著者 : 高瀬隼子
め生えるめ生える
髪の毛が根こそぎ抜ける感染症は、いつしか中高生以下を除くほとんど全ての人がはげる“平等”な世界に変えた。それ以前から薄毛を気にしていた真智加は新しい社会の価値観に開放感を抱いていたのだが、ある日、思いがけない新たな悩みに直面し、そのことが長年友情を培ってきたテラとの関係にも影響が及ぼしそうで…。同じく、予想外の悩みは、幼少期に髪を切られる乱暴の被害にあった高校生の琢磨にもある。それは恋人の希春と行った占い師のお告げがきっかけだった。
いい子のあくびいい子のあくび
ぶつかったる。スマホを見ながら歩いている人は、存在しないっていうことにした。社会がどうとかではなく、わたしがわたしのために正しいことをした。不合理な偏りだらけの世の中に生きる女性たちの、静かな心の叫びを描く、全三話。
おいしいごはんが食べられますようにおいしいごはんが食べられますように
職場でそこそこうまくやっている二谷と、皆が守りたくなる存在で料理上手な芦川と、仕事ができてがんばり屋の押尾。ままならない人間関係を、食べものを通して描く傑作。心をざわつかせる、仕事+食べもの+恋愛小説。
犬のかたちをしているもの犬のかたちをしているもの
付き合い始めの郁也に、そのうちセックスしなくなると宣言した薫。もともと好きではなかったその行為は、卵巣の病気を患ってからますます嫌になっている。そんな薫に郁也は「好きだから大丈夫」といい、セックスをしない関係でいる。ある日、郁也に呼び出されてコーヒーショップに赴くと、彼の隣にはミナシロと名乗る見知らぬ女性が座っていた。郁也の大学の同級生で、彼がお金を払ってセックスした相手だという。ミナシロは妊娠していて、子どもをもらってくれないかと彼女から提案されるのだが…。第43回すばる文学賞受賞作。
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