著者 : 若竹七海
10年ぶりの“葉崎市”は、とびきりビターな秋を迎えています。2020年秋、葉崎市の崖の上にある個人庭園“パラダイス・ガーデン”で、身元不明の老女の自殺死体が発見された。庭園のオーナー・兵藤房子は自殺幇助を疑われ、ささやかな彼女の暮らしは大きく乱される。葉崎署の二村貴美子警部が捜査に乗り出すが、この事件をきっかけにそれぞれの人物が抱える綻びが連鎖しはじめ、葉崎市に隠されていた謎がモザイクのように浮かび上がっていく…。
葉村の働く書店で“鉄道ミステリフェア”の目玉として借りた弾痕のあるABC時刻表が盗難にあう。行方を追ううちに思わぬ展開に(「逃げだした時刻表」)。相続で引き継いだ家にいつのまにか居座り、死んだ女の知人を捜してほしいという依頼を受ける(「不穏な眠り」)。満身創痍のタフで不運な女探偵・葉村晶シリーズ。
不運に愛される美しいお嬢様・テンコ、義理人情に厚い不良娘のユーリ、“歩く全国平均値”ことミサキの、超凸凹女子高生トリオが、毎度厄介な事件に巻き込まれ、おだやかな町・葉崎をかき乱す!学園内外で起こる物騒な事件と、三人娘の奇妙な友情が詰まった青春ミステリ。書下ろし掌編「潮風にさよなら」を特別収録した新装版!
都心まで一時間半の寂れたベッドタウン・辛夷ヶ丘。20年ほど前に“ハッピーデー・キラー”と呼ばれた連続殺人事件があったきり、事件らしい事件もないのどかな町だ。それがどうしたことか二週間前に放火殺人が発生、空き巣被害の訴えも続いて、辛夷ヶ丘署はてんてこまい。そんななか町で一番の名家、箕作一族の最後の生き残り・箕作ハツエがひったくりにあうという町にとっての大事件が起き、生活安全課の捜査員・砂井三琴が捜査を命じられたのだが…。(「ゴブリンシャークの目」)アクの強い住人たちが暮らす町を舞台にした連作ミステリー。著者の真骨頂!!
女探偵・葉村晶は尾行していた老女・石和梅子と青沼ミツエの喧嘩に巻き込まれる。ミツエの持つ古い木造アパートに移り住むことになった晶に、交通事故で重傷を負い、記憶を失ったミツエの孫ヒロトは、なぜ自分がその場所にいたのか調べてほしいと依頼するー。大人気、タフで不運な女探偵・葉村晶シリーズ。
長野県警から警視庁へ出向中の御子柴刑事。おおむね平穏な生活を送っていたものの、暮れも押し詰まってから次々と事件が発生。さらには凶刃に襲われて!相棒の竹花刑事は異変を察知し、御子柴のもとに駆けつけるが…。御子柴くんの身に危険と大きな変化がおとずれる、スイーツ&ビターなミステリー第二弾。
流行作家のマンションに集まった、同級生男女たちの思惑は?閉店してしまった地方書店。出版社の若手営業マンは割り切れなかった…。大学の同好会で熱心に絵画制作に打ち込む彼女。同学年の僕は彼女の情熱に…。学園祭で催された降霊会。何か企みがあるのではないか…。路線バスの降車ボタンをめぐる乗客同士の謎の競争。勝者は誰だ?逆行性健忘症で警察に保護された男には、二人の妻がいた!?六編のどんでん返しが、あなたを離さない。
凶悪な死刑囚に届いたファンレター。差出人は何者かを調べ始めた「私」だが、その女性は五年前に失踪していた!(表題作)女探偵の葉村晶は、母親の遺骨を運んでほしいという奇妙な依頼を受ける。悪い予感は当たり…。(「蝿男」)先の読めない展開と思いがけない結末ー短編ミステリの精華を味わえる全五編を収録。表題作で第66回日本推理作家協会賞短編部門受賞。
ひき逃げで息子に重傷を負わせた男の素行調査。疎遠になっている従妹の消息。依頼が順調に解決する真夏の日。晶はある疑問を抱く(「静かな炎天」)。イブのイベントの目玉である初版サイン本を入手するため、翻弄される晶の過酷な一日(「聖夜プラス1」)。タフで不運な女探偵・葉村晶の魅力満載の短編集。
探偵を休業し、ミステリ専門店でバイト中の葉村晶は、古本引取りの際に白骨死体を発見して負傷。入院した病院で同室の元女優の芦原吹雪から、二十年前に家出した娘の安否についての調査を依頼される。かつて娘の行方を捜した探偵は失踪していたー。有能だが不運な女探偵・葉村晶が文庫書下ろしで帰ってきた!
渋谷猿楽町署内で奇妙な事件が発生。クスリで保護された12歳の少女が、同時刻に逮捕されてきた万引き主婦のふくらはぎに噛みついたのだ。少女は、「前世で、その主婦が私を殺した復讐だ」と主張。猿楽町署の刑事・一条風太と、モノに残っている残留思念を読む“心の探偵”井伏美潮のコンビが事件の謎を解いてゆく。日本推理作家協会賞受賞の実力派が描く連作ミステリ5篇収録。不思議ミステリー。
三十人ほどの人間と百匹以上の猫がのん気に暮らす通称「猫島」。島の臨時派出所の巡査・七瀬晃の相棒は、丸顔で目つきの悪いでっかいドラ猫、DCだ。個性的すぎる島民や困った観光客が引き起こす騒動にてんてこまいの毎日。そんな中には、大きな事件も隠されていて…。お気楽だけど真面目な青年警官とポリス猫が、意外な(?)活躍を見せる傑作コージー・ミステリ。
念願の詩集を出版し順風満帆だった婚約者の突然の自殺に苦しむ相場みのり。健診を受けていないのに送られてきたガンの通知に当惑する佐藤まどか。決して手加減をしない女探偵・葉村晶に持つこまれる様々な事件の真相は、少し切なく、少しこわい。構成の妙、トリッキーなエンディングが鮮やかな連作短篇集。
最大瞬間風速88メートル、未だかつて日本が経験したことのない大型台風が三浦半島を直撃した。電話も電気も不通、陸路も遮断され、孤立したリゾートマンション。猛る風と迸る雨は、心に台風の眼のごとき空白を抱える滞在客を見境なく襲う。立て続けに訪れる極限の恐怖。そして炎までも、彼らを舐め尽くすべく身じろぎを始めたー若竹ミステリの分岐点となった大パニックサスペンス。
一戸建てを二人でシェア、料理さえ作れば家賃はタダ。そんなおいしい話を見逃す手はないー。というわけで、気はいいけれど変わり者のお嬢様・銀子さんの家に居候することになった私。しかし、引っ越し早々、幽霊は出るわ、ゴミ捨て場の死体騒動に巻き込まれるわ…なぜかトラブルが続発。郊外の平凡な住宅地を舞台に、愛すべき、ちょっと奇妙な隣人たちが起こす事件を描くミステリ短編集。
1932年、資産家の家に生まれた本山高一郎は、アメリカへ修業の旅にでることになった。その前日、横浜で久しぶりに会った旧友の河坂から、一編の謎の探偵小説の原稿を譲り受ける。高一郎は大型客船・氷川丸の船上の人となるが、この原稿の謎にせまるうちに数々の不可解な出来事に遭う…。