著者 : 香納諒一
一片の死角なし。最大の敵、現る。無人のはずの工場で爆発が起き男が死んだ。現場に残されたパソコンから、国際テロ組織の指示による爆弾製作中の事故の可能性が浮上。警視庁がその線で捜査を進める中、花房京子が男の遺留品を辿り接触したのは、元公安の犯罪評論家としてメディアを賑わす角松麻由子だった。だが、週刊誌が角松と男の繋がりをスクープし、事態は予想外の方向へ。手練と技巧が冴え渡る倒叙ミステリーシリーズ!
第26回大藪春彦賞候補にノミネートされた「川崎警察 下流域」の第2弾。 神奈川県警川崎署のデカ長・車谷一人(くるまだにひとり)の活躍を描く、長篇警察ミステリー。 京浜運河沿いで死体があがった。身元は暴力団員、伊波肇の母親照子。 陰部をナイフで抉られ、腹部から腸がはみ出る陰惨な殺しだ。対抗する組の犯行か? だが、家族には手を出さないのがヤクザの掟だ。それが破られたとなると、報復の連鎖で大変なことになる……。 発見現場に臨場した川崎警察署捜査係デカ長の車谷一人は、軽のバンの荷台から不審な荷物を下ろして走り去ったふたり組の男がいたことを聞きつける。男の一人は足を大きく引きずっていたという。 被害者は故郷の沖縄に里帰りし、事件当日午後二時着の飛行機で羽田空港に帰ってきた。だがその後の足跡が不明だった。 翌年五月に沖縄は本土返還を控えており、帰郷はそれからの方が便利ではという大家に「返還されてからでは、遅い」と伝えたという。 捜査を進めるうちに、空港から照子を軽バンに乗せたのが、死体発見現場で目撃されたふたり組で、どうやら照子の知り合いらしきことがわかった。 有力容疑者として浮かびあがった男を、全力で探す車谷。 だが、予想外のところで別の殺人事件が起きた。被害者は沖縄の開発や本土との交流に尽力しているという大阪の会社社長。 本土復帰を目前にした沖縄を食い物にしようする者たちの暗躍が明らかになるにつれ、ふたつの事件が絡み合っていく…… 好評『川崎警察 下流域』が第26回大藪春彦賞候補となった著者による、書下ろし長篇警察サスペンス第2弾!
切なさと救い溢れる3つのラスト。 読者を半泣きさせる書下ろし警察小説。 心揺さぶる哀切のミステリーロマン誕生! マンションの一室で三十八歳の女性が死亡。 大量の睡眠薬をアルコールとともに服用したことで昏睡状態となり死に至ったようだ。 テーブルには「疲れました。ごめんなさい」と印字された遺書らしきプリントも。 自死と思われたが、所轄は警視庁捜査一課の大河内茂雄部長刑事に現場への臨場を依頼した。 不自然なことが多かったのだ。 部屋のパソコンからはここ数カ月のメールが消去されていたし、死の前日にスーパーの宅配サービスに注文を入れていることもわかった。 マンション住人からの聞き込みから、複数の男の出入りが確認され、事件当夜には男女の言い争う声も聞かれていた。 大河内刑事は、被害者が中学生のときに父親が殺人を犯していたことをつきとめる。 また被害者は二年前にも大量の睡眠薬を服用し病院に搬送されたこともわかった。 捜査を進めるうちに、被害者のまわりでうごめく黒い影に存在に気づく…… 事件の謎に挑む警視庁捜査一課強行犯係のベテラン刑事の活躍を描く3篇。 切なさと救い溢れる3つのラスト。 読者を半泣きさせる書下ろし警察小説。 心揺さぶる哀切のミステリーロマン誕生! 砂時計 日和見係長の休日 夢去りし街角
刑務所に一般市民を招くオープンデイ。盛況に沸く中、元受刑者の首吊り死体が発見され、会場は瞬く間に騒然となった。路頭に迷っての自殺を有力視する刑務官たち。しかし、現場に居合わせた警視庁の花房らは疑問を抱く。死んだのは弱者を食い物にしてきた男なのだ。自ら命を絶つとは考えにくい。捜査陣の介入に刑務官たちは頑なな拒絶を貫こうとする。彼らは何を守ろうとしているのかー?花房の目は事件の綻びを見逃さない。正統派倒叙ミステリーの精華!
