著者 : 菊池光
周囲の反対を押し切って、先祖代代敵対するアラデック家の息子と結婚した妹ホリイ。ところが、何者かの扇動による中傷記事によって二人が営む厩舎が窮地に追い込まれてしまった。憎悪に満ちた記事を陰で操る黒幕は誰か?チャンピオン騎手のキット・フィールディングは、妹夫婦の唯一の味方として背後関係を調べ始めるが、やがて彼の身にも魔手がのび始めた。徒手空拳の騎手がマスコミ界を相手に奔走するシリーズ第24弾。
KGBの命を受けて破壊活動を繰り返すテロリスト、フランク・バリイ。彼の暗殺を決意した英国情報部は、その実行者にバリイのIRA時代の戦友ブロスナンを選ぶ。だが彼はフランスの警官射殺の罪により、絶海の孤島で終身刑に服していた。釈放を条件に暗殺を請け負わせるべく、情報部IRAを引退したリーアム・デヴリンにブロスナンの説得を依頼するが…。『鷲は舞い降りた』のデヴリンが再び活躍するヒギンズの傑作長篇。
ハリウッド一の人気女優ジル・ジョイスが、TVシリーズ番組「フィフティ・ミニッッ」のロケでボストンにやって来た。ところが彼女は匿名者からの脅迫をうけ、ドル箱スターの身を案じたスタッフたちはスペンサーに身辺警護の依頼をしてきた。男好きで気難しく、いつも酔ってばかりいる彼女はスペンサーに変な関心を示しこそすれ、調査そのものには非協力的。脅迫の真相を探るうえで必要な情報をなかなか教えてくれない。そのうち身代わり殺人事件が起こり、事態は緊迫の度を増していく。したい放題のセクシーな美人女優のわがままに手をやきながらも、スペンサーはスーザン、ホークの手助けをえて、なんとしても脅迫者の正体を突きとめようと、女優の生まれ育った西海岸まで飛ぶが…。華やかなショウ・ビジネス界の裏で起こる悪夢のような事件に立ち向かう私立探偵スペンサー。人気シリーズ第17弾。
上院に打ってでようというアリグザンダー下院議員の警護を引き受けたスペンサーは、彼から驚くべき事実を打ち明けられた。何者かが妻のあられもない姿が映っているビデオを送りつけてきたというのだ。政敵の無言の脅迫か?打ちひしがれる議員を救うべくスペンサーは調査を開始した。スーザン不在のなか、ホークの友情、たくましく成長したポールに支えられ、スペンサーが政界を覆う黒い霧に挑む、好調シリーズ第10弾。
サンテミリオン、マコン…私は一本一本、慎重に香りを嗅ぎ、味見をしては吐き出した。どれも同じワインだー酒屋を営むビーチは、あるレストランで偽ラベルで売られている酒を発見した。しかも、それは氷山の一角で、偽酒は大量にでまわっていたのだ。さらに件のレストランのウェイターが惨殺されるに及び、事件は複雑な様相をみせはじめた…。利き酒の能力と知識を買われ、警察の捜査に協力するうち、ビーチは巨大な陰謀の渦に巻き込まれていく。酒の世界を舞台に、謙虚な勇気と該博な知識を武器に闘う男の孤独な姿を描く傑作サスペンス。
スーザンがカウンセリング指導をしている少女エイプリルが姿を消した。もともと悪い噂が絶えず、売春組織に関わっていた可能性もある。母親に懇願されたスペンサーは、たった1ドルの報酬で娘を連れ戻すことを請け負い、ホークとともに背徳うずまく歓楽街に潜入した。ところが何者かが圧力をかけているらしく、関係者は固く口を閉ざし関わり合いになろうとしない。やがて、複雑な糸を手繰り寄せ、ようやくエイプリルの居所をつきとめたスペンサーの前に、狡猾な売春組織がたちはだかった。揺れ動く少女の性に鋭くメスを入れたシリーズ問題作。
