著者 : 高殿円
本当は2016年の出来事だった。元軍医のジョー・ワトソンがベイカー街221bに帰ると、同居人の半電脳探偵シャーリー・ホームズが珍しく慌てている。なんとジョーは9カ月前に結婚して、221bを出ていたというのだ。だが、ジョーには結婚の記憶がなく、現在を2015年と勘違いしていた。まもなく、覚えのない求婚をしたという“クラブ・ボヘミア”のオーナーが依頼人として221bを訪ねてくる。オーナーは、婚約以前に付き合っていた異性装着者のエイレネことアンドリュー・アドラーから脅迫を受けていた。オーナーとジョーの記憶欠落に伴う婚姻のケースは極似している。その原因を作っているのかもしれないエイレネは、ロンドン市内で、会員制のマッチング・キャンプを主催しているらしい。さっそくシャーリーは現地潜入を試みるが、その後、連絡が途絶えたまま221bで帰りを待つジョーに、とある結婚式の招待状が届く。それは、英国を揺るがす一大スキャンダルの端緒に過ぎなかった…大好評の登場人物全員性別逆転&現代版ホームズ・パスティーシュ第3弾。
辺境の王族として生まれ、幸福な結婚をした環璃は、突如たったひとりになった。広大な大陸を統べる燦帝国の次期皇帝を選ぶための籤、“皇后星”に選ばれたからだ。一族は皆殺し、産んだばかりの息子を人質に取られ、環璃は候補の王たちと寝るためだけに国々を巡る。絶望の淵に突き落とされた彼女が出会ったのは、触れた男を塵にする力をもつチユギという名の戦士だった…。女が産み、男が支配する世界を変える「忘れられた物語」とは?破格のエンタテインメント巨編!
神戸山芦屋のとある古い館で、本能寺の変で焼失したとされる名品「白天目茶碗」が掘り出された。ところが、白天目の付喪神である「シロさん」は、どうして自分が割れずに残ったのか、自分自身の来歴さえ思い出せない。シロさんはなぜ芦屋に埋まっていたのか?本能寺の変の真相は?シロさんの持ち主である「先生」、茶道具を偏愛するアラブ人の「ほうっかむりさん」、そしておしゃべりで無邪気なお道具たち(※国宝級)が繰り広げる、異色の骨董ファンタジー!
東洋の化粧品王は、いかにして誕生したか 「ほんまに、きみが愛おし!」 時は明治の世。秀才ながらも、山口の家族を支えるため進学をあきらめ、単身神戸に出てきた少年・利一。牛より安い値段で花街に売られてきた少女・ハナ。神戸の花隈での二人の出会いは、やがて日本の生活をも一変させる発明、大ヒット商品誕生へとつながっていく。そして、幼い日に誓い合った約束の行方は? 産経新聞連載時から大反響! 明治・大正・昭和の激動期を、「真心」の製品作りと斬新な宣伝手法を武器に乗り切り、大阪で100年を超える会社を創業した“東洋の化粧品王”と呼ばれた男の一代記!
2013年秋のロンドン。オリンピックイヤーだった前年に怪我で除隊した女医のジョー・ワトソンは、ベイカー街221bで、頭脳と電脳を駆使して英国の危機に立ち向かう世界唯一の顧問探偵シャーリー・ホームズと同居していた。シャーリーのもとには、女刑事レストレードや政府高官の姉マイキーから難事件が舞い込み、ジョーは助手としてシャーリーと現場に赴いてはwebストランド誌に事件の成り行きを(自分たちを男性化して)連載している。ある日、ジョーの叔母キャロルが結婚するとの報せが。夫となるヘンリーはデヴォン州アルスターの名家バスカヴィルの子孫で、最近、前当主が亡くなって跡を継ぐことになったという。ジョーはバスカヴィルの屋敷に招待されるが、脱獄した殺人鬼と魔犬伝説が街を騒がせ、さらには叔母夫妻に脅迫状が届く。ジョーたちに危険が迫っていた。半電脳と人工心臓のためになかなかロンドンを離れられないシャーリーは、ジョーを助けることができるのか!?突出した独創性とキャラ立ちで話題をさらった女性化現代版ホームズ・パスティーシュ『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』に続く、冒険と友情の第2弾!
その男は、たった一人の井伊家再興の希望だった。家康に寵愛され、その苛烈さから「赤鬼」と呼ばれた井伊直政。命知らずの直政に振り回され、時に反発しながらも支え続けた木俣守勝。「お前の“主君”はだれだー?」大河ドラマに先駆けて直虎の生涯を描いた『剣と紅』に続く、渾身の歴史エンターテインメント!
昭和38年、大阪京橋のキャバレー「グランドシャトー」に流れ着いた家出少女ルーは、ナンバーワンの真珠の家に転がり込む。下町の長屋に住み、ささやかな日常を大切にして暮らす真珠を家族のように慕いながらも、彼女に秘密の多いことが気になるルー。そんな中、人を楽しませる才によって店の人気者となったルーのアイデアが苦境のグランドシャトーに人を呼ぶがー。導かれるように出会ったルーと真珠。昭和から平成へ、30年の物語。
高卒からのたたき上げ、富久丸百貨店外商部の鮫島静緒(38)は、今日も個性豊かなセレブのお客様相手に奔走している。登校拒否ぎみの孫のためお金に糸目をつけない祖母。暴力団幹部の子を妊娠し、逃亡を望む愛人…。外商部の本格的な立て直しプロジェクトが始まり、男社会の古い社内体質が静緒を悩ませる。そこに同居人桝家の元彼まで登場!?そのうえ桝家をゲイと知る母親が、バツイチ独身の静緒に息子との再婚を勧めてきて!?竹内結子主演でドラマ化された話題作続編。神戸在住の著者による大ヒット小説、待望の文庫化!
