ジャンル : ミステリー・サスペンス
2001年、新聞社を辞めたばかりの太刀洗万智は、編集者から海外旅行特集の協力を頼まれ、事前調査のためネパールに向かう。現地で知り合った少年にガイドを頼み、穏やかな時間を送ろうとしていた太刀洗だったが、王宮では国王をはじめとする王族殺害事件が勃発。太刀洗は早速取材を開始したが、そんな彼女を嘲笑うかのように、彼女の前にはひとつの死体が転がり……。『さよなら妖精』の出来事から十年のときを経て、太刀洗万智は異邦でふたたび大事件に遭遇する。
「憎きあいつを殺したのは……私!?」二十年前に起きた通り魔事件の犯人が刺殺された。警察に「殺した」と通報したのは、同じ事件で愛する両親を失った女性。だが、彼女はその現場から逃げる途中で交通事故に遭い、脳に障害を負っていた。警察の調べに対し、女性による殺害の記憶は定かでない。復讐は成し遂げられたのか、最後に待つ衝撃の真相とは? 驚愕の長編サスペンス・ミステリー!
東京・葛西駅前のコインロッカーから女性の左腕が発見された。「ロックスミス(錠前師)」を名乗る犯人はヒントとなるメッセージとロッカーの鍵を残しており、引き続き身体の断片を捜すよう命じる。筋読みに優れた女性刑事・城戸葉月を中心とした警視庁の捜査チームは都内を奔走。一方、エンバーマー(遺体整復師)の折口聡子は「ウツロ」を名乗る人物に監禁されていた。ウツロは手足のない女性の骸の復元を聡子に要求する。一向に姿を現さないロックスミスとウツロの真意は?そして葉月と聡子が迎える衝撃の結末とはー?
疑いを差し挟む余地のない、資産家の老人の死。しかし彼の娘は、財産の大部分を相続する中学生の孫に疑惑の目を向けた。あれは本当に自然死だったのか?すでに遺体は荼毘に付され検視は不可能、疑惑を解決するための困難極まりない調査は弁護士を介して特殊能力を持つ私立探偵に持ち込まれた。その探偵がー俺だ。霊の記憶を読み取ることができる探偵、天野春近の調査と推理を描く書き下ろし中編二編を収録。『記憶屋』が話題を呼んだ新鋭の野心作。
昭和12年(1937年)、銀座で似顔絵描きをしながら漫画家への夢へ邁進している那珂一兵のもとを、帝国新報(のちの夕刊サン)の女性記者が訪ねてくる。5月末まで開催中の名古屋汎太平洋平和博覧会の取材に同行して挿絵を描いて欲しいというのだ。華やかな博覧会の最中、一行が巻き込まれた殺人事件。名古屋にいたはずの女性の足が、遠く離れた銀座で発見されたーー! 名古屋、東京間に仕掛けられた一大トリックに、那珂少年はどんな推理を巡らせるのか? 空襲で失われてしまった戦前の名古屋の町並みを、総天然色風味で描く著者最新長編。
夫を事故で喪ったアリスは、亡夫の書斎でミス・ラッシュという知らない女性の名が書かれた封筒を見つける。そこへ息子のマルコムが、美女を伴い帰宅した。美女の名前はラッシュ……女性が去ったのち、封筒も消えていた。彼女は何者で、息子に近づいた目的、夫の死との関連は? アリスの疑惑と緊張が深まるなか、ついに殺人が……。迫真のサスペンスにして名探偵による謎解きミステリでもある、ウィリング博士もの最後の未訳長編。
〈黒後家蜘蛛の会〉のお楽しみーーそれは知性あふれる6名の会員たちによる丁々発止の会話、毎回のゲストが提供する謎かけの数々、そしてその難問を見事に解決する給仕ヘンリーの名推理である。偉大なる黄金パターンを何度でも楽しめる、殿堂入りの連作短編集。第3巻にはアメリカ大統領にまつわるトリビアから火星や日蝕の様相まで、多岐にわたる分野に材を得た全12編を収録。“ディナーのあとで謎解きを”心ゆくまで堪能せよ!
幕末の江戸。神田千両町に暮らす岡っ引きの辰親分は、御用のかたわら福引きの一種である“宝引”作りをしていることから、「宝引の辰」と呼ばれている。辰親分は不可思議な事件に遭遇する度に、鮮やかに謎を解く! 殺された男と同じ彫り物をもつ女捜しの意外な顛末を綴る「鬼女の鱗」。謎の画家が残した吉祥画を専門に狙う、怪盗・自来也の真意を探る「自来也小町」。美貌の女手妻師・夜光亭浮城の手妻中に起きた、殺人と盗難事件の真相を暴く「夜光亭の一夜」。ミステリ界の魔術師が贈る、事件関係者の一人称視点から描かれた傑作13編を収録。
綾乃は高等部に進級し、中等部には雪之丞の従妹や絵葉の弟や、人間の女の子桜子も入学してきた。そして新学期の一週間が終わったころ、綾乃たちの学年にロシアの水妖ヴォダーくんがやってきた。ところがそんなとき、学院で奇妙なことが起こり始める。周辺では不審者が目撃され、寮の部屋からお八つが消える。妖怪と人間がともに学ぶ魔女学校を舞台にした愉快な学園ファンタジイ。
本拠惑星ヘイヴンを失いながらも、人類の存亡をかけ、名艦長ウルフは〈カール・セーガン〉の協力のもと、強大な異星種族に挑む!
大学生の関口藍は、前世・前前世の記憶を所持して生まれてきたという少女・伊藤杏寿と出会い、生まれ変わりを防ぐ手助けをしてほしいと頼まれる。情報を得るため、前前世の少女・木綿子の生家を訪ねた藍たちは、そこで謎のポルターガイスト現象に遭遇する。その翌朝には当主の毒殺死体が発見され、現場には木綿子の署名が残されていた。三十二年前、彼女は何者かに殺害されたらしく…。
しばしの休養のため湖畔のホテルにやってきた明智小五郎は、大宝石商の娘・玉村妙子と知り合い、心惹かれていく。それが玉村家の怪事件へかかわり合うことになる始まりだった。妙子の叔父福田得二郎のところへ数字のみを書き記した謎の紙片が届き始める。その数字が「三」となったとき、得二郎は内側から鍵をかけた自室で殺され、血まみれの死体からは首が奪われていた!
神谷芳雄がめぐり合った恐るべき怪事件。恋人の弘子に不気味な男は言い寄る。その顔はどす黒く、大きな口に敏捷に動く長い舌。獣のようなその男は恩田と名乗り、こともあろうに弘子をさらって惨殺する。警察の捜査も虚しく、恩田は姿をくらます。一年後、神谷の新たな恋人・江川蘭子の前に恩田が現れる。美しい姿が突如として舞台の中央から消えた!美貌の歌姫にまたしても魔の手が迫る…
第二次大戦初期、エドワーディック号は英国の某港へ軍需品を輸送すべくニューヨークの埠頭に碇泊していた。危険きわまりないこの船に、乗客が九人。航海二日目の晩、妖艶な美女が船室で喉を掻き切られた。右肩に血染めの指紋、現場は海の上で容疑者は限られる。全員の指紋を採って調べたところが、なんと該当者なし。信じがたい展開に頭を抱えた船長は、乗り合わせた陸軍省の大立者に事態収拾を依頼する。そこへ轟く一発の銃声、続いて大きな水音! ヘンリ・メリヴェール卿シリーズ、初文庫化作品。