著者 : 西村京太郎
京都発賢島行の近鉄特急ビスタEXで、大学准教授が殺された。彼はテレビ番組で、伊勢神宮を貶める自説を主張する予定だった。特急内の事件と、東京で殺されていた歴史雑誌編集者との関係は?女性容疑者を追う十津川警部が、“おかげ横丁”で見出した彼女の意外な姿とは?
轟音が晩秋の伊豆を切り裂いた。何者かが旧天城トンネルを爆破したのだ。後日、犯人を目撃した東京の女子大生が刺殺され、湯沢のスキー場ではゴンドラが爆発した!!一連の事件を大型犯罪の予行演習と推理し、亀井刑事を伴って粉雪舞う越後湯沢に急行した十津川警部を待っていたのは、JRと道路公団に届いた犯行予告だった。4億円を払わなければ、大清水トンネルと関越トンネルを爆破するというのだ。十津川警部は雪が血で染まる大惨事を阻止することが出来るのか?雪中の追跡劇の果てに辿り着いた犯人の意外な目的とは?
雑誌取材のため、四国・松山駅から出発する観光列車「伊予灘ものがたり」に乗り込んだ編集者の新見は、車窓から海に向かい祈る老女・金子ハルに興味を抱いた。太平洋戦争敗戦の翌日8月16日、ハルが愛した航空兵が当時最新鋭の戦闘機・紫電改で伊予灘を飛び立ったという。しかし、彼女以外、誰もその飛行を見た者はいなかった…この謎に迫るため取材を続けていた新見が死体で発見され、十津川警部が捜査を開始するがー。
旅行作家の菊地文彦が、東京の自宅で刺殺された。直前に岩手県の宮古へ取材に行ったことが判明。捜査にあたる十津川警部は、相棒の亀井刑事と宮古へ向かう。菊地が訪れた姫川村の寺で、砕かれた石碑に“列”という刻字を見つける。東日本大震災で破損しただけでなく、故意に粉砕したと感じた十津川は、石碑の由来を調べ始める。第二次大戦の特攻作戦に繋がると睨んで鹿児島へ飛ぶが…。特攻隊員の妻の命の叫びが、現代の殺意を呼んだ!?岩手と鹿児島を舞台に描く戦争&旅情ミステリー。書き下ろし。
あの男ー小早川が熱海に帰ってきた。小早川は、殺人罪で六年の刑期を務め出所したのだ。熱海と湯河原でクラブを経営していた美人ママを絞殺したという事件であった。小早川の出現により、平穏な温泉町に得体の知れない緊張が走る。そして二週間後、湯河原に住む公認会計士が、熱海のホテルで何者かに射殺された。そんな折、警視庁の十津川警部が、一月前に東京の成城で起きた幼女誘拐事件の容疑者として小早川に接近するが、さらに殺人が…。十津川は六年前の殺人事件から、細い糸をたぐり寄せるが!?
旅行誌「旅の話」の編集部員・香月修の殴殺体が発見された。怨恨、物盗りの可能性はなさそうだという。警視庁の十津川警部らの捜査が進むにつれ、香月が取材を進めていた“山手線一周の旅”で撮影した写真がなくなっていることが判明。犯人にとって不都合なものがその写真に写っていたのではないかと考えられたのだが、事件は予想外の展開を…!?「山手線五・八キロの証言」他、「午前九時の目撃者」「愛と殺意の中央本線」「L特急踊り子号殺人事件」の傑作四篇を収録!
編集長・和田は、六道珍皇寺の井戸に消えた編集者・佐伯を追い京都に来た。一方、十津川警部はある討論会で、京都もアメリカの原爆投下目標だったと知る。佐伯の事件を追って京都に来た十津川は、六道珍皇寺と薬師寺をつなぐという謎のトンネルで現世とあの世がつながっている証拠を見つける。しかし十津川はある疑問を抱くー。京都を知り尽くした著者が、京都と戦争、京都人の本質をテーマに、幻想的な手法で挑んだ、意欲的エンターテインメント!
警視庁捜査一課の市橋刑事は、祖父、勝之介の頼みを受け、呉と広島を写真撮影の為に訪れたが、呉の宿泊先で殺人事件に巻き込まれた。その後、勝之介が広島市内で殺害されたとの知らせを受け、十津川警部、亀井刑事と共に現地に向かった。二つの殺人事件の捜査の過程で、戦中戦後の勝之介を巡る出来事から事件は予想外の展開を…!?。
東京オリンピックを控え、警視庁の十津川警部は、警備計画について、連日、討議を重ねていた。十津川は、かつて、直前に返上となった「幻の東京オリンピック」に着目する。失敗の研究過程で、ある黒幕の存在が浮上する。昭和十五年の五輪開催を控え、東京市の五輪宣伝担当・古賀は、国際関係の悪化に悩みつつも、日中戦争停戦を画策する石原莞爾と協力し、アメリカ大統領と交渉するため、海を渡った。1940年の「幻のオリンピック」失敗の研究過程で浮上した謎とは!
