著者 : 関口幸男
“消耗品扱いの要員”という言葉をご存じだろうか。女だてらに未踏惑星探査を任とするわたしもその一員。この25世紀、任務遂行中に不慮の死を遂げやすい惑星探査要員には、身体的に瑕疵をもち、損失をさほど惜しまれない人員があてられるのだ。そのわたしが、帰還率ゼロの危険な惑星メラクィンの探査を命ぜられた。ついに年貢の納めどきが来たかと思いきや…期待の俊英が放つ、謎と波瀾横溢するアドヴェンチャーSF。
任務から還った者のない惑星メラクィンへ決死の探査行に赴いたわたしは、実際の星を見て驚いた。それは地軸の傾きから大気組成まで、あらゆる点で地球によく似た惑星だったのだ。なぜここがそんなに危険なのか。そもそも、地球の近接宙域にこういう惑星がどうして存在しうるのか?疑問と怖れをいだいて地表に降下したわたしの前に現われたのは、ガラスの体をもつヒューマノイドだった!ゲーム感覚あふれる傑作冒険SF。
地球外知性探査計画は、ついに宇宙からのメッセージを受信した。深宇宙からアレシボ天文台が受信した謎のメッセージはふたつーひとつはメタンの触媒に関するもの。これにより燃料を完全燃焼させることが可能となり、人類は無限量のエネルギー発生装置を手にすることになった。ふたつめは、DNAの塩基配列に関するもの。この異星のDNAと人間の卵子とを結合させ、人類は新たな生命体を創りだすことに成功したが…。
人類最古のDNAを求める探索行で深傷を負ったマロリーは、海洋生物の形態をしたアガサン人のもとで、半人間半機械として再生した。だが「氷瀑」へ戻った彼は伝説的パイロットであるソリの暗殺計画で無実の罪を着せられ、投獄されてしまう。はたして悲惨な獄中生活を生きのびられるのか、そして銀河の究極の謎は。全人類の存亡を左右する謎解明に命を賭けるマロリーの、波瀾に満ちた半生を描く傑作長篇。感動の完結。
極寒の惑星「氷瀑」に育ったマロリーは、正式にパイロットに任命されるやいなや“エンティティ”と呼ばれる宇宙のバイオ=コンピュータとの接触に成功した。その結果、人類を救う鍵“古エッダの秘密”は最古のDNAにしるされていると判明。マロリーは、ネアンデルタール人のDNAを自らの遺伝子に組みこんだアラロイ人を求めて新たな探索行へ旅立つが。生命の究極の謎を追うマロリーの活躍を描く傑作長篇。
ザルク宮廷でイノスと再会を果たしたのもつかのま、ラップは、皇帝アザクに捕らえられて投獄されてしまった。いっぽうアザクは、イノスを妃に迎えたものの、前皇妃ラシャの呪いのせいで花嫁には指一本触れられぬありさま。そこでアザクは、魔道師四人衆に呪いを解いてもらおうと、イノスを連れてインプ王国の王都フブに赴くことにした。イノスは幽閉されているラップの身を案じながらも、アザクと共にフブに向かうが…。
仲間の助けで牢獄を脱出したラップは、イノスを追って一路フブをめざした。同じころ、クラスネガルの王座を狙う〈北の国〉の領主カルコルも、おのれの権利を魔道師四人衆に保証してもらうべくフブに向かっていた。さまざまな思惑が交錯する世界の中心フブー。そこで、クラスネガルの王座を賭けて、魔法の窓が予言したラップとカルコルの運命の死闘がくりひろげられようとしていた。壮大なスケールの四部作、堂々の完結。
なんとか西の魔道師と北の魔女の手を逃れたラップは、透視能力を買われて、ヨッツンのガトモルガ指揮する交易船〈嵐の踊り子〉号に奴隷として乗り組み、フェアリー島をあとにすることになった。しかし、イノスを捜しに船出する望みを果たすまもなく、〈嵐の踊り子〉号の本拠地がガルクの領主カルコル麾下の海賊に襲われ、ラップとガトモルは捕虜にされてしまった。囚われの身となったラップを待ち受けていたものは…。
〈同盟〉には、アリの政治的立場だけでなく命まで狙う動きがあった。それを知ったアリは初代アリがコンピューター内にのこしたデータのすべてを手に入れ、後見人である叔父からさえも独立した勢力基盤をひそかにかためはじめる。おりしも首都ノヴゴロドで反体制派による破壊活動が頻発し、アリの身近はさらに緊迫するが…。人間製造の技術を手にした人類の姿をえがいて数々の問題を提示する傑作巨編、堂々の完結。ヒューゴー賞受賞作。
初代アリは複製の育成のために、公私にわたる莫大な記録をのこしていた。後見人である叔父との確執、仲間の子供たちとの駆引き、性のめざめー。多くの悩みを抱えるアリに、初代アリはコンピューターを通して語りかけ、アリは初代アリの人生をなぞるかのように成長していく。いっぽう防衛庁内部では、テープ製造を独占しているリシューンの国有化を主張する一派が台頭し、アリの立場を脅かしはじめるが。ヒューゴー賞に輝く傑作巨篇第三巻。