多摩川河口で発見された元漁師の不審死体をめぐり、 所轄の刑事たちが事件の真相と闇に迫る! 書下し長篇警察小説。 1970年代の川崎。 京浜工業地帯として発展する裏で、ヘドロで漁ができなくなった漁師たちが、漁業権や船舶の買い上げと、補償金をエサに立ち退きを迫られ、漁民の間に分断と対立が生じていた。また新興工業地帯には朝鮮や沖縄からの流入者も多く住み、住民問題は複雑化していた。 そんな土地で、多摩川河口に溺死体があがった。遺体は元漁師の矢代太一と判明。彼は漁業権問題で漁民をまとめる交渉役だった。 だが遺体には複数の打撲痕が認められ、漁師の溺死という不自然さと併せて事件性をうかがわせた。そして遺品にはなぜかキーホルダーがふたつあり、自宅以外にも家があるようだった。 川崎警察署刑事課のデカ長、車谷一人は、ベテラン捜査員たちや新米刑事の沖修平らを叱咤しながら捜査に乗り出す。 矢代は漁師をやめて得た補償金で、夫婦で食堂を始めたが、妻の死によって店をたたみ、いまは次男と暮らしていた。居酒屋やクラブで酒を飲むだけが楽しみだったという。漁業権放棄問題では対立する漁師グループから恨みも買っていたことがわかった。 被害者の足取りを追ううちに、矢代は居酒屋で飲んでいるところに若い女性から電話がかかり、慌てたようにして店を出て行ったことがわかった。 事件が報道されると、矢代に離れの部屋を貸していたという夫婦から川崎署に電話が入った。しかも義理の娘とふたりで借りていたという。 矢代には息子が二人いたが、ともに独身で、義理の娘などはいなかった。 手がかりを得た車谷たちは、不審死事件の背後に横たわる予想外に深い泥沼に足を踏み入れることになるが……
歌舞伎町ゴールデン街に接するジャンボ交番の若手、坂下浩介と内藤章助は、コロナで静まり返った街でカラスが我が物顔にふるまう苦情を受けた。だが、巣のあるビル屋上には、何者かの白骨死体が…。現場の老朽ビル群は、反社不動産屋同士が再開発を巡って暗闘。折しも日本初の官公庁クラスターが所轄署で発生して、周囲の署が連携する不規則な体制で捜査は進められることになった。さらに、白骨死体に関わるとみられた組事務所にはコロナウイルスと思しきものが持ち込まれ、組員一同が発症していた!事件の続発に、眠らない街を疾駆する坂下と内藤!緊急事態宣言下の新宿、混沌とする夜は明けるのか!?
宝石商の壬生真理子が夫の陽介と共に描いた綿密な殺人計画が今宵実行に移される。ターゲットは自分たちに偽造ダイヤを売りつけたイタリア人のフェルナンド。アリバイ工作も整い、残るは殺害のみという状況下、予想外の人物が凶弾に倒れる。だが、それすらも「計画」を逆手に取った加害者の計算通りだった…。予断を持って捜査を進める集団の中で、ただひとり花房は別の可能性を検討しはじめていた。思い込みで立ち止まってはならない。浮かび上がる真実が、たとえ信じられなくとも…。
愛車のフォルクスワーゲン・タイプ2が故障し、田舎町で立ち往生した辰巳。修理を待つ間、骨休めを決めこむはずが、住民たちの愛憎劇に巻きこまれる。そして、ついには死体が発見され…。(表題作より)漂泊の探偵が出遭った三つの事件を所収。シリーズ第3弾。
急逝した娘の交際相手を見つけてほしい。くも膜下出血で倒れた娘・慧子をその男は置き去りにした疑いがあるー元高校教師の父親からの依頼で謎の男を捜し始めた辰巳。だが、慧子の友人たちは一様に言葉を濁す。数少ない手がかりは、慧子の部屋のイーゼルにあった夏の海を描いた絵。高校生時代に友人たちと共に訪ねた思い出の地らしい。15年前、そこで彼らは何を目撃したのか?辰巳は隠されてきた過去と対峙する。(表題作より)漂泊の探偵が出遭った三つの事件を所収。シリーズ第2弾。
架装したフォルクスワーゲン・タイプ2をねぐらに、フリーのカメラマンと探偵の二足の草鞋を履く辰巳翔一。富士山の撮影で訪れた精進湖で、同じく天気待ちをしていた岩井という男と知り合うものの、数日後、彼が死体で発見される。直前に岩井のバンが車上荒らしに遭っていたことに不審を覚えた辰巳は、持ち去られたカメラの行方が気になる。アマチュアカメラマンは何を目撃し、カメラに収めたのか?辰巳はその死の真相を追う。(表題作より)漂泊の探偵が出遭った三つの事件を所収。「さすらいのキャンパー探偵」シリーズ開幕!
