著者 : 黒原敏行
綿密な手順に従い、オーヴァスとマイケルは麻薬密売組織の裏をかき、コカインと引き換えに大金を手に入れた。しかし、組織がこのまま見過ごすはずもなく、マイケルたちを制裁すべく総力をあげて追跡を開始する。そして、不気味な男の魔手もじわじわと迫ってきた。果たして、彼らは無事逃げのびることができるか?マイアミの市街と郊外の大自然を舞台に、一世一代の取引に賭けた男たちの鮮烈な姿を描くサスペンス大作。
ニューハンプシャー州の田舎町カタマウント-雪のちらつくある寒い日の午後、修理工のボブ・ドゥーボイズは突然自分の人生に耐えられなくなった。何ひとつ大きなことを成し遂げないままに、この寂れた町で30歳をむかえてしまった。だが、自分にはもっと華々しい未来がひらけていたはずではなかったのか。ボブは人生のやり直しをかけて全財産をステーションワゴンにつみこむと、妻子をつれて夢のフロリダへと旅立った。一方そのころ、やはり夢を求めてアメリカへ渡ろうと苦闘している若いハイチ人の女性がいた。アメリカに行きさえすれば、何もかもうまくいく-。そう信じて彼女は、自分の赤ん坊と幼い甥とともにカリブ海へと乗り出していった。やがてふたりの人生が交鎖したとき、そこには思いもかけぬ運命の罠が…。やみがたい衝動に突き動かされてアメリカン・ドリームを追い求め、人生の意味を模索しつづける男ボブ-その魂の叫びを壮大なスケールと力強い筆致で描ききった、ロード・ノヴェルの最高傑作。
私立探偵アーロン・ガナーの決意は固かった。理由はどうあれ、自分の調査のせいで女が一人死んだのだ。これ以上探偵をつづけることは、良心が許さない…。だが、依頼人の女は魅力的だった。それに、依頼の内容もこれまでのような他人の秘密を覗き見する仕事とは違っていた。黒人優越論を唱える「決意の兄弟団」の指導的メンバーが暗殺された事件を調査してくれというのだ。目撃者の証言から犯人の身元をつきとめたガナーは、その白人至上主義の若者を捕まえようとスポーツ・ジムに張り込んだ。ところが何者かに襲われて意識を失い、気がついてみると、ジムの外に駐めておいたガナーの車には彼の拳銃で撃たれて事切れた若者の死体が置かれていた。人種問題に揺れるLAで、黒人探偵ガナーが暗殺事件の裏に隠された陰謀に迫る。第二回私立探偵小説コンテスト第一席。
20年前の宝石店襲撃事件で強奪された宝石を探し出すのに協力してくれ-私立探偵ロマックスは、同業者フォンテーンの雲をつかむような申し出をにべもなく断わった。だがこれから事件の関係者と会うといって去っていったフォンテーンは、翌日、拷問され、額を撃ちぬかれた死体となって発見された。罪の意識を感じたロマックス、過去に埋もれていた事件を掘り返してみた。強盗団の一味はアイダホ・スプリングズの山中に逃げ込み、そこで仲間割れを起こして、血なまぐさい殺しあいを繰り広げたのだった。以来、宝石は行方不明となり、ただ一人逮捕された男も、一貫して事件との関わりを否定してきた。巨額の宝石をめぐって愛と欲望が錯綜するなか、デンバーの探偵ロマックスが過去に秘められれた真相に迫る。
私立探偵ジェイコブ・ロマックスのもとにデンバーの石油業者フィリップ・タウンゼンドの弁護士が電話をかけてきたのは、タウンゼンドが車ごとロッキーの岩場に転落して死亡してから6週間後のことだった。事故死の判定にどうしても納得しない未亡人を満足させるために、再調査をしてほしいという依頼だった。確かにロマックスが調べてみると、ひっかかる点がいくつかあった。タウンゼンドの私生活を洗いはじめたロマックスは、一本のビデオ・テープを発見した。そしてそこには、まだあどけなさの残る少女を犯すタウンゼンドの姿が写っていた。誠実な夫、優しい父親、真面目なビジネスマンの下にロマックスが見たもうひとつの顔とは?ロッキーの大自然に囲まれた町デンバーに知性派探偵ジェイコブ・ロマックス初登場。PWA新人賞受賞作。