実業界、政界に雄飛した父は、女性遍歴を重ねていく。その蔭で、母は歌集を編むことによって自らの心を癒す。青春時代、父に反抗しながら、結局は後を継ぎ、大企業のトップに立つ主人公が、今や、忌み嫌っていた父に似てきたことを覚る。自己の内面に潜む、救いようのない血塗の心奥を吐露した長編小説。