生前みずからが残した詳細なデータをもとに再生されたアリ。なにも知らずに成長した彼女が七歳のとき、突然ママが姿を消してしまう。七歳で実母と死に別れた“初代アリ”と同じ環境を作るため、後見人たちがとった措置だった。やがて自分が、かつて絶大な権力を誇った女性の“複製”であることを知った彼女は、初代アリが残した全遺産の相続権を主張して法廷に立ち、一躍マスコミの寵児となるが。傑作SF巨篇第二巻。ヒューゴー賞受賞。
〈辺境〉星域における反地球勢力〈同盟〉の中心地、惑星サイティーン。ここでは植民政策にともなう人員増強のため、徹底した遺伝子操作とテープ学習によって人間が“製造”されていた。この技術を管理する遺伝子工学研究所は、ひとりの老獪な女性科学者アリアンが全権を掌握している。才能と権力をほしいままにする彼女が極秘のうちにすすめる、きわめて危険な試みとは。ヒューゴー賞に輝く傑作SF巨篇、堂々の開幕。
クラスネガルの王宮に侵入したインプ軍に追われ、王女イノスと厩番ラップの一行は魔法の窓のある小部屋に逃げ込んだ。そのとき、一同の前にラシャと名乗る女魔法使いが忽然と姿を現わした。ノイスがラシャに促されるままに魔法の窓を通り抜けると、そこはなんと南方の大帝国ザルクの宮廷だった。一方、イノスを追って魔法の窓を通り抜けたラップたちは、ザルクからはるか彼方の未開の島フェアリーに降り立っていた…。
イノスは、皇帝アザクと女魔法使いラシャの賓客としてザルクの宮廷に逗留することになった。ところが、ラシャはイノスを利用して何事か企んでいるようす。それに気づいたイノスは、アザクと共に王宮を脱出した。同じころ、フェアリー島のラップはノイスのもとに行こうと必死の画策を始めていた。だが、仲間二人とはぐれたうえに、あろうことか西の魔道師と北の魔女の陰謀に巻き込まれてしまった…。力作シリーズ第二弾。
魔法の源である〈力の言葉〉-。権力を求める者たちがそれを手に入れようと熾烈な闘争を繰り広げる世界、パンデミア。その北辺の小王国クラスネガルで、王女イノスは幼なじみの少年ラップとともに平隠な毎日を送っていた。そんなある日、イノスは南方の大国に花嫁修業にいくことになり、クラスネガルを旅立った。後に残されたラップは、王宮の厩番見習いとして働くうちに自分に透視能力が備わっていることに気づくが…。
クラスネガル王危篤。ラップは、遠国のイノスにそれを知らせるべく、アンドルという男と一緒にクラスネガルを出立した。ところが旅の途中でアンドルの姿が豹変した。まったくの別人に変身したのだ。しかもアンドルは、ゴブリン族の中にラップを置き去りにして単身イノスのもとに向かった。アンドルの狙いは何か?いっぽうイノスの周囲では、彼女の父が持つ〈力の言葉〉を狙う者たちが暗躍を始めた…。壮大な四部作開幕。
はるかな過去に起こった熱核戦争で地球を離れた人類は、銀河系にある極寒の惑星〈氷瀑〉に〈虚無〉と呼ばれる都市を建設し、三千年の長きにわたって平和を謳歌していた。だがいま、〈氷瀑〉に恐るべき事態が迫りつつあった。近隣宇宙空間で恒星が次々と超新星化していくという謎の現象が起こったのだ。人類が生きのびる方法は、ただひとつ。神々の末裔といわれる太古の種族イエルドラ人が残した、古エッダと呼ばれる秘密を解明することだった。古エッダには宇宙と生命のあらゆる謎の答が示されているという。〈虚無〉の社会的指導者である時間守護者の指令のもと、パイロットたちは過酷な調査行へおもむくが…。
時間守護者による古エッダ調査計画に.一人の新人パイロットが志願した。彼の名はロマリー・リンゲス。時間守護者の承認を得たリンゲスは.最初の目標.ソリッド・ステート・エンティティに向かう。イエルドラ人の秘密に到達するには.この位相空間に住む謎の巨大バイオ=コンピューターの知識が必要なのだ。空間に窓をあけ.幾何学的計算によって目的地への道筋を定める超空間航法を駆使してリンゲスはエンティティのいる空間に到達する。だが.そこでエンティティは.古エッダを解く鍵は人類最古のDNAにあるという.驚くべき真実を告げた。リンゲスは新たな探索行へと旅立つが…。
アンドルー・バーチは、アストラダイン社でも一、二を争うスゴ腕カンパニーマン。ライバル企業を出し抜くためには、盗聴、謀略、誘拐と手段を選ばない。だが、今夜の任務は単純な尾行だ。バーチは相棒ネロとともにプルトニウム駆動機を駆り、単座機に乗るターゲットを空中で追跡していく。ところが突然、ターゲットが思いがけない行動をとり、追跡は不可能になってしまった。何者かが、バーチを危地におとしいれるべく、間違いだらけの命令書を渡していたのだ…。