著者 : 草鹿外吉
旅に出る時ほほえみを旅に出る時ほほえみを
“人間”が怪獣をつくりだした。合金の骨格に緑色の人工血液、生肉を動力源とする鉄製の怪獣17Pは、前肢の鑿岩機で地中を進み、また拙いながら人間のことばも話した。怪獣を創造した科学者、“人間”は自ら怪獣に乗りこみ、地下潜行試験を繰り返していた。一方、市内で発生したストライキを鎮圧した国家総統は独裁体制を推し進める。「旅に出る時ほほえみを…」金属製の怪獣の歌う声が心に響く、現代のおとぎ話。
南十字星共和国南十字星共和国
南極大陸に建設された新国家が“自己撞着狂”の蔓延により滅びの道をたどる「南十字星共和国」。トルコ軍に占領された都市で、宰相の後宮入りを拒んで地下牢に繋がれた姫君の受難を描く残酷物語「地下牢」。革命の混乱のなか旧世界に殉じた神官たちの死と官能の狂宴「最後の殉教者たち」他。20世紀初頭、ロシア象徴主義詩人が紡ぎだす終末の幻想、夢と現、狂気と倒錯の物語集。
海よさらば海よさらば
敗戦。混乱と飢餓の中に、悩みつつも爽やかに輝く春青群像。新しい社会へ踏み出していく若い恋人たち、希望を抱いて働き学ぶ若者の群れ。折しも、ゼネストに立ちあがる労働運動のうねりが彼らをつつむ…。新生日本への息吹きと旧体制の崩壊をダイナミックに描く長編。
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