著者 : 荒俣宏
ゑびす殺しゑびす殺し
「ゑびすだァ、ゑびすじゃねぇか」やつがれは、同町内の古株刑事・広田勘蔵を誘って、ケイヅ釣に行った。釣り上げたのが、正真正銘のゑびすの土佐衛門だった。水死体は白い狩衣をまとい、大きな黒鯛を抱えこんで、七福神のゑびすそのものだった。水死体の身元が割れた。兄が見つかったのだ。兄は色黒で大黒天とそっくりの恰好の闇米屋だ…(「ゑびす殺し」)。他、著者の博引旁証の奇想世界作品集。
愛情生活白樺記愛情生活白樺記
大正十年冬、宮崎県日向〈新しき村〉の武者小路実篤の許に美しい女岡田晶が現れた。白樺派文学者たちが見守るなか、実篤、妻房子と晶子、三人の不思議な愛情生活が始まる-。奇才荒俣宏が、白樺派に託して愛と結婚のかたちを問う待望の長編幻想小説。