後藤ゆみと名乗る女が伊豆・河津七滝のK旅館に宿泊した。二か月前、同じ旅館に泊まっていた同姓同名の後藤ゆみが七滝のひとつ蛇滝で死んでいたのだ。そして今度は、釜滝で男の射殺体が発見される!?その男が東京で起きた連続殺人事件の容疑者であることが判明し、十津川警部と亀井刑事が河津を訪れる。やがて旧天城トンネルで第三の殺人事件が…。後藤ゆみの正体は?(「河津・天城連続殺人事件」)ほか、「北陸の海に消えた女」「L特急やくも殺人事件」「阿蘇で死んだ刑事」の傑作四篇を収録。
福岡から大牟田へと走る西鉄特急の車内で、九十一歳の元社長が殺された。かつて三連覇に熱狂した西武ライオンズゆかりの地を巡り、鹿児島へ向かう旅の途中だった。被害者の「最後の旅」の目的地を辿り、ライオンズ黄金時代から遡って、十津川警部の捜査は意外な方向へ!
銀座のクラブのママが殺された。死体の口にはおしゃぶりが、胸には子供をあやすでんでん太鼓が置かれていた。さらに演歌歌手が殺され、この死体の口にもおしゃぶりがあり、胸にはこけしが置かれていた。奇妙な遺留品は、日本各地の子守唄を連想させることに注目した十津川はやがて、「子守唄を守る会」の存在を知る。そして、連続殺人事件は意外な方向に進み始めた。
東京駅に到着した「ひかり」号の洗面所で忘れ物が発見された。その持ち主が自宅近くで殺害され、捜査が始まった。調べを進めるなか、被害者の関係者である女性の死体が阿武隈川で発見された。容疑者とみられる男には、二つの事件のどちらにもアリバイがあって…(「ゆうづる5号殺人事件」)。このほか、同僚の亀井刑事が容疑者で捕まったり、妻の直子が事件現場に居合わせたり、といった事件が。容疑者による鉄壁のアリバイを、十津川警部はどう崩すのか!?東北地方を舞台にした、珠玉のトラベルミステリー五編を収録。
元大臣の小西が、連続少女殺人容疑で逮捕された。愛人の手紙が、小西のアリバイを崩す証拠となった。この事件を解決した亀井刑事はご褒美休暇で、息子の健一と長崎から観光列車「或る列車」に乗車。だが、終着駅の佐世保に着いた時、健一が消えた。誘拐犯は、亀井に証拠の手紙を要求するが…。相棒の窮地を救うため、凶悪犯に挑む十津川警部!JR九州の豪華観光列車を舞台に描く旅情ミステリー。
天橋立近くの浜で男の溺死体が発見された。右横腹に古い銃創、顔には整形手術のあとが残されており、死の数日前、若狭湾冠島周辺の海面をドローンで撮影する姿が目撃されていた…。そんな折り、十津川警部が舞鶴警察署を訪れる。東京月島で五年前に起きた銃撃事件に、溺死した男が関わっていた可能性があるという。捜査が進むにつれ、昭和二十年八月、オランダ女王の財宝などを積載した第二氷川丸が若狭湾で自沈した事実が判明し、その財宝にかかわる謎の団体の存在に行き当たったのだが…!?長篇ミステリー。
この世には勝者と敗者しかいない。あらゆる策を弄して自分は勝者になるー幼時に両親を失いアルバイト生活を送る早川吾郎は、新聞・テレビ界を牛耳る“マスコミの帝王”五味大造を叩き潰すことを決意する。手始めに五味の愛娘・奈美子に近付き、背後にうごめく疑惑を探ることに。手を変え品を変えて五味を罠にかける早川、反撃に転じる五味。手に汗握る死闘の行方は!謎とサスペンス満載の傑作長篇!初期代表作!
新宿駅西口バス爆破事件に巻き込まれた作家志望の北村悟は、思いがけないことから大金を手にした。長編小説を書き上げるため、それを機に長野県へ取材に向かったが、そこで出版社を経営する親子から意外な申し出を受ける。ますます意欲的に作品執筆に取り組む北村だが、そこには数奇な運命にもてあそばれる人々が…。
白昼の東京で銀行強盗が発生した。現場に居合わせ、犯行を阻止した栗原太郎は称賛され一躍有名に。だが、強盗らは「栗原は共犯だ」と証言、やがて栗原は姿を消す。十津川警部が彼の素性を調べると、親に捨てられ、福祉施設で育った過去が判明。彼が捨てられていた段ボール箱の謎の文字を手掛かりに、十津川は能登へ向かうが…。
警視庁捜査一課の北条早苗刑事は日下刑事と、友人で旅行代理店に勤める野田花世殺害事件を追う。花世は飯田線旅行の企画で知り合ったアイヌの青年・金子太郎と交際していた。十津川は飯田線三河一宮駅に近い出雲神話の神を祀る砥鹿神社の絵馬、さらに花世のマンションからK.Kを名乗る人物の暗号による脅迫状を見つける。事件と出雲神話の関連は?十津川は、金子の復讐への暴走をとめ、異常な犯人を逮捕できるか!?