著者 : 酒井昭伸
はるか未来、容姿も社会体制も変貌しきった人類は、古い歴史をもつ異星種族セネクシと果てしない戦いを続けていた。原始星群をめぐる巡航艦“混淆”で、敵の抹殺だけを教えられて育った少女プルーフラックスはきたる初陣に思いを馳せていたが…。圧倒的なスケールと美しいヴィジョンで人類と異星人との戦いを描いたネビュラ賞受賞作「鏖戦」。近未来、200万の人口を擁する月コロニー。そこにある天然の洞穴を利用した科学施設“氷穴”では、絶対零度達成の実験が進行中だった。ここに、100年以上ものあいだ冷凍保存されていた人間の頭部410個を地球から持ち込み、一大データベース化しようとする新たなプロジェクトが動き出す。月世界での壮絶かつ衝撃的な実験を描いた星雲賞受賞作「凍月」。2022年11月に逝去したベアの真骨頂たる、ハードSFの代表中篇2篇を収録した一冊。
“氷と炎の歌”で描かれる世界の300年前、東方のヴァリリアよりドラゴンを従えてウェスタロスの地を踏み、“炎と血”で七王国を支配したターガリエン家の治世を綴った一大年代記。日本版は原書Fire&Bloodを二分冊して2カ月連続刊行する。前半部の第1巻では、七王国を統一した“征服王”エイゴン一世から、“残酷王”メイゴル一世、そして、ウェスタロスに長い平和と繁栄をもたらした“調停王”ジェヘアリーズ一世の治世を描く。
正体不明の「病原体」アンドロメダ因子による人類絶滅の危機に、招集された4人の科学者たちが立ち向かった「第一次アンドロメダ事件」から50年ー。アメリカ、フェアチャイルド空軍基地にて“永遠の不寝番”計画は、アンドロメダ「病原体」が再び現れるのを監視し続けていた。計画が打ち切りになる直前、地形マッピングドローンが、ブラジルのジャングルにて奇妙な物質を検出、それはあの「病原体」と同じ科学的特徴を持っていた!この衝撃的な発見により、世界中から集まった多様な専門家による調査チームが、アマゾン密林へ派遣された…。人類は再び未曾有の脅威に立ち向かう!マイクル・クライトンの出世作にして革新的なテクノスリラーを、気鋭の著者が発展昇華した遺族公認の公式続篇。
ロボット工学者ジェイムズ・ストーン、材料科学・ナノテクロノジーの専門家ニディ・ヴェーダラら「ワイルドファイア計画V2」のメンバー4人と護衛部隊は、国際宇宙ステーションの宇宙飛行士ソフィー・クラインによる上空からのサポートを受けつつ、ブラジルのアマゾン奥地を目指した。無数のホエザルの死体を検分し、未接触部族の襲撃から逃れた調査隊のメンバーは、ついに怪現象の発見現場に到達する。そこにあったのは、見たこともない形状と性質を持つ漆黒の大構造物だった!アマゾンの密林から、正体不明の構造物の深部へ、そして宇宙へと話は導かれていく。そして、謎の「病原体」はかつてより進化し、人類を恐怖に陥れる…。『アンドロメダ病原体』原書刊行50周年企画、遂に登場!
