著者 : 酒井昭伸
獲物をかじる不気味な物音、闇にこだまするあやしい鳴き声、鬱蒼たる森にうごめく奇怪な虫たちー。そのただなかで、身長二センチほどのマイクロヒューマンにされたピーター・ジャンセンら7人の大学院生は、持てる知識を総動員して脱出を目指していた。その一方、七人の存在が目障りなNanigenの社長ヴィン・ドレイクは、武装した刺客を“テンソル・ジェネレーター”で縮小して送り込む。だが、同社周辺で続発する事件に不審を抱いた警察が動き始めた。さらに、行方不明となった院生らを気づかう謎の人物もまた、Nanigenをひそかに監視していた。ピーターら若き科学者たちは無事にスーパージャングルを切り抜け、もとの身体に戻ることができるのか?科学とフィクションを巧みに融合させたエンターテインメントの最先端にして、大自然への畏敬に満ちた巨匠のラスト・メッセージ。
“神智圏”の化身、上位存在たるプロスペローにより、ハーマンは古典的人類へ伝達すべき大量の知識を脳内に詰めこまれた。彼は愛しい妻アーダのもとへ帰るべく、果てしなき旅に出る。一方、イリアム平原における戦況は激変していた。怒れる神ゼウスが、ヘラをはじめギリシア勢を支援する神々に鉄槌を下したのだ。神々の庇護を失なったギリシア軍勢は、今にも壊滅しそうに思われたが!?巨匠のSF叙事詩、ここに堂々完結。
遥か未来の地球、古典的人類たちは女主人アーダが暮らす邸宅アーディス・ホールに集い、殺戮機械へと変貌した下僕ヴォイニックスの攻撃に備えていた。武器を用意し、柵を築き、なんとしてでも最後の砦を守らんとする人類たち。だが脅威は音もなく迫り来つつあった。一方、英雄アキレウスは死せるアマゾンの美しき女王、ペンテシレイアを蘇らせんとしてオリュンポス山麓を訪れるが…。巨匠の壮大なるSF戦乱絵巻第2巻。
ギリシア神話の神々によって復活させられ、トロイア戦争を観察してきた学師ホッケンベリーがとった行動をきっかけとして、戦いの局面は大きく変化した。刃を交えていたアカイアとトロイアの軍勢が手を組んだのだ。アキレウスやヘクトルをはじめとする英雄たちは、これまで自分たちを守護してきたゼウスら神々に叛旗をひるがえし、苛烈なる戦闘に突入した!ローカス賞受賞作『イリアム』の続篇にして完結篇、いよいよ開幕。
辺境の植民星サン・パウロで、探鉱師ラモンは、酒のうえの喧嘩でエウロパ大使を殺してしまった。大陸北部の人跡未踏の山間に逃げこんだものの、ラモンは謎の異種属と遭遇し、つかまってしまう。しかも、異種属のもとから脱走した人間を捕らえる手先になれと命令された。異種属の一体、マネックに“つなぎひも”でつながれ、猟犬の役をはたすことになったラモンの運命は…?人気作家三人による、スリリングな冒険SF。
遥か数千年もの未来、地球化された火星のオリュンポス山の麓に住む学師ホッケンベリーは、ギリシア神話の神々やアキレウスら英雄たちが、ホメーロスの『イーリアス』さながらに戦うトロイア戦争の動静を観察していた。しかし、ある女神に召し出され、思いもよらない使命を受けたときから、一介の学師ホッケンベリーの運命は大きく狂い出す…。現代SF界の巨匠シモンズが圧倒的なスケールで贈る新叙事詩シリーズ開幕篇。
数千年後の未来の地球では、わずかに残った人類が、仕事も学問もせず、衣食住の保証された享楽的な生活を送っていた。そんな中、何世紀もの時を生きてきた“さまよえるユダヤ人”サヴィと出会ったハーマンは、定められた寿命の百歳を目前にして世界の成り立ちを解き明かすべく旅に出た…。一方、イリアム平原の戦局は、転換点を迎えていた。大神ゼウスの雷撃に対し、アキレウスら英雄たちは…。波瀾万丈のSF叙事詩。
バーネットは抗癌性物質を分泌する体質の持ち主。彼は、自分の細胞を無断で売った大学と買い手のBioGen社を相手に、訴訟を起こす。BioGen社の研究員ジョッシュは、人を成熟させる遺伝子の研究をしている。一方、ヒトの遺伝子を導入した人語を操るオウムとヒューマンジー(ヒトとチンパンジーの交雑体)が人知れず成長していた。幾多のエピソードから浮かび上がる悪夢の未来図。急逝した巨匠が生前発表した最後の小説。