ワスプの弁護士ヴィンス・ハラーを介して、タフト大学当局がスペンサーに妙な依頼をしてきた。タフトは全米大学バスケットボール・リーグの有力校なのだが、最近、試合には勝っても故意に得点を減らしている、という噂が校内で流れている。その噂の出所をたどって真偽を確かめ、この一件に決着をつけてほしい、と。大学に出入りし、聞込み調査をつづけるうちにスペンサーは、最強のパワー・フォワードといわれる黒人選手ドウェインが巧妙に得点操作をしていることに気づく。輝かしい将来が約束されたスター選手なのに、なぜそんなことをするのか?もし発覚すれば、経歴に傷がつくだけではないか。背後に何かあるのか?大学内部の人間や選手たちが調査に非協力的であるにもかかわらず、スペンサーは何としても真相をつきとめたかった。八百長に巻込まれたスター選手のために一肌脱ごうと意気込む私立探偵スペンサー。完全復調なったシリーズ第16作。
流れ出した原油が夜の帳のように広がる海岸で、美しい女が鳥の死骸を抱いて泣いていた。女の名はローレル・ラッソ。原油流出事故を起こした石油王の一人娘だった。海岸で彼女を見かけたアーチャーは、その翳りのある美しさに心魅かれ自分のアパートに連れ帰った。しかし女は、何もいわずに致死量の睡眠薬を持ち出して姿を消した。夫の依頼をとりつけたアーチャーは捜査を開始するが、両親のもとに身代金を要求する脅迫電話がかかってくるにおよび事件は深い傷口をみせはじめた。悲劇にもてあそばれる人間の苦悩を浮きぼりにする巨匠の野心作。
モントリオールからヴァンクーヴァまで、ロッキイ山脈を越えて驀進するカナダ大陸横断鉄道。各地の競馬場でレースをしながら、車内ではミステリ劇を楽しむという趣向の特別列車が、競馬振興のためにカナダ・ジョッキィ・クラブの支援で企画された。ところが、乗客の中に危険な男が1人いた。英国人の馬主ジュリアス・アポロ・フィルマー。脅喝によって名馬をおどしとったり、さまざまな不正を働いている国際競馬社会の敵である。今度は何を企んでいるのか?かねてからフィルマーを内偵中の英国ジョッキィ・クラブは、保安部員トー・ケルジイをカナダに送った。ケルジイは身分を隠し、ミステリ劇の覆面俳優として、ウェイターに化けて特別列車に乗込んだ。馬、馬主、厩務員、競馬ファン、そしてひそかな陰謀を満載して、大陸横断列車はスタートした。行手には、ロッキィの大自然と大いなる危険が待ち構えている。サスペンスが鉄路を走る。待望のシリーズ第27弾。
2度目のハネムーンだと喜んで出かけたパリで、パツィー・ベルマンは死んだ。なぜか、夫妻の車に爆弾が仕かけられていたのだ。妻を失ったロジャーの悲しみは大きかった。事件は折りしも頻発していた爆弾テロの一つと判明したが、ロジャーはやがて、恐ろしいことに気づいた。妻の姉、弁護士、彼の秘書までが、莫大な財産を相続することになった彼を、妻殺しの犯人だと疑っているらしい…。小さな疑惑が皮肉な結末を招く上記アン・モリスの「列車で出会った若い男」をはじめ、サイモン・ブレッド、B・M・ギルらの傑作書き下ろし短篇11篇を収録。
3月初めの寒い日、ボストンの街は異常な連続殺人の話題でもちきりだった。これまで3人殺されていたが、いずれも40代の黒人女性で、みな両股の間を拳銃で撃ち抜かれ、みな乳房の間に赤いバラが1本おかれていた。被害者の職業も売春婦、ウェイトレス、ストリッパーと、どこか共通点がありそうだった。しかもマスコミから赤バラ殺人鬼と呼ばれはじめた犯人が、クワーク警部補あての手紙で、自分は警察官であると言ってきた。そこで警部補は、警察関係者でないスペンサーに協力を求め、ベルソン部長刑事と共に独自の調査グループを作った。そんな矢先、4人目の被害者が出た。悪魔のような殺人をくりかえす犯人は一体どういう人物で、狙いは何なのか?ボストンの街を凍えさせる赤バラ殺人鬼に立ち向かう私立探偵スペンサー!新展開をみせる人気シリーズ第15作。