神戸の老舗、富久丸百貨店芦屋川店で外商員として働く鮫島静緒(37)。日本一の高級住宅地・芦屋をふくむ阪神間のセレブたちに、お買い物をしていただくのが彼女の仕事だ。ノルマは月1500万円!パティスリーでの経験と人脈を活かして奔走する静緒だったが、外商部はいずれも一筋縄ではいかないお客様がたばかり。その上、本物のセレブ出身男子が同僚として配属されてきてー。竹内結子主演でドラマ化された話題作。『トッカン 特別国税徴収官』など、大ヒット作を次々生み出す神戸在住の著者による究極のハイクラスエンタメ、待望の文庫化!
のほほんと生きる金満寺の次男・春馬は金に汚く横暴な住職代行の兄に寺の無理難題をふっかけられがち。今日も今日とて、古い墓石の身元を探している。手がかりは石に刻まれたたった数文学の戒名だけ!?しかし、春馬には同じ高校に通う『戒名探偵』-外場薫という切り札があった。なぜか仏教に異様に詳しい彼は、この日も墓石の写真を見ただけですらすらと身元を言い当てるのだ。有力檀家のルーツ探しに、仏教界びっくりドッキリイメージアップ大作戦!謎が謎を呼ぶ、巨大コンテンツメーカー創始者の生前戒名を巡る骨肉の遺産争い…知れば知るほど面白い仏教の世界の謎を、外場=卒塔婆くんが解き明かす!
税金滞納者に日々納税指導を行なう、国の取り立て屋・国税徴収官は、必要不可欠だけれど、一般には敬遠される、厳し〜い職業である。なかでも、とくに悪質な案件を扱うのが、特別国税徴収官(略してトッカン)だ。情け容赦のない取り立てで「京橋中央署の死に神」と怖れられる鏡特官の下、若手徴収官ぐー子が挑むのは、税金とその奥にひそむ人生の難問の数々-飲食店の巧妙に隠された滞納金捜しや、相続税が払えない老婦人の救済と公売ハウツー、税大研修での鬼畜ゼミ発表会や、ブランド品密売人を追っての対馬出張大捕物など…鬼上司・鏡によって磨かれたぐー子の徴収スキルが炸裂するとき、待ち受ける意外なラストとは?バラエティ豊かな徴収官たちの仕事ぶりを、鏡とぐー子がお伝えします。お金の勉強になりつつ、明日への希望が溢れてくる、No.1税金ミステリ“トッカン”シリーズ初の短篇集。全6篇収録。
瓶子貴宣は、月収10万円の私大非常勤講師。博士号を持ち実力も抜群なのに、指導教官の不祥事で出世の道を閉ざされた。しかも姉が育児放棄した甥、誉を養ってもいる。貧乏でも正規雇用を諦めない貴宣の前に、千載一遇のチャンスが。だが誉を引き取りに姉が現れ、家庭問題まで勃発ー。奮闘するポスドクの未来はどうなる!?痛快かつ心温まる、極上のエンタテインメント。
加賀藩主前田斉広の三女・勇は、加賀大聖寺藩主前田利之の次男・利極と結婚。やがて家を支える存在になる勇だがー(「てんさいの君」)。加賀藩の分家・小松藩の子孫である万里子。日本で初めてサンフランシスコ万博の華族出身コンパニオン・ガールになった女性は、文明開化後をどう生きるのかー(「プリンセス・クタニ」)。瀟洒豪壮な洋館に生まれ育った花音子の生活は、昭和恐慌によって激変。新宿のレビュー劇場に立つことになった花音子は一躍スターダムにのし上がるがー(「華族女優」)。不思議な縁でつながる、三つの時代を生き抜いた女性たち。聡明さとしなやかさを兼ね備え、自然体で激動の時代を生き抜く彼女らをドラマチックに描き出した、壮大な大河ロマン!
2012年、オリンピック開催に沸くロンドン。怪我で除隊して以来、次の就職先が見つからない女医ジョー・ワトソンに、ベイカー街221bでのフラットシェアの話が舞い込む。だが、シェア相手が特別だった。同居人ーシャーリー・ホームズは、頭脳と電脳を駆使して英国の危機に立ち向かう、世界唯一の顧問探偵だというのだ。ある日、女刑事グロリア・レストレードが訪ねてくる。遺体がピンク色に染まる中毒死が頻発しているらしい。いまだ無職のジョーはシャーリーに連れられて調査に赴く。それは、二人がコンビを組む、初めての事件だった。クール&クレバーで電脳を駆使する名探偵シャーリー・ホームズと、だめんず好きでお人好しの女医ジョー・ワトソンーコナン・ドイルの正典の主要キャラたちを男女逆転させ、さらに舞台を現代へとアレンジ。目覚ましい独創性と原作への愛に溢れた、新時代のホームズ・パスティーシュ登場!
世界から軍隊が消えて10年。しかし戦争は武力から諜報戦に形を変えていた。両親を惨殺され一人生き残った海棠鋭利、幼い頃兄と生き別れた御津見珀は、戸籍を剥奪されたスパイ集団、特別公安五係・通称“サクラ”にスカウトされる。桜のように潔く散る、それが彼らの流儀。舞台・映画化の人気シリーズ原作。
「紅はいらぬ、剣を持て」井伊家二十二代目当主直盛の娘・直虎は、言うが早いか、強引に結婚を迫る相手の腰から刀を抜き取り己の髪を切り落としたー。のちの徳川四天王、「井伊の赤備え」で武勲を誇った井伊直政の養母にして、遠州錯乱の時代に一命を賭して井伊家を守り抜いた傑女の、比類なき激動の人生。