著者 : 飯田亮介
地球の環境問題が深刻なのに、個人的な不妊治療で悩む僕。逃げるように参加した気候変動会議で会った物理学者とは、世界の終末に逃げるならタスマニアだと話した。そして僕は、何かに駆られて広島と長崎ヘ取材に来た。『コロナの時代の僕ら』の著者、新作小説
人生に疲れた40歳のファウストは、長年暮らしたミラノを離れてイタリアンアルプス近くのレストランで働き始める。山に囲まれ次第に人間らしさをとりもどしていたとき、狼たちが山からおりてきていたーー。ストレーガ賞受賞作家が描く、人生やり直し山岳小説。
毎年夏休みを過ごす祖母の家で、14歳のテレーザは共同生活を営む少年3人と出会い、その中の一人と恋に落ちた。4人の友情は永遠と思えた。だが数年後、その少年が他の少女を妊娠させたと知りーー。『コロナの時代の僕ら』の著者が描く、男女4人の愛憎の物語
1844年9月の寒い朝、バイエルン出身の青年ヘンリー・リーマンは新しい生活を夢見て、ニューヨークの埠頭に降り立った。青年はアメリカ南部で綿製品の店を開き、二人の弟とともに事業を拡大する。利益のためなら戦争までも商機として彼らは金融界の大物にのし上がったー2008年。リーマン・ブラザーズは破綻、史上最大の金融危機を招く。リーマン一族三代の興亡を通して資本主義社会の欲望に肉薄する。世界中で称賛される、同名の舞台作品のもととなる巨大長篇小説、ついに刊行!イタリアで最も権威ある文学賞のひとつカンピエッロ賞最終候補。ヴィットリオ・デ・シーカ賞文学部門、モンデッロ国際文学賞大賞、メディシス賞随筆部門受賞。
生まれ故郷のナポリに、子どもたちとともに戻ってきたわたし。実業家として成功しつつある親友リラの近くに住みはじめたが、わたしたちを新たな苦難が待っていた。ふたりの女性の人生を描いたイタリアのベストセラー四部作、ついに最終巻。
エーコ、タブッキ、カルヴィーノだけじゃない、 もっと新しいイタリアの文学がここにある。 本邦初、21世紀イタリア短篇アンソロジーがついに登場! 13人の作家(うち11人が日本初紹介)による15の物語。 序文=小野正嗣 現代イタリア文学と聞いて思い浮かべるのは、エーコ、タブッキ、カルヴィーノ、ブッツァーティ、モラヴィア……しかし彼らがおもに活躍していたのは前世紀のこと。では、イタリアの文学は衰退したのかといえば、とんでもない、なぜこれまで紹介されてこなかったのか不思議に思える作家たちが山ほどいるのだ。本書はいまを生きる新しいイタリアの作家によるヴァラエティ豊かな作品を厳選した、本邦初の21世紀イタリア短篇アンソロジーである。普通の人々の生活に降りかかる移民・格差・人種問題、新しいセクシャリティのかたち、めくるめく幻想の世界、そして甘くほろ苦い少年少女時代の記憶ーー現在のイタリア文学シーンを代表する13人が繊細に大胆に鮮烈に描く多様性にみちた15の短篇を収録。巻末に各作家・作品を詳述する解説を附す。 〈『どこか、安心できる場所で 新しいイタリアの文学』は、文学というレンズあるいはマイクを通して、21世紀のイタリアの諸側面を伝えてくれる。ここに読める作品はほぼ同時代に書かれたという点を除けば、それぞれ主題も文体もまったく異なっている。本書だけからでも、イタリア文学の「いま」がどれほど多様で豊かなものであるかがたしかに感じ取れる。これを機会に、ここに紹介された作家や他の作家たちの作品が翻訳されることを切望する。僕たちには海外の文学を読むことが必要なのだ。イタリアの「いま」を描く、あるいはイタリアで「いま」書かれているこれらの作品を読むことで、それをいわば鏡にして、日本の僕たちは自分自身の姿を見つめ直し、自分が生きる「いま」がどのようなところなのかを確認することができるからだ〉(序文より) 小野正嗣 序文 小野正嗣 雨の季節 パオロ・コニェッティ 関口英子訳 働く男 ジョルジョ・フォンターナ 飯田亮介訳 エリザベス ダリオ・ヴォルトリーニ 越前貴美子訳 ママの親戚/虹彩と真珠母 ミケーレ・マーリ 橋本勝雄訳 わたしは誰? イジャーバ・シェーゴ 飯田亮介訳 恋するトリエステ ヘレナ・ヤネチェク 橋本勝雄訳 捨て子 ヴァレリア・パッレッラ 中嶋浩郎訳 違いの行列/王は死んだ アスカニオ・チェレスティーニ 中嶋浩郎訳 隠された光 リザ・ギンズブルグ 橋本勝雄訳 あなたとわたし、一緒の三時間 キアラ・ヴァレリオ 粒良麻央訳 愛と鏡の物語 アントニオ・モレスコ 関口英子訳 回復 ヴィオラ・ディ・グラード 越前貴美子訳 どこか、安心できる場所で フランチェスカ・マンフレーディ 粒良麻央訳 作家・作品紹介 編者あとがき
前途有望な研究者と結婚し、作家としても成功をおさめたわたし。しかし、思いがけない嵐に翻弄されてしまう。一方、リラは不実な夫のもとを出て、工場で働いていたが…。一九七〇年代のイタリア。大人になったリラとエレナにそれぞれの転機が訪れる。世界的ベストセラー第3弾。
一九六〇年代ナポリ。裕福な一家に嫁ぎながらも満たされないリラ。外の世界への戸惑いを抱えながら、学業と執筆に希望を見出すエレナ。ふたりの少女の十代から二十代を描く世界的ベストセラー第2弾。
小学校で出会った、リラとわたし。反抗的で横暴で痩せっぽちなリラ。でも、ずば抜けた頭脳を持つ聡明なリラー。一九五〇年代ナポリ。時に暴力的な下町で、少女ふたりは友人となり、嫉妬や憧れを投げかけ合いながら大人になっていく。戦後のイタリア社会を舞台に、猛々しく奔放なリラと本好きのエレナの複雑な絆を描いた世界的ベストセラー。
灼熱の大地の真ん中、アフガニスタンの紛争地域に派兵されたイタリア軍の若き兵士たち。危険ではあるが、たった数カ月の任務のはずだった。故郷から逃げだしてきた者、ひとりぼっちの母親を残してきた者、妊娠した女を残してきた者、オンライン上の仮想恋人に依存する者…それぞれの事情を抱え、孤独を噛みしめ、性をもてあます彼らの中には、愛情と憎しみが芽生えつつあった。そして、ようやく任地に慣れてきた頃、その後の人生を大きく変えることになる、忘れえぬ出来事が起こったー。砂漠への強行軍にのぞんだ若者たちは、何を見たのか?世界的ベストセラー『素数たちの孤独』の著者が紡ぐ、21世紀の新しい戦争文学。