風薫る初夏のパリ。今ここで核軍縮を目ざす東西五大国サミットが開かれようとしていた。続々と到着する各国代表団、そして報道陣。その中に四人の男女の姿があった。ケネディ暗殺は東側の陰謀と確信する元花形記者ドイル。無能の烙印を押されたアーンショウ前大統領。スキャンダルで国を追われたダンサー、メドラ。機密漏洩の疑いで職を解かれた元軍縮専門家ブレナン。地位も名誉も失った彼らは、再起を賭けてパリに集まったのだ。だが、そこで待ち受けていたのは、世界平和を脅かす恐るべき陰謀だった!圧倒的迫力で描く超大型国際謀略小説。
ソビエトの外交官ロストフは、ブレナンの潔白を証明できる人物だった。元記者ドイルの協力を得て、ロストフに接近を謀るブレナンは、偶然ジョー・ピートと名乗るアメリカ青年に出会う。ピートは、かつてソビエト政府当局と問題を起こしたことがあった。その彼がなぜ、パリにいるのか?国交断絶状態にあるはずのソビエトと中国が接近中との情報を得たブレナンは、メドラの友人を介してピートの正体を暴こうとするが…。当代屈指のストーリーテラーが、サミットをめぐる多彩な人間模様と、その陰で秘かに進行する戦慄の計画を描く画期的大作。
KGBに命を狙われたブレナンは、陰謀の存在を確信した。ソビエトと中国のタカ派が手を結び、軍縮交渉を反古にしようと狙っているのだ。アーンショウ前大統領の証言をもそれを裏付けた。だが、彼らはこのサミットで何を企てているのか?折しもサミットは大詰めを迎え、ヴェルサイユ宮殿では華麗な宴が開かれようとしていたー。
勤め先をくびになったテロリズム専門家ブース・ストーリングズのもとに、まるで待っていたかのように大仕事がとびこんできた。フィリピンの新人民軍(NPA)の指導者アレハンドロ・エスピリトを500万ドルで買収して香港へ亡命させろというのだ。依頼者はフィリピンに投資している謎の資本家グループ。エスピリトさえいなくなればNPAは骨抜きになり、アキノ政権は安定して、自分たちの利益も上がるというわけだった。何やら裏のありそうな仕事を手伝うために、海千山千のプロフェッショナルたちが極東に集結してきた。500万ドルの取引きをめぐって、虚々実々のゲームが開始された。スピーディでしたたかで、粋、ロス・トーマスの『女刑事の死』に続く待望の新作。
ソ連の外交文書伝書係クラコフが任務遂行中にアテネで姿を消した。極秘書類の入った鞄を携えたままアメリカ大使館に駆け込み、亡命を求めたのだ。その日から、いつ果てるとも知れぬ情報聴取が始まった。クラコフの供述に嘘はない。書類も本物に思える。だが聴取にあたった秘密機関〈特別行動班〉の長ストウンは疑念を拭い去れなかった。-この亡命は本物なのか、それともアメリカに偽情報を信じこませるための罠なのか?ストウンは確証を得るべく単身ソ連へ潜入を決意した。鬼才がデタントの影で火花を散らす米ソの暗闘を緻密な構成で描く。
マサチュセッツ州のど真ん中に小さな町ホイートンで、コカイン密売の調査報道をしていた新聞記者が射殺され、睾丸を切り取られるという事件が起こった。この無残な殺害事件の調査を依頼されてスペンサーは勇躍ホイートンへ向かう。そしてスペンサーの調査が進むにつれ、三人の女性が浮かび上がってくる。果して事件の真相をにぎるのは誰か?そうこうするうち新たな殺人事件が起こり、スペンサーの身にも危害がおよぶ。そこでスペンサーは恋人スーザンと盟友ホークに応援を求めるが…。何十億ドルという規模のドラッグ・ビジネスの世界に挑む私立探偵スペンサーの活躍を描く、人気シリーズ第14作。