著者 : 織田作之助
結婚しない/できない女性や、不幸な結婚生活に立ち向かう女性、阿部定を思わせる妖婦、そして代表作「夫婦善哉」にも描かれたような、ダメ男と共にある妻…オダサクが描いた様々な女性像から、作家が求めた「理想」の変遷を追う。
敗戦後の昭和二十年代、そして高度経済成長と新左翼運動の昭和四十年代。世を根底から疑い、これに背を向け、あるいは反逆しようとする「デカダン文学」なるものが、とりわけこの二つの時代を中心に現れ出た。頽廃、厭世、反倫理、アナーキー、およびそこからの反転。昭和期のラディカルな文学的実践十三編を照射し、その背後に秘められた思想的格闘を巨視的に読みなおす。
国難の幕末にあって、薩英戦争などで薩摩藩内で、大胆な発想と行動の異色の開明派志士として頭角を表わす。英国巡歴後、経営手腕と財政感覚で倒幕に貢献する。維新後は政界から実業界に転進、大阪商法会議所の設立を始め、大阪の発展に尽くした。大阪をこよなく愛した無頼派の旗手オダサクが“恩人”の生涯を描く決定版二作。
戦後無頼派の代表的作家・織田作之助の代表作と、酒にまつわる小説・エッセイ等を多数収録したオリジナル作品集。デビュー作にしてすでに成熟した筆致が文壇を驚かせた「夫婦善哉」ほか、「アド・バルーン」「競馬」「世相」など大阪の風俗と庶民の喜怒哀楽を活写した小説や、死の直前に書かれた「怖るべき女」「可能性の文学」まで、織田文学の真髄に触れる一冊。
人間はからだを責めて働かな嘘やー不屈の精神で孫娘を育てあげる男の明治から昭和にわたる波瀾の生涯を描いた「わが町」。自意識過剰で不器用な青年の成長の日々を点綴した自伝的小説「青春の逆説」。織田作之助(一九一三ー四七)の代表的長篇二篇。
代表作「夫婦善哉」に、二〇〇七年に発見された「続 夫婦善哉」をあわせて“正続”とし、その他、芥川賞候補作「俗臭」、作者が「或る意味で私の処女作」という「雨」、あるいは伝説の棋士坂田三吉を主人公にした「聴雨」など、織田作之助(一九一三ー四七)のおもに戦中期の代表的短篇を収録する。
終戦直後の大阪の混沌たる姿に、自らの心情を重ねた代表作「世相」、横紙破りの棋風で異彩を放つ大阪方棋士・坂田三吉の人間に迫る「聴雨」、嫉妬から競馬におぼれる律儀で小心な男を描いた「競馬」、敬愛する武田麟太郎を追悼した「四月馬鹿」等、小説八篇に、大阪人の気質を追究した評論「大阪論」を併録。自由な精神で大阪の街と人を活写した織田作之助の代表作集。
流れに揉まれて生きる男と女、一芸に身を捧げる芸人、破天荒な勝負師ー一筋の道のほかには常識も理屈もない人々の、物悲しく鬼気迫る姿を描いた織田作之助の傑作短篇集。定跡に抗する大阪人の典型、坂田三吉を取り上げた「聴雨」「勝負師」、人形遣いの芸道修業を聞き書き風に記した「吉田文五郎」、失った妻への思いから狂ったように競馬にのめりこんでいく男を描いた「競馬」など11作品を収録する。
しっかり者の新地の芸者蝶子は若旦那柳吉と駆落して所帯を持ち、甲斐性なしの夫を支えて奮闘するー大阪の庶民の人情を自在な語り口で描いて新進作家の地位を確立した「夫婦善哉」のほか、「放浪」「勧善懲悪」「六白金星」「アド・バルーン」、評論「可能性の文学」。作家生活僅か七年、裏町人生のニュアンスに富んだ諸相を書き続けて急逝した織田作之助の代表作六篇を収録。