務を果たす最中、ハーロウ公爵クリストファーに15年ぶりに再会する。幼い頃フレイヤは家族が離散する憂き目に遭ったが、その原因となる事件に関わったのが彼だった。一方クリストファーは、突然馬車に乗り込んできた女性が、なぜ憎しみの目を向けてくるのか不審に思う。その夜以来、気づけば彼女のことばかり考えていた。二週間後、パーティで顔を合わせた二人。クリストファーの手には、フレイヤの兄がかつて身につけていた指輪が光っている。彼は兄の親友だったのだ。それなのに…真相を知ろうとするうち、いつしか二人は情熱のうずに巻き込まれていく。“グレイコート”シリーズ第一弾。
放蕩者に誘惑され、スキャンダルを起こして社交界から追放されたノラ。以来、田舎でひっそりと暮らしていたが、父親が破産したため、サターフィールド伯爵夫人のコンパニオンとして働くことになった。伯爵夫人は彼女を気に入り、社交界に再デビューさせる。伯爵夫人の義理の息子ケンダル公爵タイタスは、かつては放蕩にふけっていた。だが自分が仲間をそそのかしたせいで、ひとりの令嬢の運命が変わったことにショックを受けて改心し、社交界と距離を置く孤高の存在になった。義母からノラを紹介されたタイタスは、あの時の女性だと知って動揺する。せめてもの罪滅ぼしにと、彼女が社交界で注目を集められるよう協力するうちに、美しく知的なノラにどうしようもなく惹かれていくのだが…USAトゥデイのベストセラーリスト作家、初上陸。
親戚たちの手引きで社交界デビューしたパンドラ。田舎でのびのびと育った風変わりな彼女は、同年代の貴族の令嬢たちの集団からは浮いている。結婚にも興味がもてないので、舞踏会での恋のさやあてにも加われず、今日も舞踏会室の片隅でじっとしていた。しかし、ただ一人優しくしてくれた友人の危機を救おうとしたために、思わぬスキャンダルに巻き込まれてしまう。噂の相手となったセントヴィンセント卿ガブリエルは、責任をとって彼女と結婚すると言い出すのだが、自立をめざすパンドラは求婚を拒む。困惑するガブリエルだったが、パンドラのことを知るほどに、彼女の自由な心と聡明さに魅せられて…すべてを受け入れる深い愛に心ふるえる、“レイヴネル家”シリーズ第3巻!
海洋生態学を専攻するアニーは、環境を汚染する北海での原油掘削への抗議活動に誘われ、スコットランドのルイス島を訪れた。そこでチャーター船に乗った際、船内で爆弾を発見してしまう。実は行動を共にしていた仲間の正体は、過激な思想のもとに行動するエコ・テロリスト集団だったのだ。彼女はチャーター船の船長ディーンと協力してテロを未然に防いだが、テロリスト集団が行った殺人の濡れ衣を着せられてしまう。船長ディーンは、海軍特殊部隊ネイビー・シールズの隊員で、極秘調査のために身分をかくしてルイス島に潜伏中の身だった。テロリスト集団からアニーを守るため、二人で逃避行に出ることになるのだが…ヒストリカルの人気作家初のサスペンスノベル。『エンターテインメント・ウィークリー』が選ぶ「2017年ベストロマンス10」ノミネート作。
秘密結社“混沌の王”に拉致されてしまったアイリス。友人のカイル公爵に恨みを持つ結社が、彼の花嫁だと誤解してさらったのだ。人ちがいだと訴えても、彼らがやすやすと解放するはずがない。もめていたところ、結社の一員でオオカミのマスクを被った男が彼女をもらい受けると言って隠れ家から連れだした。彼を信用できないアイリスは、乗せられた馬車にあった拳銃の引き金を必死の思いで引く。肩を負傷し倒れた男のマスクを外すと、かつて舞踏会で会ったダイモア公爵だと判明した。公爵は捜査のために結社に潜入していたという。そして“混沌の王”の追っ手を振り切るためには、自分と結婚するしかないと彼女に迫るのだが、突然のことにアイリスは…。“メイデン通り”シリーズ、ついに完結!
映像制作会社を営むサンディと、フリー・カメラマンのマッケイドは高校時代からの親友。何でも話しあい、助け合ってきた二人だが、マッケイドは彼女への恋愛感情を心に秘めてきた。ついに告白しようとした矢先、彼女から「好きな人ができた」と打ち明けられる。サンディの片思いの相手は取引先の弁護士のジェームズ。上流社会に生まれ育ち、ハンサムで知的な、非の打ちどころのない男性だ。ひとめぼれしたけれど、彼女はアプローチできずにいる。撮影の協力を買って出たマッケイドは、サンディの恋の成就も手助けしようと決める。その甲斐あってジェームズとサンディは接近するが、やがてサンディは自分のことをいちばん大切に思ってくれる人が誰なのかあらためて気づいて…RITA賞受賞作家が描く、甘くもどかしい恋。
カイル公爵ヒュー・フィッツロイは、晩餐会に出席した真夜中の帰り道、暴漢に襲われた。そこに現れたのが「セントジャイルズの亡霊」と呼ばれる謎の人物。二本の剣を操る身軽な「亡霊」はヒューを助け、キスをしたかと思うと、たちまち姿を消した。「亡霊」は女性だった。自分を襲わせたのは誰なのか?晩餐会で目撃した密着のやりとりが関係しているのか?謎の秘密組織“混沌の王”が黒幕か?調査を進めるため、ヒューはセントジャイルズの情報屋の少年、アルフを呼び寄せる。ところがこのアルフこそ、「セントジャイルズの亡霊」だった。男装することで身を守って貧民窟で生き抜いてきた彼女は、正体がばれたのかと警戒しながら公爵に会いに行くのだが…。大人気“メイデン通り”シリーズ、新展開の第11巻!