すべてを失った男、どん底で夢を見る少年、崖っぷちの悪徳刑事ーー 三つの発火点が闇夜に絡まって、歌舞伎町の腐臭に引火した! 香納ノワール長編! 親友の父を殺した秀夫は、服役中に連絡を絶った最愛の人を捜していた。だが、伝手となる男の殺害現場に遭遇。そこで、震災復興事業の横領を示す文書と大金の入った鞄を託されるが、少年康昊に持ち去られる。鞄回収のため悪徳刑事天明谷を遣う殺人者一味や、在日韓国人の不良金貸し一派が執拗に迫る中、秀夫を救った少年は山分けを主張。暗黒街を駆ける大争奪戦の行方は?
ノワールな青春ってどうよ? 大学卒業後2年勤めた企業を辞めて警視庁に奉職。 元高校球児の新米巡査・坂下浩介、27歳、今日もヤバすぎる街・歌舞伎町を警邏中ーー “もしもまた、新宿のどこかで俺を見かけることがあっても、決して声をかけないでくれ" “やつはヤクザで、おまえは警官なんだ。おまえは警官を辞めれば済むが、やつらにはそんな逃げ道はないんだよ" ゴールデン街や区役所通りが近い、ここ《花園裏交番》は、配置人員と酒がらみのトラブルの多さから「裏ジャンボ交番」と呼ばれている。新米巡査・坂下浩介は、重森班長の下、ヤクザになったかつての恩師やビッグ・ママと恐れられる新宿署捜査一課の美人警部補に揉まれながら、欲望に忠実に生きる人間たちに対峙するーー。
沢渡留理は亡き父親から引き継いだ会社“沢渡家具”を守ろうと必死だった。そのためには、志を異にする兄・要次と、その愛人でもある秘書の福田麻衣子を排除するしかない。留理は綿密に計画を練り、痴情のもつれを装ってふたりを殺した。偽装工作は完璧だったはずなのに、翌朝、家政婦から、家に強盗が入り、その強盗に兄が殺されたようだという連絡を受ける。いったい何が…。想定外の出来事に混乱しつつ現場に戻った留理は、子供のように捜査に没頭している長身の女刑事と出会った。その女は、花房京子と名乗ったー。
腐乱死体となって発見された16歳の少女・舞子は妊娠していた。援助交際、ネットカフェ難民ー地方の養護施設から逃げ出し都会をさまよう舞子は、腹違いの弟を死に追いやり保険金を奪った叔父の行方を追っていたという。無縁社会を生きる若者たちの孤独を噛みしめ奔走する警視庁捜査一課大河内班の刑事たち。
激情で人を殺め、服役中に消息を絶った婚約者と息子を探す秀夫。だが、伝手となるオジの慈郎は凶刃に倒れる。さらに現場から、故郷の街で起きたNPO横領事件の内幕を記すノートと大金の入った鞄が、少年康昊に持ち逃げされた。回収のため悪徳刑事天明谷を遣う殺人者の一味や、匂いを嗅ぎつけた冷酷な金貸し智勲の追跡が激しさを増す中、危機を救った秀夫に、少年は山分けを主張する。新宿の闇に、欲と野望の火花が炸裂したとき、秀夫と康昊の絆が呼ぶ結末は?著者の人気警察小説シリーズ、特別長編!
東京都大田区の路上で発見された女性の全裸死体。殺人事件として捜査一課強行班が動き始める。被害者は経営コンサルタント・坂上実咲。その名前は、捜査一課に二年前の痛恨の記憶を呼び起こした。被害者の身辺を洗う中、二年前の事件をきっかけに辞職した元刑事の名前が挙がった。奔放な被害者の異性関係。捜査は難航し、捜査一課は強行班七係と中本班の二班合同態勢をとるがー。刑事たちは、何を求め、何を探し続けるのか。男たちの葛藤と、その心の深淵にある光とは。
息子と妻を喪い、警察を追われて荒れた生活を送る鬼束は、仁科英雄・大樹というヤクザの兄弟から、謎の殺し屋「ミスター」を捜す仕事を請け負う。鬼束らは「ミスター」に繋がる安城の過去を探ることで殺し屋の正体に迫るが、同時に裏社会の根深い抗争に巻き込まれていく。「ミスター」を追いながら、その手で自らの命が奪われることを望む鬼束。そして訪れた絶体絶命の窮地…。闇に沈んだその心に救いはあるか。魂の絶望と再生を描く傑作長編。