著者 : 谷崎由依
生き延びましょう。私たちらしく生きられる世が訪れるまで。昭和初期、女工の絵子は、福井に開業した百貨店の「少女歌劇団」の脚本係をすることに。出会ったのは“看板女優”の“少年”だったー。一途な少女の淡い恋と、自我の目覚めを描く長編小説。
小説家としてデビューしたものの著書は一冊だけ、しかも絶版。そんな私が関西の巨大私立大学で創作を教えることになった。小説家としての先行きへの不安や夫との対立、動機も目的もさまざまな学生たち…執筆はますます行き詰まり、教え子たちも隘路へとはまり込んでいく。教師としての自身の経験を元に、小説と格闘する人々を描いた表題作の他、女性と世界との葛藤を浮き彫りにする作品集。
優しいニヒリストと称され、愛されてきた作家カート・ヴォネガット。彼が84年の生涯で著した、笑いと愛に満ちた全短篇を、8つのテーマに分類し集成。4分冊の第三巻には、「ガール・プール」「ハイアニス・ポート物語」をはじめとする「ロマンス」「働き甲斐vs富と名声」テーマの24篇を収録する。
はるかな歴史を持つ僧院で、少年僧が言葉の深淵に触れる「…そしてまた文字を記していると」、雨降る集落でひっそり交わされる人々の営みを描く「Jiufenの村は九つぶん」、熱帯雨林にそびえる巨樹であった過去を持つ男の物語「天蓋歩行」など、言葉の魔力に酔いしれる幻想譚、全五編。
コーラはランドル農園の奴隷だ。身よりはなく、仲間たちからは孤立し、主人は残虐きわまりない。ある日、新入りの奴隷に誘われ、彼女は逃亡しようと決意する。農園を抜け出し、暗い沼地を渡り、地下を疾走する列車に乗って、自由な北部へ…。しかし、そのあとを悪名高い奴隷狩り人リッジウェイが追っていた!歴史的事実を類まれな想像力で再構成し織り上げられた長篇小説。世界を圧倒した奴隷少女の逃亡譚。ピュリッツァー賞、全米図書賞、アーサー・C・クラーク賞、カーネギー・メダル・フォー・フィクション、シカゴ・トリビューン・ハートランド賞、レガシー・フィクション賞、インディーズ・チョイス・ブック・アワード受賞!ニューヨーク・タイムズ・ベストセラーAmazon.comが選ぶ2016年のNo.1。
ジンバブエからアメリカへー。グァバを盗んだり、ごっこ遊びをしたり、天真爛漫に遊ぶジンバブエでの日々を経て、少女ダーリンはアメリカに移り住む。しかし豊かで物があふれる国での暮らしは、予想外に戸惑うものだった。笑いをまじえながら生々しい現実を軽やかに描き、ジュノ・ディアスに絶賛されたデビュー作。PEN/ヘミングウェイ賞受賞。
女性作家としてブッカー賞最年少受賞!喪失と再生をめぐる家族の物語。少女サイは、インド人初の宇宙飛行士を目指していた父を母と共に交通事故で亡くすと、母方の祖父である偏屈な老判事に引き取られた。老判事はすでに引退し、ヒマラヤ山脈の麓の古屋敷に隠居していたが、孫娘の出現は判事と召使いの料理人、そして近所の老人たちの慰めとなるのだった。やがてサイは、家庭教師のネパール系の青年ギヤンと恋仲になる。急速に親密になっていくふたりだが、ネパール系住民の自治独立運動が高まるにつれ、その恋には暗雲が立ちこめる-。時代の流れに翻弄されながらも力強く生きる人々の姿をコミカルに、チャーミングに描きあげるインド系著者の出世作。全米批評家協会賞も受賞。