パーティでのお披露目を目前にして、婚約解消したいという手紙を受け取ったクレア。なんと婚約破棄されるのはこれで4回目。彼女のせいではなく、婚約者の身の上にいつも何かが起きるのだ。すでに社交界では「レディ・クレアの呪い」と言われている。途方に暮れる彼女の前に元婚約者ポールの幼なじみであるアレックスが現われ、「力になりたい」と言う。不審に思うクレアだが。実はアレックスはわけあってポールに復讐しようとしていた。そこでポールの借用書を買取るかわりに婚約を解消させたのだ。アレックスは、勝手に自分とクレアの結婚を宣言し、「破産寸前の放蕩者から彼女を守りたい」と言い出したが、いったい!?全米ロマンス界騒然のヒストリカルの新星、ついに邦訳!
名門貴族の令嬢デボラは12歳のとき、オールストン侯爵ジュリアンと結婚式をあげさせられた。その日はじめて出会った花婿は挙式のあとすぐにフランスに旅立ち、彼女はわけもわからぬままにとりおこなわれた真夜中の式を、夢の中の出来事だと思い込んで大人になった。8年経ち、デボラは貴族の体面を重んじてばかりの家を飛び出して、亡くなった兄の遺児の世話をしながら暮らしている。ある日、森の中で傷を負った美しい青年を助けるが、彼こそは長くイングランドを離れていたジュリアンだった。しかし、互いの身元も知らぬまま惹かれあう二人。やがてジュリアンは、デボラが幼き日に結婚した妻であることを知るものの、名乗ることなく…運命に導かれた再会のゆくえは!?NYタイムズ、USAトゥデイ紙ベストセラーリストの実力派作家、待望の日本上陸!
モンゴメリー公爵バレンタインはギリシャ彫刻のように美しいが、放蕩者で邪悪な人物だと噂されている。ハウスキーパーのブリジットがバレンタインに仕えることになったのは、彼が屋敷に隠している秘密の品々を見つけて運び出すという使命を負わされたためだった。その品をもとに、上流階級の人々がおどされていると聞いている。ある日、室内を探っているところをモンゴメリー公爵に見つかってしまったブリジット。しかし、使用人とは思えない気品と知性のある彼女に興味を抱いた公爵は、処分を言い渡すことはなかった。いつしか二人は、会話を交わすことを楽しみにするようになる。そして互いの生い立ちの複雑さを知って、心の傷を癒やすかのように惹かれ合うのだが…大人の愛を描いて大人気の“メイデン通り”シリーズ第10弾。
「ロンドン一美しい男」と呼ばれるマンウェアリング侯爵セバスチャンは、我が身の不運をのろっていた。かつて舞踏会でほんの戯れに言葉をかけた令嬢に追いかけ回され、身の危険を感じて外国に逃げたほどなのに、帰国した途端そのせいで決闘に引きずり出される羽目に陥っている。放蕩者と後ろ指をさされるセバスチャンだが、ずっと想い続ける女性がいた。音楽会でピアノソナタを弾きこなす姿を見て恋におちた、意中の人の名はキャサリン。醜聞まみれの自分は嫌われていると思い込んでいる彼は、彼女に近づけない。一方、自分に自信がなくひきこもりがちなキャサリンは、華やかなセバスチャンに気後れしていた。しかし彼の意外な一面を知るようになって、かたくなな心もほどけていくのだが、二人には問題が…。微笑みあふれる愛の物語。
公爵家令嬢フィービーに、護衛として常に付き添うトレビロン大尉。目が不自由なフィービーを見守り、手助けすることが彼の任務だ。自らの境遇を受け入れ明るく前向きに生きている彼女の姿に心を打たれ、トレビロンはひそかに思いを寄せるようになっていた。そんなある日、彼が同行していたにもかかわらず、外出先でフィービーが何者かにさらわれてしまう。トレビロンは、間一髪で彼女を救い出せたものの、責任を感じて辞職を申し出る。フィービーはその時、彼が護衛としての役割以上に、自分の孤独に寄り添い、身も心も守ってくれていたことに気づく。ところが、トレビロンが彼女の前から立ち去ってしまった数日後、再びフィービーは誘拐される。それを知ったトレビロンは…。大好評“メイデン通り”シリーズ第8弾!