著者 : 蛭田亜紗子
「ブルーチーズと瓶の蓋」夫の単身赴任に息子がついていくことになり、突然、誰かのためではなく自分のためだけに料理をつくることに。「教会のバーベルスクワット」四十歳を目前に妊活をやめた私は、夫との間に距離を感じ、魔が差したかのようにネットで知り合った男と逢瀬を重ねるように。「保健室の白いカーテン」年中体調不良の私は、現実社会のスピードに追い付けず、将来のことを考えるのが苦手で、焦燥感や後ろめたさをいつも先送りしてしまう。「森林限界のあなた」タトゥーを彫り付けようと山麓の店を訪ねた私には、その山をかつて、先輩イサミさんと登った思い出があった。「コンバッチ!」夫から突然、不倫相手の妊娠、離婚の申し出を受けた四十四歳の私は、言われるがままに条件を呑みこみ、さらに仕事も不調だったのだが…。
西洋化の波が押し寄せる明治の世。小説家を志す十七歳の宮島冬子は、当代一の文学者・尾形柳後雄のもとで女中をしながら執筆に励む。しかし、男社会の文檀では相手にされず、さらには望まぬ子を身籠もり窮地に立たされる。そんな冬子に「共謀しないか」と結婚を提案したのは、尾形の弟子・春明だった。新鋭作家として名を掲げる春明には、どうやら企みがあるようでー。その伴侶は心優しき理解者か、創作に憑かれた鬼か。切なくも衝撃的な結末が待つ異色の夫婦の物語。
広告代理店に勤める國枝颯子は、うっかりノーブラで出勤したある日、慌てて駆け込んだランジェリーショップで男性のフィッター、伊佐治耀に出会う。フィッティングを通して伊佐治からいい加減な生き方を指摘された颯子は、自分を見つめ直すようになる。“女であること”を持て余している後輩の百田馨、旬を過ぎた女優の本城夕妃、女装の趣味がある大狼社長、出産後のセックスレスに悩む同期の美鈴…颯子をとりまく人々も、伊佐治のランジェリーの魔法で変わり始めてー!?最高の一着とともに最高の恋が舞い降りる胸きゅんラブコメ。
大学生の上原沙矢は、恋人と行くはずだった旅先で出合った書物と石碑により、北の大地で娼妓として生き抜いた女たちと、タコ部屋で働いた男たちの存在を知る。-大正3年、網走の妓楼「宝春楼」へやってきた八重子は、知人に預けた最愛の息子の死を知り、いつかこの妓楼の頂点に立つことを誓う。裕福な生活を送っていた帝大生の麟太郎は、己の甘い考えによりタコ部屋に送られることになり、人生が一変する。北の果ての大地で、貧しさに打ち震えながら生きる女と男は、逞しく己の人生を切り拓いていく。そんな彼らの生き方を知った沙矢は、自分の行く末が見えない不安の中から、一筋の光を見いだす。新世代の大河ロマン誕生!
他人のものばかりほしくなる不倫女、スーパーの「お客さまの声」に夢中な主婦、旬がすぎ実家に帰ったタレント、人との距離が測れず、恋に人生に臆病になった女。愛に飢え、自分をもてあまし、将来に悩みながらも、このまま足踏みはしていられないー。現状に焦りやもどかしさを抱える6人の女性の生々しい性愛の呪縛と一瞬の煌めきを描いた恋愛小説。
広告代理店に勤める32歳の國枝颯子は、うっかりノーブラで出勤したある日、慌てて駆け込んだランジェリーショップ「Toujours Ensemble」で男性のフィッター・伊佐治耀に出会う。フィッティングを通していい加減な生活習慣や生き方を指摘された颯子は、伊佐治のランジェリーの魔法で少しずつ変わり始めてー!?“枯れ気味”な女子必読!心も体も生まれ変わるラブコメディ。
今の彼氏、将吾は前カレの大我と違い、優しくて料理も上手。でも付き合ったのは、大我と顔が似ているから(「あなたモドキ」)。婚約破棄をひきずって四年間セックスなし。その欲望の慰め方は(「ヴォルフガングとそのほかのこと」)。R-18文学賞出身の著者による、甘くほろ苦く、切ない大人の恋愛短編集。