著者 : 飯田亮介
2015年11月パリ。同時多発テロ直後の街を、ローマ在住の作家が訪れた。国連の気候変動会議COP21の取材のためだ。もう一つ、理由があった。不妊治療で妻とすれ違い、家を離れたかったのだ。それからも作家は、執筆を口実に、トリエステや世界各地をさまよう。そこで出会ったのは、親権争い中の物理学者、自爆テロ事件を追うフリージャーナリスト、研究の末に心の病に冒された宇宙物理学者。個人的で切実な問題と、つぎつぎと起こる世界的危機に引き裂かれながら、作家は対話と自問を重ねる。そして日本に向かい、広島・長崎で彼がたどり着いた答えとは。『コロナの時代の僕ら』の著者が、困難を生きる姿を赤裸々に描き、国際的に高く評価される傑作長篇小説。35カ国で刊行決定。
毎年夏になると、祖母が暮らす南イタリアのスペツィアーレで過ごす14歳のテレーザ。ある日、祖母の家の近所に暮らす三人の少年と知り合い、テレーザは、そのうちの一人、ベルンに一目惚れする。夏休みのたびに彼らと遊び、17歳の夏、とうとうベルンと結ばれる。だが翌年の夏休み、テレーザは祖母から、ベルンが他の少女を妊娠させたと聞いてー。ベルンとテレーザの、20年にわたる愛憎と執着の物語。『コロナの時代の僕ら』『素数たちの孤独』の著者、パオロ・ジョルダーノが贈る、イタリアで16万部突破の最新長篇小説。
1844年9月の寒い朝、バイエルン出身の青年ヘンリー・リーマンは新しい生活を夢見て、ニューヨークの埠頭に降り立った。青年はアメリカ南部で綿製品の店を開き、二人の弟とともに事業を拡大する。利益のためなら戦争までも商機として彼らは金融界の大物にのし上がったー2008年。リーマン・ブラザーズは破綻、史上最大の金融危機を招く。リーマン一族三代の興亡を通して資本主義社会の欲望に肉薄する。世界中で称賛される、同名の舞台作品のもととなる巨大長篇小説、ついに刊行!イタリアで最も権威ある文学賞のひとつカンピエッロ賞最終候補。ヴィットリオ・デ・シーカ賞文学部門、モンデッロ国際文学賞大賞、メディシス賞随筆部門受賞。
生まれ故郷のナポリに、子どもたちとともに戻ってきたわたし。実業家として成功しつつある親友リラの近くに住みはじめたが、わたしたちを新たな苦難が待っていた。ふたりの女性の人生を描いたイタリアのベストセラー四部作、ついに最終巻。
現代イタリア文学と聞いて思い浮かべるのは、エーコ、タブッキ、カルヴィーノ、ブッツァーティ、モラヴィア…しかし彼らがおもに活躍していたのは前世紀のこと。では、イタリアの文学は衰退したのかといえば、とんでもない、なぜこれまで紹介されてこなかったのか不思議に思える作家たちが山ほどいるのだ。本書はいまを生きる新しいイタリアの作家によるヴァラエティ豊かな作品を厳選した、本邦初の21世紀イタリア短篇アンソロジーである。普通の人々の生活に降りかかる移民・格差・人種問題、新しいセクシャリティのかたち、めくるめく幻想の世界、そして甘くほろ苦い少年少女時代の記憶ー現在のイタリア文学シーンを代表する13人が繊細に大胆に鮮烈に描く多様性にみちた15の短篇を収録。巻末に各作家・作品を詳述する解説を附す。
前途有望な研究者と結婚し、作家としても成功をおさめたわたし。しかし、思いがけない嵐に翻弄されてしまう。一方、リラは不実な夫のもとを出て、工場で働いていたが…。一九七〇年代のイタリア。大人になったリラとエレナにそれぞれの転機が訪れる。世界的ベストセラー第3弾。
一九六〇年代ナポリ。裕福な一家に嫁ぎながらも満たされないリラ。外の世界への戸惑いを抱えながら、学業と執筆に希望を見出すエレナ。ふたりの少女の十代から二十代を描く世界的ベストセラー第2弾。
小学校で出会った、リラとわたし。反抗的で横暴で痩せっぽちなリラ。でも、ずば抜けた頭脳を持つ聡明なリラー。一九五〇年代ナポリ。時に暴力的な下町で、少女ふたりは友人となり、嫉妬や憧れを投げかけ合いながら大人になっていく。戦後のイタリア社会を舞台に、猛々しく奔放なリラと本好きのエレナの複雑な絆を描いた世界的ベストセラー。
灼熱の大地の真ん中、アフガニスタンの紛争地域に派兵されたイタリア軍の若き兵士たち。危険ではあるが、たった数カ月の任務のはずだった。故郷から逃げだしてきた者、ひとりぼっちの母親を残してきた者、妊娠した女を残してきた者、オンライン上の仮想恋人に依存する者…それぞれの事情を抱え、孤独を噛みしめ、性をもてあます彼らの中には、愛情と憎しみが芽生えつつあった。そして、ようやく任地に慣れてきた頃、その後の人生を大きく変えることになる、忘れえぬ出来事が起こったー。砂漠への強行軍にのぞんだ若者たちは、何を見たのか?世界的ベストセラー『素数たちの孤独』の著者が紡ぐ、21世紀の新しい戦争文学。