著者 : 西村京太郎
東武浅草駅のコインロッカーから、位牌の入った木箱が発見された。位牌には名前と十日先の日付が入っており、箱の底には特急スペーシアの写真もあった。予告殺人を警戒した十津川警部と亀井だったが、その期日に特急「きぬ135号」の車内で男の死体が発見された。男は位牌に名前のある梅原誠だった。そして、今度は上野駅で位牌が見つかる。さらなる警戒も空しく、位牌に記載された坂西洋一郎が予告通りにカシオペア車内で殺害されてしまった。捜査は難航したが、十津川のひらめきにより容疑者が浮上。犯人の狙いは!?次の標的を防ぐことができるのか。
服毒死した大学生の傍に玩具の江ノ電が置かれていた。数日後、江ノ電に轢かれたらしい女性のバッグからも、同じ江ノ電玩具が発見された。犯人の狙いは何か? 長編旅情ミステリー。(解説/山前譲)
豪華客船「飛鳥2」を狙った大型テロ情報は果たして真実なのか?乗客の危険を未然に防ぐべく、十津川警部は妻の直子を伴い、日本一周8泊9日のクルーズに乗船した。本格的料理と多くの娯楽イベント、上品なカジノを楽しむ和やかな空気の中、航海は順調に進むかに思えたが。寄港地の函館で、なぜか着岸しない飛鳥2、そして船内で爆発音がー重大な異変を感じ、船長に詰め寄った十津川は、驚愕の真実を告げられる。船内に閉じ込められた乗客の運命はいかに!
東京の病院で監禁されているので助けて欲しいー奇妙な手紙が結ばれた風船が、京都府宮津にある建設会社の屋上で発見された。不審を抱いた社長の中西は、東京の探偵事務所に調査を頼むが、進展のないまま第二の風船が天橋立の展望台で拾われる。やがて、監禁に関わっていたと思われる家が焼失し、殺人事件も…!?十津川警部は、事件解明のために宮津へ飛んだ!傑作長篇ミステリー。
岡山発ひかり九八号が東京駅に到着。車掌長の安田は、グリーン車の洗面台に大金が入った財布と名刺入れ、高級腕時計が忘れられているのに気づいた。翌日、持ち主と思われる田島久一郎の他殺体が発見され、十津川と亀井の捜査が始まった。田島の妻・亜木子は田島の女癖の悪さに悩んで自殺していたのだ。続いて田島の浮気相手と思われる女の他殺体が阿武隈川の河原で発見され、容疑者が浮上するが、鉄壁のアリバイが…。(「ゆうづる5号殺人事件」)他、寝代特急富士、北斗星等を舞台に描いた傑作短篇5篇!!
細野新司は、金沢の女子大生竹内綾と遠距離恋愛中。ふたりは、3月14日北陸新幹線開業日に東京駅から「かがやき」で金沢へいく計画をたてる。だが、綾は現れず、細野は独りで新幹線に乗車し、彼女のマンションを訪ねるが留守だった。彼は手がかりを求め、綾の両親の住む宇奈月温泉へ向かう。そこへ警察から、江戸川で綾らしい女性の溺死体が発見されたと連絡が入る。捜査にあたる十津川警部は、細野に疑惑の目を…。東京、金沢を結ぶ連続殺人に挑む推理行。話題の新幹線を舞台に描く長編旅情ミステリー。
父親らしき男とともに、なにかを探し求めて鳴子温泉を訪ね歩いていた若い女性。その死体が、一つの川の流れを日本海と太平洋に分かつ分水嶺の傍らで発見された。東京下町の名曲喫茶に勤める彼女には、六年前に殺人事件を起こし、逮捕されるという暗い過去があった。そして、喫茶店の同僚にも魔の手がー十津川警部が分水嶺に見た運命の分かれ道とは?迫真のトラベルミステリー。
テレビのお宝鑑定番組に、大坂城落城の際に千姫が頭にかぶったという打かけが出品された。持ち主は千姫の末裔を名乗る、気品に満ちた美女だった。彼女が出品した打かけに、買いたいという申し出が相次ぐ。だが、彼女に近づく者は、次々と悲惨な死を遂げていった。謎めいた美女の周囲で続く殺人事件ー十津川が解き明かした、そのあまりにも哀切な真相とは?
