著者 : 関川夏央
九野薫、36歳。本庁勤務を経て、現在警部補として、所轄勤務。7年前に最愛の妻を事故でなくして以来、義母を心の支えとしている。不眠。同僚・花村の素行調査を担当し、逆恨みされる。放火事件では、経理課長・及川に疑念を抱く。わずかな契機で変貌していく人間たちを絶妙の筆致で描きあげる犯罪小説の白眉。
「黒船」から始まる、現代の大叙事詩。いつまで戦争を続けなければならないのか。いま世紀を越えた「宿題」に応えるために。
「こころざし」を、ふたたび。私利私欲だけでは前に進めない時があるからー。ミス上海、シルクロード探検隊、そして唱歌…。明治の夢に憑かれた絢爛たる群像のなかに「故郷」誕生の謎が隠されていた。
いま、すべての30代におくる、ほんとうの日本人の物語。開戦前夜、若きエリートたちが密かに霞が関に集められた。“模擬内閣”、日米戦必敗の予測ー。
なぜ誰もが同じ価値観につつみ込まれてしまうのか?ブラウン管の背後に蠢く有名無名のさまざまな人びとの野望ー。そしてIT時代へ。
昭和末日本を騒然とさせた、あの名著がいま甦る。天皇と日本人、伝統とモダン、近代天皇制に織り込まれた物語を読み解く。第18回大宅壮一ノンフィクション賞受賞作品。
必死だった。熱かった。雑誌の黎明期を駆け抜けた二つの才能とその哀感を描く、青春小説。
天才作家が目指した世界とその宿命を描く、渾身の評伝。単なる作家論でもないし、学術書でもない。細部はすべて事実から成り立っているが、大きな仮説を愉しむための文学である。
死んでしまった老人の依頼でポルトガルまで人探しに出かけたり、ヤクザの勢力争いに巻き込まれたり、おれの仕事は幅が広い。“ありふれた愛に関する調査”のほうに、孤独な探偵の命をおびやかす危険が待っていることが多いのは、なぜだろう。硬質の文体に、あふれる日本的心情を包んで胸に迫る第一作品集。