著者 : 鏑木蓮
遊園地に残されたカメラ、撮影現場から失踪した斬られ役、喫茶コーナーで倒れた記憶喪失の男ーーわずかな手がかりから人生の謎を解き明かし、ねじれた過去を修復するのが、思い出探偵社の仕事。▼京都府警の刑事だった実相浩二郎、元看護士の一ノ瀬由美、かつて両親を惨殺されたため心に傷を抱える橘佳菜子に、新メンバーを加えた探偵社の面々が繰り広げるハートフル・ミステリ。▼シリーズ第二弾。
人生は「思い出」の積み重ねでしかありえない。良きにつけ悪しきにつけ、そのひとが生きてきた証なのだーー。▼小さなガラス瓶、古いお守り袋、折り鶴……、そうした小さな手がかりから、依頼人の思い出に寄り添うようにして、人や物を捜し出していく“思い出探偵”。▼京都御所を臨む地で「思い出探偵社」を始めた元刑事の実相浩二郎は、探偵社のメンバーである元看護師の一ノ瀬由美、時代劇俳優をめざす本郷雄高、十年前に両親を惨殺されて心に傷を負った橘佳菜子と共に思い出と格闘し、依頼人の人生の謎を解き明かす。▼「思い出」は心を豊かにすれば、苦しめもするーー乱歩賞作家が紡ぎ出す、せつなさと懐かしさが溢れるミステリー。
マンションの一室で孤独死を遂げた老人。遺品整理の最中、8ミリフィルムが見つかる。そこには温かく微笑む中年女性の姿が映っていた……。「無縁社会」と呼ばれるいま伝えたい絆と想いの物語。
感動の江戸川乱歩賞受賞作が待望の文庫化! 極限の凍土、シベリア捕虜収容所で起きた中尉斬首事件。60年の沈黙を自らに強いた男が突如、姿を消した。歴史の闇に光を当てた、魂を揺さぶる渾身の一作。 第52回江戸川乱歩賞受賞作! 男は帰還(ダモイ)を果たし、すべてを知った。 自費出版に持ち込まれた原稿が60年前のシベリアと現代の事件を結ぶ。 舞鶴でロシア人女性の遺体が発見された。時を同じくして抑留体験者の高津も姿を消す。2つの事件に関わりはあるのか。当時のことを綴った高津の句集が事件をつなぐ手がかりとなる。60年前極寒の地で何が起こったのか? 風化しても消せない歴史の記憶が、日本人の魂を揺さぶる。 ※本書は2006年8月、小社より単行本として刊行されました。