不老不死温泉で殺人事件が起きた。重要参考人として、休暇で訪れていた警視庁刑事の酒井が連行される。弘前署から連絡を受け、十津川警部は青森へ。留置されている部下の話では、死亡した女性から誘われ、露天風呂に一緒に入ったはいいが、翌日には急に態度が変わったという。しかし解剖の結果、酒井が一人で露天風呂に入っていた時刻に、女性が死亡しており…(「死体は潮風に吹かれて」)。他、東北を舞台にした4編を収録。
十津川警部の部下である西本刑事は、深夜、自宅前で倒れていた赤いレインコートの女を救護するが、逆にレイプ犯として告訴されてしまった。現職刑事がレイプ!騒ぎ立てるマスコミから逃れるため西本は国東に旅立った。十津川は、そこに罠があることに気づき、西本を救うため立ち上がる。しかし、二重の罠が西本を殺人犯に仕立て上げたのだ!捜査線上に浮かんだ犯人の狙いは?
近藤の携帯に震災で亡くなった恋人渚から電話が入り、真相を確かめようと渚の故郷岩手K村へ。一方、大臣殺害事件を捜査する十津川は、K村出身の高木の指紋を発見し…。長編ミステリ。(解説/山前 譲)
浜名湖岸にあるビルが炎上し、男の焼死体が発見された。男の名は、藤田武。妻の美里には、何のために武が死んだのか分かっていた。時代は一気に、太平洋戦争の末期に遡る。武の祖父徳之助は「フジタ浜名湖地震津波研究所」をつくり、息子の健太郎と研究に従事していた。米軍による空襲が勢いを増し敗色濃い戦時下に、政府、軍部が国民に強いたものは言論統制、報道管制だった。そんななか、藤田親子は大地震・津波の襲来を予知し、警鐘を鳴らそうとした。そして、一九四四年十二月七日に、昭和東南海地震が起こる。これが次の大地震を誘発すると警告する藤田親子を、当局は拘留し弾圧した。実際に、翌年一月十三日には三河地震が起こったのだが…。しかしながら、徳之助は鉱山に、健太郎は沖縄戦線に送り込まれ、徳之助は行方不明になった。戦後、戦争での悪行を暴くために、藤田健太郎と息子の武は、それぞれの時代に動きはじめたのだったー。
作家の吉田は武蔵野の古い洋館を購入した。売り主の母が終戦後、吉田茂がマッカーサーの元に送り込んだスパイだったという噂を聞く。そして不動産会社の社員が殺害され…。十津川が辿り着いた真相とは?
都内でフリーカメラマンの永井俊が誘拐された。犯人からの要求はなく、3日後に無事保護された。十津川警部が被害者の身元を調べると、幼児期に八王子の浅川の河原で保護され養護施設で育てられた事がわかる。保護される以前の永井の記憶は、SL列車・桜・2人の男女、という曖昧なものだった。十津川はこの記憶が事件の鍵とにらみ捜査を進めたが、その矢先、大井川鐵道で永井を巻き込む第2の事件が発生した。
報酬は一億円。大明寺と名乗る人物にそう声をかけられた六人の男女。スリの達人、元JR運転士、射撃のオリンピック候補など、特殊な技能を持つ彼らが実行したのは、特急サンダーバードの乗っ取りだった。三時間以内に十一億円用意できなければ、四百人の乗客もろとも爆破するという。ノンストップで疾走する特急。刻限迫る中、十津川警部は犯行グループにどう挑むのか?
十津川警部の元部下の橋本豊は、仕事仲間の佐々木恵美と二人で探偵事務所を立ち上げた。しかし、恵美はある女性失踪に関する調査に向かったまま、連絡を絶ってしまう。その後、その調査の依頼人である建設会社の社長が刺殺され、恵美もビルから転落死したとの知らせが…。事件の背後に隠された真実を求め、十津川は飛騨高山、越中八尾へ!
休暇で京都を旅行中の十津川警部は、美しくも寂しげな女性に出会うが、彼女は「私は、彼を殺します」とノートに記した後、姿を消してしまった。十津川は事件を未然に防ごうと奔走するも、嵯峨野の竹林で女の他殺体が発見され、半月後には警視庁の近くでも男の死体が。嵯峨野から貴船、清水寺、鴨川、そして祇園祭ー古都を十津川が走り抜ける。
新製品キャンペーンのため、豪華な展望車とコンパートメント車両の臨時列車で京都に向かった時計会社の社長令嬢・楠木かおりが忽然と姿を消す。だが、彼女には失踪や自殺の動機は見当たらない。そんな折、列車内で女性客の縊死体が発見される。謎が謎を呼ぶ難事件に十津川警部の推理が冴え渡る!!
四谷のお岩稲荷の近くで銃声が響いた。左腕を撃たれた男は、運転免許証から吉良義久だと分かったが、本人は記憶を失っていた。十津川警部たちは、男を自宅まで送ったついでに、部屋を覗いてみると、三河湾周辺の写真集や観光案内などが並んでおり、「忠臣蔵」で悪者になっている吉良家の名誉を挽回するような書きかけの小説があった。自分の記憶を取り戻すために旅立った吉良を追って、十津川も亀井とともに三河へ向かう。