『七王国の玉座』で語られる時代から約百年前、デナーリスから遡ること数代、前王朝ターガリエン家による統治が続くウェスタロス大陸で、諸国を遍歴して城から城へと渡り歩く“草臥しの騎士”ダンクと、その従士となった少年エッグー数奇な運命を背負う二人の波乱万丈の冒険を描く。海外ドラマの最高峰「ゲーム・オブ・スローンズ」へと繋がる中篇「草臥しの騎士」「誓約の剣」「謎の騎士」の3篇を収録。
異種生命ヴォルクリンと接触すべく9人の研究者を乗せて旅立った宇宙船“ナイトフライヤー”。だが謎の現象が続発する中、彼らは狂気に囚われていく…。Netflixでドラマ化された表題作。先住種属の調査のため、異星を訪れたふたりの超感覚能力者をドラマティックに描いたヒューゴー賞受賞作「この歌を、ライアに」、初訳作品3篇など、SF/ファンタジイ界を代表する作家マーティンの傑作全6篇を収録。
図書館の書架に住まうE・A・スミスは、推理作家E・A・スミスの複生体である。生前のスミスの脳をスキャンし、作家の記憶や感情を備えた、図書館に収蔵されている“蔵者”なのだ。そのスミスのもとを、コレット・コールドブルックと名乗る令嬢が訪れる。父に続いて兄を亡くした彼女は、死の直前、兄にスミスの著作『火星の殺人』を手渡されたことから、この本が兄の不審死の鍵を握っていると考え、スミスを借り出したのだった。本に込められた謎とは?スミスは推理作家としての知識と記憶を頼りに、事件の調査を始めるが…。巨匠ウルフが贈る最新作にして、騙りに満ちたSFミステリ。
『七王国の玉座』から遡ること約一世紀、ターガリエン家がウェスタロスを統べる時代、“草臥しの騎士”ダンクと、その従者エッグの冒険を描く中篇3篇を収録。“氷と炎の歌”シリーズ初の短篇集。「草臥しの騎士」-ダンクは、旅の途上で死した師、サー・アーランの亡骸を葬った。武具と馬、わずかな貨幣を受け継ぎ、草臥しの騎士となり旅を続けるダンクは、禿頭の少年エッグに出会う。ダンクは騎士としての矜持を示すため、アッシュフォードでの馬上槍試合に出場するが…。「誓約の剣」-不落城のサー・ユースタスに仕えるダンクは、河間平野の干上がった川を調べる途中、冷濠城のレディ・ローアンの領民が川をせきとめ、水を独占していたことを知る。ローアンに謁見したダンクは彼女に心惹かれるものを感じるが…。「謎の騎士」-北の“壁”に向けてエッグとともに旅の準備をするダンクは、バターウェル公が催す馬上槍試合への出場を決意する。だが、試合会場である白亜城では優勝者に与えられる“ドラゴンの卵”をめぐって、さまざまな陰謀が渦巻いていた。
総帥ジョン・スノウも列席していた結婚の宴の真っ最中、北の果ての黒の城に“巨人殺しのトアマンド”が野人たちと共に“壁”の向こうから襲撃を開始する。一方ミーリーンには、女王デナーリスと結婚したヒズダール王の招きにて、多くのユンカイ人が和平条約の調印と闘技場見物のため集結していた。その騒ぎのさなか、デナーリスは手のつけられぬ竜たちの様子に危機の到来を予感する…傑作異世界戦史第五部、堂々完結。
アトレイデス公爵は皇帝の命を受け、惑星アラキスに移封されることになる。過酷な砂漠の惑星アラキスは、抗老化作用を持つ香料メランジの唯一の産地である。宿敵ハルコンネン家に代わりそこを支配することは、表面的には公爵家に大きな名誉と富を約束する。皇帝やハルコンネン男爵の罠だと知りつつ、公爵は息子ポールの未来のため惑星アラキスに乗り込むが…。ヒューゴー・ネビュラ両賞受賞の壮大な未来叙事詩を新訳版で!
ハルコンネン男爵の策謀によって、アトレイデス公爵は不慮の死をとげ再度、アラキスは男爵の手に落ちてしまう。公爵の世継ぎポールは、巨大な砂蟲が跋扈する危険な砂漠へ母ジェシカとともに逃れ、砂漠の民フレメンの中に身を隠すことになる。しかしこの過酷な環境と香料メランジの大量摂取が、時間と空間を果てしなく見通す超常能力をポールにもたらす。彼はフレメンの伝説の救世主ムアッディブとして歩みだすことに!
そして遂に復讐の時がきた。フレメンの一員と認められたポールは、その超常能力から、預言者ムアッディブとしてフレメンの全軍勢を統率する立場になっていた。ハルコンネン家の圧政とポール指揮下のフレメンの反撃に、惑星アラキスは揺れる。状況を危惧した皇帝とハルコンネン男爵は、軍団を引き連れ、再び惑星へと降り立つが…。映画化・ドラマ化され、生態学SFの先駆けとしても知られる伝説的傑作。
