ジャンル : ミステリー・サスペンス
ハーロウ夫人の死は、養女ベティによる毒殺であるーー夫人の義弟による警察への告発を受け、ロンドンからは法律事務所の若き弁護士が、パリからは探偵アノーが、“事件”の起きたディジョンの地へ赴く。ベティとその友人アン、ふたりの可憐な女性が住む“矢の家”グルネル荘で繰り広げられる名探偵と真犯人との見えざる闘い。文豪・福永武彦による翻訳で贈る、メースンの代表長編。
12歳のマイロの両親が営む小さなホテル〈緑色のガラスの家(グリーングラス・ハウス)〉に、ある冬の日、5人の奇妙な客が現れる。彼らは全員が滞在予定日数を告げず、他の客がいることに驚いていた。なぜ雪に閉ざされたホテルに来たのか? マイロは客の誰かが落としたと思しき古い海図を手がかりに、彼らの目的を探ることにする。それはホテルの秘密につながっていた……? 心あたたまる聖夜のミステリ。
1942年、ドイツの異父姉妹と会う日を心待ちにしながら、わたし、マギー・ホープはロンドンの特別作戦執行部(SOE)で事務の仕事についていた。そんななか、MI???-5の長官から、殺人事件の捜査に協力を要請される。被害者はSOEの訓練を受けた女性。犯人はあのいまわしい事件を模倣しているとしか思えないのだが……。マギー・ホープ、今度は戦時下のロンドンで勃発する連続殺人事件に挑む。
ブルの操縦で月から帰還した“スターダスト”は中国軍のミサイルで破壊され、ローダンたちはさらに劣勢に追い込まれていた。一方アイルランドの小島では、マーシャルたち異能者の集団が、心に傷を受け眠り続けるシドを目覚めさせるため彼の精神へのコンタクトを試みる。それは、彼の過酷な幼少期の記憶の追体験だった。クリフォードに連れ去られた療養中のクレストは、自らとローダンらの窮地を認識し苦悩するのだった。
時は21世紀半ば、世界はワルシャワを中心とする共産主義体制とヨーロッパ・アメリカ合衆国とに完全に二極化されていた。USEAで絶大な権力を握る美貌の大統領夫人ニコル・ティボドーは、タイムトラベル装置を使って秘かにゲーリング元帥を呼び寄せ、恐るべき計画を実行しようとするが…模造人間、超小型違法宇宙船、火星生物などのガジェットを満載、現在の世界を照射するテーマ性を持った異色の長篇、待望の新訳版。
予期せぬ事故でシャトルから放り出された、女性宇宙飛行士のカリスと料理人のマックス。恋人同士であるふたりには、酸素がそれぞれ90分ぶんしか残っていなかった。ふたりはどのように出会い恋に落ちたか、そしてなぜ現在のような状況に至ったかについて振り返る。漆黒の宇宙空間をゆっくりと確実に落下していく絶望的な状況で、必死に生存の可能性を探りながら…。“ゼロ・グラビティ”下で展開するSFラブストーリー。
シェフ・麻野の日替わりスープが評判のスープ屋「しずく」は、早朝にひっそり営業している。調理器具の購入のため麻野と出掛けた理恵は、店の常連カップルと遭遇。結婚式を控え、仲睦まじく見えた二人だが、突如彼氏が式を延期したいと願い出る。その原因は、ゴボウ?亡き妻・静句を思う麻野への、理恵の恋も動き出す!?美味しいスープと謎に溢れた全5話収録。心温まる連作ミステリー。
ありえないのに合理的、逆説が導くさかしまの真実。互いの意見が一致したため相手を殺した男、誰もが知っているのに何者かわからない男。“ブラウン神父”の巨匠が創りだしたもう一人の名探偵による八つの謎解き。
クリスティと並び称されるミステリの女王セイヤーズが創造したピーター・ウィムジイ卿は、従僕を連れた優雅な青年貴族として世に出たのち、作家ハリエット・ヴェインとの大恋愛を経て人間的に大きく成長、古今の名探偵の中でも屈指の魅力的な人物となった。本書はその貴族探偵の活躍する中短編から「不和の種、小さな村のメロドラマ」等、代表的な秀作7編を選んだ作品集である。
三軒茶屋から世田谷線で数駅、裏路地にひっそりと佇む『藤屋質店』の特徴は、今どきの高級ブランド品だけでなく、骨董の類いが持ち込まれる機会の多いことだ。店主の健三郎がかつて骨董店にいたことがその理由である。そのため、涼子が美術館の学芸員の仕事を辞め見習いで入った時から、質屋の商いで持ち込まれる宝飾品やブランド品に加え、骨董類についても対応できるようにと、様々な品物について勉強させられている。ひとりで接客する際は、その成果をいやでも試されるのだが、それは涼子の前職での経験と似ていた。目利きの元学芸員が織りなす優美な連作ミステリ。
風力発電施設建設会社で夜警の死体が発見された。ビルには何者かが侵入した形跡が。奇妙なことに、社長室のデスクにハムスターの死骸が残されていた。これは何を意味しているのか? 風力発電の利権をめぐって次々に容疑者が浮かびあがり、さらに殺人が…。再生可能エネルギーにかかわる国家的犯罪なのか。巨大な陰謀に呑み込まれる刑事たち。ドイツのナンバーワン警察小説!
四谷のカルチャーセンターで出会った、千鶴、桃、真紀、公子。性格も学校も異なるけれど、それぞれ悩みを抱える彼女たちは、なぜかいつも講座でささやかな謎に遭遇する。芸術講座の講師たちから聞いた骨董コレクターの不可解な行動、創作講座で絶賛された作者不明の原稿。時にぶつかり、時に支え合いながら、事件を通して内面を見つめ直し成長する少女たちを描く、青春ミステリ。
トーラは、月の“アエトロン”を離れ、太陽系の惑星調査に向かった。その後“スターダスト”で月にやって来たブルは、“アエトロン”の残骸を目撃する…一方、膠着状態が続くテラニアでは、中国軍がエネルギードームの破壊作戦を密かに進めていた。それを察知したローダンもまた、対抗手段を指示する。同じ頃ドイツのミュンヘンにて、不思議な力を持つエラートは、あるヴィジョンを幻視しローダンの元へ赴く決意をする。
ジョー・ファーンライトは、腕利きの“壺なおし”職人。だが、陶器はプラスチックに取って代わられ、壺なおしの仕事は開店休業状態、失業手当で食いつなぐ毎日だった。そんなある日、待望の仕事が舞い込む。シリウス星系のグリマングから巨額のオファーが届いたのだ。海底に沈む大聖堂ヘルズカラを引き揚げるため、地球を離れグリマングの待つ惑星へと向かうジョーだったが…。ディック絶頂期の幻の長篇、待望の新訳版。