著者 : 西田ひかる
ささやかな背徳ささやかな背徳
カロラインは亡き父の借金を清算して生計を立てるべく、自宅を売りに出し、書店員として働きに出ていた。そんな彼女のもとに、ある日、結婚話が舞い込む。傲慢で悪名高きラザフォード伯爵が、花嫁を探しているというのだ。聞けば、彼は余命幾ばくもなく、すぐに跡継ぎが欲しいらしい。たとえ相手が稀代の放蕩者であっても、結核に苦しむ幼い弟のために、どんなひどい扱いも我慢するつもりで、カロラインは面接の場に赴いた。初めて会う伯爵の見事な美貌と、心の奥底に悪魔を隠した雰囲気、そしてあからさまな視線と質問に、彼女は思わず頬を赤らめた。「立ち入ったことに触れるが…きみは安産型の腰をしているか?」
売り渡された娘売り渡された娘
美しき略奪者に売り渡されたことを、 清らかな乙女はまだ知らない……。 16歳の孤児マリアンは後見人のカーステアズから、 今後は彼の知り合いの貴族のもとで暮らすようにと告げられる。 親切な老紳士だろうと思って屋敷を訪れると、 彼女を迎え入れたデズモンド卿は、若く野性的な美男だった。 じつは、デズモンド卿にポーカーで負けたカーステアズが、 持ち金がないため、代わりに“被後見人”を譲ると言ったのだ。 だが、デズモンド卿はそれを誤って娼婦と解釈しており、 大人っぽいドレスを着て現れたマリアンを、寝室へといざなった。 何も知らない無垢な彼女は、思わぬ展開に呆然とした。 なぜ、こんなことに……! 彼の腕の中で、マリアンは運命を呪った。 迎えの御者に連れられ辿り着いたのは、ポピーやダリアが色鮮やかに咲き乱れる荘園屋敷。まるでおとぎ話のような景色に胸弾ませるマリアンでしたが、その夜に起きたとんだ事態に思わず涙をこぼします。そこで過ちに気づいたデズモンドは……? 感動の名作です。
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