BioGen社が保存するバーネットの細胞株が汚染され、彼自身も姿を消した。同社の依頼を受けた私立探偵は、バーネットの娘と孫から細胞を採取すべく、二人を追う。オウムのジェラールは鳥かごから逃げ出して冒険を繰りひろげ、学校に通い始めたヒューマンジーのデイヴは騒動を巻き起こす。そして、成熟遺伝子を組み込んだ薬を吸ったジョッシュの兄の体に異変が…事実とフィクションを一体化させ、斬新な構成で描く野心作。
現世に並びなき傑物と謳われたラニスター家当主タイウィン公亡き後、「鉄の玉座」の実権は、公の娘である王母サーセイ太后が握った。だが、王都の小評議会の参議を自らの取り巻き連で固めたサーセイは、専横のかぎりをつくし、臣民の信頼をも失っていく。一方、父タイウィン公を喪った責めを自らに向ける隻手の騎士ジェイミーは、「王の楯」総帥として禁欲的に自らの信ずる道を進む。それがため姉サーセイと反目し、なかば王都を追われる形で戦場へ戻ることになる。大陸の西に位置する鉄諸島では、前王の弟「鴉の眼」ユーロン・グレイジョイが御座につき、水軍を率い王土南部の略奪を開始した。さらに最南部のドーンでも反逆の胎動が始まっていた。機略に長けたマーテル家の大公ドーランは雌伏してその時を窺う…。七王国の大陸ウェスタロスは、いまや双獅子の玉座を狙う鴉どもの跳梁する下剋上の地と化した。新たな展開を見せる現代最高のファンタジイ・シリーズ、第四弾。
患者が持つ特別な細胞を製薬会社へ売り、莫大な利益を得た大学病院。当の患者は、大学と製薬会社を相手取って訴訟を起こす。成熟を加速させる遺伝子を組み込んだ新薬。それを誤って口にした男の体に起こる異変とは?離婚訴訟で親権を得るため、夫が妻の遺伝子診断を依頼。これが社会の常識になるのか?一流のスポーツ選手、CEO、国家の指導者たちはみな同じ遺伝子を持っていた-その学説が引き起こす大きな波紋。巨大なゴキブリ、おとなにならない仔犬-最新技術によって、新しいペットが誕生する?ヒトの遺伝子を導入して生み出されたチンパンジーとオウム。人語を自由にあやつる彼らが起こすさまざまな事件。巧みにちりばめられたエピソードの中から、やがて浮かび上がる悪夢のような未来図。“超頭脳”クライトンが斬新かつ大胆な構成で描く最新作。
絶世の美女ヘレネをめぐって始まったトロイア戦争を戦っていたギリシア神話の英雄たちは、圧倒的な力をふるう神々に対してついに叛旗をひるがえした…これまで、地球化された火星のオリュンポス山の神殿に住む神々は、トロイア側あるいはギリシア側につき、英雄たちとともに戦争をしていた。その戦いは、まさにホメーロスの書いた『イーリアス』そのままの展開だった。だが、神々にナノテクで復活させられ、戦争の経過を観察させられていた学師ホッケンベリーの行動が、トロイア戦争を英雄たちの神々への挑戦に変えてしまったのだ。木星の衛星系に住む半生物機械モラヴェックたちは、地球化された火星近傍での量子活動異常の真相を探るべく、調査隊を送りこんだ。やがて、調査隊の一員だったエウロパ属のマーンムートとイオのオルフの活躍で、大挙して火星に到着したモラヴェックの援軍が、英雄たちと手を組み、ともに神々との戦いに挑んでいく。圧倒的な力を持つ神々と戦争をはじめたギリシア神話の英雄たちとモラヴェックの運命は…ローカス賞を受賞した『イリアム』に続く、待望の完結篇。
はるか未来の地球で、数千年にわたり、仕事も学問もせず、衣食住のあらゆることを自動機械の下僕たちに任せ、パーティーに明け暮れていた人類の生き方は、ある日、突然襲ってきた大流星雨とともに、大きく変わった。世界の謎を探るべく旅に出たハーマンとディーマンの冒険で、地球をめぐっていた小惑星が落ち、世界中の送電が停止され、自動機械の下僕は動かなくなり、これまで忠実な召使いとして働いていたヴォイニックスたちが人間を殺しはじめたのである。女主人アーダの住むアーディス・ホールに集う人々は、そこに滞在していたオデュッセウスの指導のもと、大きく変貌した世界の状況に対処すべく、独自の活動をはじめていた。だが、そこにも恐るべき敵が近づいてきつつあった…“ハイペリオン”シリーズで人気のシモンズが、ギリシア神話をめぐる物語をはじめ、シェイクスピア、シェリー、ブレイク、ブラウニングなどの戯曲や詩を織りこみつつ描く、トロイア戦争をめぐる壮大なSF巨篇。
