著者 : 黒川博行
古美術でひと儲けをたくらむ男たちの騙しあいに容赦はない。入札目録の図版さしかえ、水墨画を薄く剥いで二枚にする相剥本、ブロンズ彫像の分割線のチェック、あらゆる手段を用いて贋作づくりに励む男たちの姿は、ある種感動的ともいえる。はたして「茶釜」に狸の足は生えるのか?古美術ミステリーの傑作。
騙し騙され、一攫千金を狙っては燻り続ける男たち。関西アンダーグラウンド世界に蠢く悪党どもが、シノギを削って繰り広げる暗躍死闘を活き活きと描く。悪事の手際、会話の一言、仕種の細部にまで行き渡った、痺れるほどの緊張感とリアリティ。極上のピカレスク・ハードボイルド、9編を収録した傑作集。
国境てなもんは、地形や民族で決まるもんやない。その時々の喧嘩の強さで、右にも左にもずれるんや。金を持ち逃げした詐欺師を追って、北朝鮮へ飛んだ建設コンサルタント二宮とヤクザ桑原。二人を待ち受けていたのは、未知なる国家の底知れぬ闇-。二回の北朝鮮潜入取材を敢行、中朝国境の現実を描きつくした、渾身の長編ノワール大作。
敵はヤクザ、政治家、建設会社、狙うは数十億円の巨大利権、そして相棒は…疫病神!?建設コンサルタント・二宮啓之が巻き込まれた「産業廃棄物処理場」をめぐる熾烈なシノギ合い。襲いかかる容赦ない暴力、やがて姿を現す巨悪の構図-小気味よい会話で描く関西風味ハードボイルドの頂点。
ボクサー崩れの酒井は、恩人・津村のパチンコ店で働く釘師。ある日苦情に対応したが、以後査察や業者の取引中止が相次ぎ、何者かに身に覚えのない“物”を渡せと脅迫され、ついには津村が失踪する。大阪中のヤクザが政治家をも巻き込んで探している物とは何か。酒井は封印を破り、自らの拳をふるって立ち向かう。
犠牲者の耳は切り取られ、別の男から切断された小指が差し込まれていた。次の犠牲者の口には、前の犠牲者の耳が押し込まれていた。狂気のナイフで切断された身体のパーツが、次の犠牲者の体内に残されてゆく。大阪の闇を切り裂く凄惨な連続殺人に狂奔させられる刑事たちだが、捜査線上に上った容疑者は、生きている筈のない男だった…。卓抜なトリックのサイコ・サスペンス大作。
アニーという名の人形に似た顔の美女たちが、何者かに次々と殺されていった。犯人はアニーに死化粧を施し、着せ替え人形のようにドレスを着せて犯していた。犯人を追う刑事たちの行く手にデート商法の詐欺師が浮かんだが、だまされた美人教師は最後の被害者になろうとしていた。現代の狂気に迫る長編推理。
浪花の刑事・ブンこと文田は大阪府警捜査一課の若手で、総長こと総田部長刑事と名コンビを組んでいる。本部にバラバラ事件の報が飛び込んできて、エリート青年刑事五十嵐と競争になるが、ブンは京都風を吹かせる五十嵐と合わない。そこへ今度は心中事件。二つの事件は妙な所でつながりブンは振り回される。
私こと新進気鋭の刑事・ブンとベテラン刑事・総長のコンビ。対するはエリート警部補・荻原。双方がっぷりと4つに組んで連続殺人犯を追いかけます。我ら2人組の軽妙な会話とソリの合わない荻原との東西文化圏対立。姿なき殺人者と偽装された海難事故。事件は二転三転、破天荒な結末を迎える。
死体のパーツが新たな犠牲者の体内に-酸鼻をきわめるリレー式連続殺人事件。午前4時の家々に病院に、殺人機械は音もなく侵入する。狂気の匂うナイフは、いかなる怨恨を切り取ってゆくのか…。一分の隙もなく構成された迫力満点のホラー・サスペンス。