著者 : 鈴木のえ
帰る場所も生きる道も失った私に、 彼は何度も優しさをくれたーー。 領主館に勤めるスザンナは、敷地内の小さな家でおばと暮らしていた。 だが最愛のおばが亡くなったとたん、くびを宣告されたうえに、 半月のうちに家も明け渡すよう命じられてしまう。 かつて孤児となったスザンナを、おばは温かく迎え入れてくれた。 以来、この家は唯一、心から安らげる場所だったのに……。 退去までにすべきことをスザンナが紙に書き出していたそのとき、 目の前に、おばの最期を看取った外科医ガイが現れる。 初対面では冷たい印象だった彼が、今は気遣う表情を見せている。 その瞬間、必死にこらえていた悲しみがあふれ出し、 スザンナの青白い頬を、大粒の涙が静かに伝っていった。 逆境にめげず、けなげに生きるヒロイン像で大人気のベティ・ニールズ。中でも、いじらしさでは群を抜くヒロインが登場する本作では、ヒーローの魅力もひときわ光ります。最初は冷たく感じられたドクターでしたが、実はさりげなく彼女を助けてくれていて……。
最愛の義兄で、敵で、 悪魔のように魅力的な人……。 ブレナが12歳のとき、母がウェイド一族の家長と再婚した。 ブレナの義兄となったネイサンは傲慢の極みのような人だったが、 彼女は心密かに憧れの念を抱いてきた。 だが22歳の今、ブレナは二度とネイサンに会いたくないと思っていた。 去年の春、ネイサンにプロポーズされ、一夜をともにしたのに、 そのプロポーズは、亡き両親が彼女に残した遺産を手に入れたいがための、 欲得ずくのものだったとわかったのだから……。 私のことを愛してもいないのに、プロポーズなんかしないで! 愛なき求婚から、そして最愛の義兄から逃げだして1年。 今再び、ブレナの目の前にネイサン・ウェイドが現れたーー 英国女王エリザベス2世からもその活躍を讃えられた作家による不朽の銘作シリーズ《キャロル・モーティマー・コレクション》をお届けします。ロマンスの“話巧者”と評される所以をとくとご覧あれ。
切なさや悲しみはこらえてきた。 でも、こらえきれない涙もある……。 領主館に勤めるスザンナは、敷地内の小さな家におばと暮らしていた。 だが最愛のおばが亡くなったとたん、くびを宣告されたうえに、 半月のあいだに家も明け渡すように言われてしまう。 かつて孤児となったスザンナを、おばは快く引き取ってくれた。 以来、ここは唯一安心できる我が家だったのに……。 退去までにすべきことを、スザンナが紙に書き出していると、 目の前に、おばの最期を看取った外科医のガイが現れた。 初対面では冷たい印象だった彼も、今は気遣う表情を見せている。 その瞬間、懸命にこらえていたはずの悲しみが、 大粒の涙となって、スザンナの青白い頬を流れ落ちたーー 不遇ながらも一生懸命に生きる主人公を数々描いたB・ニールズですが、中でも本作のヒロインは屈指のいじらしさ。交通遺児となり、大学に行く夢が叶わなかった切なさを抱えていても、けっして顔には出さないスザンナが、なぜかガイに対しては感情を隠せず……。