著者 : 阿尾正子
背筋が凍る×胸に迫る恋愛小説。21歳の女子大学生のスローンにとって、恋人アサとの生活は地獄だった。アサは麻薬密売グループのリーダーで、支配欲が強く、スローンに異常な執着心を抱いていた。しかし自閉症の弟を支えるにはアサの“汚いカネ”に頼るしかなかった。そんな折、スローンはカーターという男子学生と知り合い、好意を抱く。だが、彼はアサを逮捕するべく大学に潜入中の麻薬捜査官だった。そして、彼女が下した最後の決断とは?
自殺を演じるのが趣味という十九歳の青年ハロルド。規則に縛られることを嫌い、ひたすら自由に生きる七十九歳の女性モード。六十歳の年齢差がある二人を結びつけたのは、縁もゆかりもない他人の葬式だった。しだいにハロルドは天衣無縫に行動するモードに惹かれていくー特異なユーモア感覚で哀しい現実を描き、高く評価される映画の小説化。
彼は傘もささず、雨の新宿で写真を撮っていたー。東京に住むイギリス人女性ルーシーは、激しい恋に落ちた日本人男性禎司との出会いを回想する。しかし来日して間もない友人リリーを彼に紹介したときから、奇妙な三角関係がはじまった。そして今、ルーシーはリリーの殺人容疑で事情聴取を受けている。はたして東京で、佐渡島で、故郷イギリスで、何が起きていたのか?英国推理作家協会賞受賞のサスペンス。映画化原作。
家族と本をこよなく愛する3人の子どもの母アリス。パート編集者として書評を書き、親友スザンナの経営する書店に通う平穏な暮らしのなか、弁護士の夫ニコラスが失業、突然フルタイムで働くことに!就活の末、拾われたのは巨大ショッピングモールで成功した新興企業。ニューヨークに新形態の書店を出店するという。「未来の書店」というコンセプトに、アリスは大きな希望を抱く。スザンナには大反対されながらも、夫と子どもの応援を受けて働き始めるアリス。最先端の職場では聞き慣れない略語が飛び交い、24時間指示メールを受け取る嵐のような日々。家事はおざなり、育児もシッター任せとなり、夫はイマイチ頼りにならず、子どもとの間も微妙に…ある日、アリスのなかで何かが切れる。
アリックスは母の知人の遺言により、高級リゾートアイランドの瀟洒な邸宅で一年を過ごすことになった。同居人がいると知るが、会って驚いたーずっと憧れていた有名建築家のジャレッド!彼とひとつ屋根の下で暮らすなんて。舞い上がるアリックスの思いをよそに、彼の態度はつれない。実はジャレッドもひと目で彼女に惹かれながら、大きな秘密を抱えていたのだ。それでも抑えられない気持ちの赴くまま、ふたりは一夜をともにするが…切ない夏の恋を描く“ナンタケットの花嫁”シリーズ第一弾!
中高一貫の私立校で英語を教える女性、和田留奈。単調な生活に退屈し、孤独を感じていた彼女は、16歳の教え子、池田純と関係を持っていた。そんな彼女のもとにある日、差出人不明の封書が届く。中から出てきたのは、「殺してやる」と書かれた手紙と、純といっしょにラブホテルから出てくるところを写した一枚の写真。スキャンダルになることを恐れた留奈は、上海の友人のもとに逃れるため、姉のパスポートを盗み、姉になりすまして神戸からフェリーに乗った。同じ頃、イギリスで小さな画材店を営むラルフは、理想の女性を探すため東京に来ていた。彼は東洋の女性はやさしく従順だと考えていて、タイの女性と結婚したが、破局を迎えていた。結局、東京でも理想の相手は見つからず、彼はインターネットで知り合った中国の女性に会うため、フェリーに乗った。運命の糸に導かれるように、同じフェリーに乗った留奈とラルフ。やがて二人が出逢ったとき、恐ろしい結末に向けて、歯車が静かにまわりはじめた…。英国推理作家協会賞最優秀新人賞受賞作『アースクエイク・バード』に続き、気鋭の作家が放つ極上の心理サスペンス。
東京湾から英国人女性の死体が!日本で暮らした気鋭の女性作家が甘美な罠を仕掛ける心理サスペンス。ルーシーによって語られる禎司、リリーとの恋愛をめぐる歪んだ感情と悲劇。そしてその語りの中に仕掛けられた甘美な罠。東京を舞台に描く芳醇な心理サスペンス。2001年度英国推理作家協会賞最優秀新人賞受賞作。