著者 : 豊島与志雄
和文&英文対訳、百年近い時を経ていまよみがえるセピア色のファンタジー。作家・豊島与志雄(福岡県朝倉市出身)の童話傑作選。和文は小学校高学年の読み聞かせに、英文は中・高校生の学習に最適!
アーサー王伝説を踏まえたファンタジー「幻影の盾」。SPレコードにまつわる怪異をえがいた「サラサーテの盤」。妖しい幽霊屋敷を舞台にした都市幻想小説「白血球」。超現実主義的手法で夢の世界を克明に記述した「夢の中での日常」。他全48編。
イスラム世界の民話・伝説が奔放不羈な空想の翼に乗って燦然と花開いた物語の饗宴アラビアン・ナイト。千と一夜にわたってシャハラザードが繰り広げる綺談のアラベスクは歓喜と陶酔の夜へとあなたをいざなう。文学的香り高いマルドリュス版の完訳。
バグダードの床屋、自称「沈黙家」が、生来の詮索好きから、恋にやせ細った若者をさんざん悩ませたあげく、自分がいかに慎み深く口数が少ないか、6人の兄を引合いにとうとうと語りだす「仕立屋の話」はまさに抱腹絶倒の面白さ。シャハラザードの話術が冴える。
回教王オマルの側女ソフィーアとは、実は海賊にさらわれて王のもとに献上されたキリスト教徒の王女にほかならなかった。復讐を誓うキリスト教徒軍と回教徒軍のあいだに、延々王家3代にわたる戦いが始まる。『平家物語』をおもわせる『千一夜物語』中の最長篇。
勇猛果敢の若き王子カンマカーンが登場。イスラム軍・キリスト教徒軍の最後の対決が迫る。前巻にひきつづいて語られる長篇物語の終幕の後は、孔雀や烏や狐など、小さな動物たちの語りだす知恵の数々が、さながら小粒の真珠のようにきらめく寓話集「鳥獣佳話」。
七たびにおよぶ航海の行く先ざき、海に陸に空に地に、シンドバードが出会う世にも怪奇で不思議な事どもと驚くべき冒険の数かず。このおなじみ「船乗りシンドバードの物語」を生み出したのは、旅に憧れ未知の世界に好奇心をもやす、古今かわらぬ人間の心だ。
正直男が曳く驢馬を歩いている最中に盗んだ泥棒の手口とは?愛人にするのによいのは青年か壮年か2人の細君のおしゃべりの結論は?読み書きのできぬ男がどうやって学校の先生をつとめたのか?愉しい21の小話からなる「智慧の花園と粋の庭」ほか。
盗みと詐欺の達人がその腕をみこまれて警察の隊長にとりたてられたと聞き、自分の評判をたてようと老婆ダリラがくわだてた悪だくみの数かずとは?バグダードの巷を舞台に、老若貴賎、男と女が入り乱れての無類に愉しいピカレスク「女ぺてん師ダリラ」の物語。
狩に出た教王ハールーン・アル・ラシードの前に現れたのは貧乏漁師のカリーフ。「どうだ、ひとつ俺の手伝いを始めて漁師の仕事を覚えないか?」王をしがない貧乏人とかん違いし、こうもちかけたが果たしてその成り行きは?「カリーフと教王の物語」ほか。
魔法のランプを手に入れたことから、魔神の助けを得て大金持となり、ついには王女をめとって一国の王にまでなるという、あまりにも有名な「アラジンと魔法のランプの物語」。時代をこえ、民族をこえて、永遠の夢を贈りつづける魔法の書物アラビアン・ナイト。
昼は夜はたらく泥棒を、夜は昼はたらくスリをと、いっぺんに2人の男を夫にした女の策略もついに露見。2人からなじられて、「では、見事な腕前をみせた方を夫に選びましょう」。そこで始まった腕くらべの軍配は?巷の民衆の姿が躍動する「羊の脚の物語」。
「開け、胡麻!」呪文を唱えるや、洞窟の岩はするすると口を開き、仰天するアリ・ババの目の前にまばゆいばかりの財宝の山があらわれたー。今も昔もかわらない、夢を抱きつづける人間の心が生んだこの魔法の呪文の物語「アリ・ババと四十人の盗賊の物語」ほか。
王子は宴から消えた美しい乙女を捜し求めて、彼女が落していった足環を町中の娘にはめさせる。アラビア版シンデレラ物語「足飾り」をはじめ11の短篇を集めた『のどかな青春の団欒』。あふれる歓喜と驚嘆のなかに人生の真理と教訓をひそませた物語の一大宝庫。
アラブ民族の歴史をはるか父祖の時代からたどった15のエピソード集「知識と歴史の天窓」など6篇。夜ごと、聞き手の心を驚きの限り驚かせ、喜びの限り喜ばせてきたシャハラザードの物語世界も、迎えていよいよ千一夜目、ここに華麗な幕を閉じる。
コゼットとジャン・ヴァルジャンは青年マリユスの前から消えた。落胆にしずむマリエス。だがある日、隣部屋にすむ怪しげな一家の様子をそっとうかがう彼の目の前に思いがけずも2人が姿を現わした。そして2人を陥れようと悪事をたくらむこの一家の正体とは…
1832年6月5日、パリの共和主義者は蜂起した。激しい市街戦が展開する。バリケードにたてこもった人々の中にはマリユスとジャン・ヴァルジャン、そして今やスパイとして捕われたジャヴェルの姿があった。物語はいよいよ大詰にむかって進展する。
貧しさにたえかねて一片のパンを盗み、十九年を牢獄ですごさねばならなかったジャン・ヴァルジャン。出獄した彼は、ミリエル司教の館から銀の食器を盗み出すが、神のように慈悲ぶかい司教の温情を翻然として彼を目ざめさせる。原書挿絵二百枚を収載。