ときは遠未来。海王星軌道上の“ジレンマの監獄”から脱獄を遂げた名うての量子怪盗ジャン・ル・フランブール。かれを救出したのは、戦闘サイボーグ少女ミエリと喋る宇宙船“ペルホネン”だった。火星での冒険のすえ、過去の記憶と、謎の“箱”を入手したジャンは、次なる行き先を封鎖された地球へと定める。いっぽう地球では、ソフトウェア生命である精霊と暮らしたことで家族からなかば縁を切られていた有力者の娘タワッドゥドが、姉から奇妙な命令を受けていた…。アラビアン・ナイトの世界と化した異形の地球で展開する、ポストヒューマン時代の冒険譚!『量子怪盗』続篇。
『ケルベロス第五の首』『デス博士の島その他の物語』の名匠ジーン・ウルフによる第二短篇集がついに登場。リンカーン誕生日から大晦日まで、アメリカの祝祭日にちなんだ作品で構成された予測不可能な物語が詰まった驚異のコレクション!出来損ないの世界でのビジネスマンの凝縮された一生を描く不条理中篇「フォーレセン」、ピーター・パン由来の死のイメージが散りばめられた不気味な一作「取り替え子」、車が○○する話「カー・シニスター」、クリスマス・イヴの新旧おもちゃの攻防戦「ツリー会戦」など“言葉の魔術師”ウルフが華麗な文体と技巧を駆使して贈る、予測不可能な物語と知的仕掛けに満ちた初期短篇全18篇を収録。
突如として世界に出現した謎の領域“エリアX”。そこでは生態系が異様な変化を遂げ、拡大を続けていた。監視機構“サザーン・リーチ”に派遣された、生物学者をはじめ女性4名からなる調査隊は領域奥深く侵入し、地図にない構造物を発見、そしてそこに棲む未知の存在を感知する。さらに進むべきか、引き返すべきか?無事に帰還できた隊は過去に存在しない…。大型エンタテインメント“サザーン・リーチ”三部作開幕。
迫りくる暗雲を打ち払え!“異形”の脅威から人びとを守るためジョン・スノウは黒の城で一人奮闘するが…絢爛たる戦闘絵巻、第5部堂々完結。ローカス賞ファンタジイ部門受賞の異世界戦史。
青白い太陽が昇っては沈み、また昇る。空は黒雲に覆われ、稲妻が閃き雷鳴が轟くなか、黒い手と青く光る目の死者が、丘の斜面に口をあけた裂け目のまわりをうろつく。だが、決してなかへは入れない。丘の内部では、半身不随の少年がウィアウッドの玉座につき、ささやき声に耳を傾けていた。“冷たい手”に導かれ、ついに目的地に到着したブランは、“最後の緑視者”である“三つ目の鴉”から「空の飛びかた」を学んでいたのだ。そこからさらに南へと下った、といっても酷寒の地であることに変わりはない黒の城では、スタニス王が南へと発って以来、奇妙な虚脱感が漂っていた。そんななか、総帥であるジョンは古株の黒衣の兄弟たちが考えもしなかったような施策をつぎつぎに打ち出していく。なんとしても“壁”を死守するという固い決意のもとに。一方、さらに南の白い港では、捕えられ処刑の日を待つサー・ダヴォスの前に、思いもかけぬ人物が現われ…ますます佳境に入る壮大なる異世界戦国絵巻!
白竜、緑竜、黒竜の三頭の竜を従え、デナーリスはミーリーンで女王として君臨していた。だが、その前途には暗雲がたちこめる。都の中では内乱をもくろむやからが殺戮を繰り返し、外では敵対勢力が都を包囲せんと軍を進めていた。さらに、竜たちはどんどん巨大化し、残虐さを増して、デナーリスでさえ抑えきれなくなったのだ。そのころ、父タイウィン公を殺害したティリオンは、密告者の長ヴァリスの手によってキングズ・ランディングを脱出、“狭い海”を渡りペントスのマジスター・イリリオのもとに身を寄せていた。イリリオから、女王デナーリスが軍を率いて七王国へ帰還するときの軍師になるよう求められたティリオンは、勇躍ミーリーンへと旅立った。だが、ドーンのプリンス、クェンティンもまた、父である大公の密命を受け、三頭の竜とデナーリスを七王国に帰還させるべく、女王の都に向かっていた…。四度めのローカス賞に輝く現代最高の異世界戦史。
ピーター・ジャンセンは生物学を専攻する大学院生。マサチューセッツ州ケンブリッジの大学で、仲間の六人の院生と共に先端研究にいそしんでいた。そんな七人の科学者が、新薬開発を行なうベンチャー企業Nanigenマイクロテクノロジーズにリクルートされる。ハワイの謎めいた研究所に招かれたピーターたちは、そこでハイテクを駆使した革新的な装置“テンソル・ジェネレーター”の存在を知るが…。やがてNanigenが関わる犯罪を知ったピーターら七人は、“テンソル・ジェネレーター”によって身体を百分の一サイズに縮められ、ハワイの密林に放り込まれてしまう。四十八時間以内にもとの大きさに戻らないと副作用から死を招くらしい。牙をむく獰猛な大自然を前に、若き科学者たちは専門知識のみを武器にジャングルから決死の脱出を図るー。クライトンの死後パソコンから発見された未完の遺稿を、練達のサイエンス・ライターが書き継いだ、巨匠の真骨頂を示す最後の傑作スリラー。