著者 : 馬場祥弘
連戦連勝の油断から、ミッドウェー海戦で大惨敗を喫した日本海軍だったが、それを契機に大改造計画を断行していた。新編成の第三艦隊は、旗艦翔鶴、瑞鶴、小型空母龍驤、そしてジェット空母大和の空母四隻を基幹とする世界最強の機動部隊となった。ジェット空母大和とは、戦艦大和の後部46センチ三連装砲塔を撤去して、そこにV字型の飛行甲板を増設した航空戦艦で、当時の超科学大国ドイツから購入した世界初の実用ジェット機W20を搭載していた。ジェット空母大和から勢いよく飛びたったW20の機首と両翼の20ミリ機銃4挺が激しく火を噴き、押しよせてくるアメリカ戦闘機の大群を片っ端から撃ち落としていく。この連合艦隊大改造の仕掛け人は、海軍の至宝といわれた樋端久利雄。彼の天才的な頭脳から生みだされる火花のようなアイデアが次々と実現化されていく。超ベテラン馬場祥弘が新境地に挑む、痛快無比のハイパー・シミュレーション戦記の大傑作、第一弾。
新造空母「黒龍」誕生!真珠湾奇襲攻撃を成功させた連合艦隊は、帰路にあった山口多聞率いる第二航空戦隊に第二次ウェーク島攻撃を命じる。旗艦「飛龍」で敵航空隊を壊滅させ日本へ戻ると、新造空母「黒龍」が待っていた。これで陣容も整った第二航戦は、南方作戦支援のため休む間もなくパラオへ出撃する。一方、南方ではすでに高木武雄少将率いる第五戦隊と、高橋伊望中将率いる第三艦隊が作戦展開をしており、熾烈な闘いを繰り返しながらも快進撃を続けていた。目指すはボルネオ最大の油田基地バレンバン。対する連合国側は、米英蘭濠連合艦隊結成を画策するが…。
難攻不落のガダルカナル島奪回を目指す連合艦隊・山本長官は、戦艦「金剛」「榛名」率いる艇身攻撃隊にヘンダーソン飛行場を艦砲撃させ、さらに「長門」「陸奥」率いる制圧攻撃隊を浅深度のシーラーク海峡へ出撃させ、米国巡洋艦隊を撃破することに成功した。しかし、国力で勝る米国は、いまだにガ島を死守しており、上陸して占領することはかなわなかった。そこで山本長官は、連合艦隊旗である戦艦「大和」に座乗、自らガ島制圧に乗り出すことを決意した!「大和」「武蔵」を先頭に、いよいよ最終決戦のときが迫る。
戦艦長門と陸奥、ガ島に向けて出撃!!金剛、比叡の戦艦による史上初の飛行場艦砲爆撃にもかかわらず、ヘンダーソン飛行場は日に日に拡大されていた。日米の工業力の差が、ここにも現れていたのだ。ソロモン諸島唯一の飛行場を持つガ島を巡る攻防は、日増しに激しさを加えていった。山本五十六長官は、何としてもガ島奪回をはかるべく、まず重巡鳥海を旗艦とする第八艦隊に再度の飛行場砲爆を命じる。さらに、戦艦長門と陸奥率いる制圧攻撃隊が、ガ島に向け勇躍出撃するが、目指すシーラーク海峡は大型船舶の航行を阻む浅深度の海域だった。
昭和十七年十月十一日午前三時半、ガダルカナル島奪回の大作戦が開始されようとしていた。「ルンガ飛行場を破壊しないことには、太平洋戦争の敗北は確実になる」と考える山本五十六長官だが、しかし、ミッドウェイの海戦以来、日本海軍は敗戦が続き航空戦力が消耗しきっていた。そこで、山本は、戦艦による艦砲射撃でルンガ飛行場を破壊するという乾坤一擲の大博打を決意。この特攻任務に栗田少将率いる挺身攻撃隊の戦艦金剛と榛名がソロモン海へ出撃する。
八四航空艦隊がついに実現した!南雲を司令長官とする第一航空艦隊は旗艦赤城以下八隻。小沢を司令長官とする第二航空艦隊は旗艦伊勢以下四隻。計十二隻の史上最大にして最強の大空母部隊は太平洋戦争を終結させる力となり得るのか。今、ハワイ諸島を制圧し米西海岸への進攻が始まった。
米濠補給路遮断を企図した連合艦隊は、陽動で角田覚治率いる第二航空艦隊をウェーク島沖に進出させる一方、南雲機動部隊を敵の内懐というべき珊瑚海へ出撃させる。しかし、ウェーク島沖にはハルゼー、珊瑚海にはフレッチャーの米機動部隊が待ち構えていた。熾烈な航空決戦を描く第2弾。
大艦巨砲か航空主兵か。海軍内で両派の対立が続く昭和十六年秋、一隻の巡洋戦艦が竣工する。艦名は妙義。その建造目的は、連合艦隊司令長官山本五十六にも知らされていなかった。一方山本は、密かに空母主体の大航空艦隊構想を抱く。両派の思惑を背に、南雲機動部隊は遙か真珠湾に向け出撃した。
ミッドウェー作戦で大敗した日本海軍は、南洋海域を内南洋を担当する第四艦隊と外南洋を担当する第八艦隊に分割した。ふがいない第四艦隊を休眠させ、真新しい第八艦隊に暴れさせる。それが軍令部の狙いだった。第八艦隊司令長官には、三川軍一中将が任ぜられた。三川は人格円満、戦略や戦術にかけても職人肌の実戦家で、軍令部の作戦にも忠実だった。その第八艦隊に出撃命令がくだった。ガダルカナル島に設営した日本軍の飛行場を米機動部隊が急襲したからだ。ここに海軍史上空前の海戦の火蓋が切っておとされた。
一九四一年三月、太平洋戦争開戦を目前にして、日本海軍首脳は艦隊の編制に頭を悩ませていた。途中で駆逐艦が不足する恐れがある…。その不安を取り除くため、特別武装の駆逐艦四隻を新たに建造することになった。軍籍簿に記載されない“闇の艦隊”の誕生である。
「なんとか日本軍に反撃出来ないものか」イギリス軍は太平洋戦争開戦以来日本軍に攻められるだけで、良い所はひとつもない。日本に反撃するために、イギリス陸軍コマンド部隊は艦上型モスキート戦闘爆撃機に、彼らが乗り込んだグライダーを牽引させてパレンバンの石油基地を攻撃させる奇襲作戦を敢行した。日本にとって石油が産出する南方地域は生命線である。パレンバン奇襲の急報を受け、第五五独立機動旅団は超秘密兵器「神龍改」を駆使して戦場に向かった。独立機動旅団とコマンド部隊の死闘は激烈を極めた。
「辻大佐、君に第五五独立機動旅団の旅団長を命じる」陸軍第二五軍主任参謀辻義信は、急遽バリ島に出撃することになった。バリ島攻略の秘密兵器は海軍が開発した「神龍」で、最高速力が50ノットも出せるホバークラフトを使った高速輸送艦だった。辻はかねてからノモンハン、マレー半島の戦闘を通じてブルドーザーやパワーショベル、ロードローラなどを大量に持った「機動工兵隊」構想の実践の機会を窺っていた。バリ島攻略の成否が、米国オアフ島進攻作戦の試金石となる。いま、ハイテク兵器がベールを脱いだ。