はるか数千年もの未来、地球化された火星のオリュンポス山のふもとに住む学者ホッケンベリーは、イリアムの平原でギリシア神話の神々や英雄たちがホメーロスの『イーリアス』さながらに戦うトロイア戦争を観察していた。神々にナノテクで復活させられたホッケンベリーは、この戦争の記録をとらされていたのだ。だが、彼は思いもよらぬ使命をある女神からさずかる。地球でわずかに生き残っている人類は、仕事も学問もせず、衣食住のあらゆることを自動機械の下僕たちに任せ、享楽的な生活を送っている。この世界の仕組みに疑問をもった男ハーマンやその友人アーダとディーマンは、世界の謎をつきとめるべく旅に出た。木星の衛星エウロパに住む半生物機械モラヴェックのマーンムートは、イオのオルフらとともに、火星探検隊の一員として、火星へと向かった。地球化された火星で起こっている異常な量子擾乱の原因を調査しようというのだが…。「ハイペリオン」四部作で人気のシモンズが、ギリシア神話とSFをみごとに融合させた二部作の第一弾。ローカス賞受賞作。
パリの北にあるフランス海洋学研究所から、証人と証拠を消し去ったうえで、波動力学の実験データが盗み出された。時を同じくして、マレーシアでは空洞発生装置が、ロンドンでは膨大な量の対戦車ミサイル用の誘導ワイヤーが、そしてカナダでは小型潜水艇が、それぞれ何者かによって調達されていた。一方、MIT危機分析センター所長のジョン・ケナーはネットを通じていち早くその動向をキャッチするーこれらを結びつける共通項はいったい何なのか?平均海抜1mの島嶼国家ヴァヌーツは、水位上昇による領土の喪失を恐れ、地球温暖化の元凶であるとして最大の二酸化炭素排出国アメリカを相手にした提訴を決める。訴訟支援を表明した環境保護団体NERFに、多額の資金援助をしている富豪ジョージ・モートンだが、その行動が普段と違うことに顧問弁護士のピーター・エヴァンズは気づく。時を置かず、モートンは失踪して行方不明となり、自宅からは暗号のように四組の数字が並べられたメモが発見される。そこにケナーが現われ、人為的気象災害を目論む環境テロリストの存在が明らかとなるのだが、果たして目標となる地域は何処で、一体そこで何が引き起こされるのか?エヴァンズはモートンの秘書サラと共に、南極に始まる、世界各地での戦いの渦に巻き込まれて行く。いま現実に起こり得る恐怖を描きながら、地球温暖化問題への明確な立場を示して、全米でも話題騒然の巨匠最新作。
ある島嶼国家が地球温暖化を盾に合衆国相手の訴訟を表明した。その機に乗じて環境テロリストが仕掛ける人為的異常気象災害。目標となる四つの地域の情報から彼らを阻止すべき者達の戦いが始まる。地球温暖化は本当に起こっているのか?環境テロリストによる人為的気象災害を阻め。
付近の惑星に周期的に災厄を撒き散らす謎の星、“禍つ星”。そこに赴けば、誰もが巨万の富と絶対的な力を手にできるという。その秘密を追う学者に雇われた宇宙商人ハヴィランド・タフは、サイバー技術者、用心棒ら、いずれ劣らぬ曲者の五人と現地へ向かう。だが、彼らを待ちうけていたのは、超巨大宇宙船“方舟”号からの思いもよらぬ攻撃だった!表題作ほか、宇宙一あこぎな商人タフの冒険を描く連作集、待望の第一弾。
失業中のコンピュータ・プログラマーのジャック・フォアマンは、ナノテク(超微細技術)開発に携わるハイテク企業、ザイモス社に勤める妻ジュリアの様子がおかしいことに気づく。まるで別人になったかのように、性格、振る舞いが一変しているのだ。さらに、末娘に原因不明の発疹が現われたり、不審な人影が徘徊するなど不可解な出来事が相次ぐ。おりからザイモスでは、想像を絶する異常事態が起きていた。ネヴァダ州の砂漠に建設された製造プラントから、偵察用カメラとして開発された分子機械(ナノマシン)が流出し、制御不能に陥ってしまったのだ。ナノマシンには生物の“捕食者-被食者”の関係がプログラムされており、以前勤めていた会社でこのプログラムの開発にあたったジャックは、事態収拾のためにプラントへと赴く。しかし、ザイモス社独自の技術により開発されたナノマシンはウイルスのように自己増殖を始め、予想をはるかに超えるスピードで進化を遂げていた。野生化したナノマシンは、獲物を狙う捕食動物のようにスウォーム(群れ)となって人間への攻撃を開始した!暴走したマシンを破壊する手だてはあるのか?はたして人類は生き残れるのか!?テクノロジーの暴走に警鐘を鳴らし続ける巨匠が放つ未曾有のハイテク・パニック・サスペンス。全米で200万部のブロックバスターを記録し、20世紀フォックス映画化も決定した超話題作。