ジャンル : ミステリー・サスペンス
大人になった“私”は、謎との出逢いを増やしてゆく。謎が自らの存在を声高に叫びはしなくても、冴えた感性は秘めやかな真実を見つけ出し、日々の営みに彩りを添えるのだ。編集者として仕事の場で、家庭人としての日常において、時に形のない謎を捉え、本をめぐる様々な想いを糧に生きる“私”。今日も本を読むことができた、円紫さんのおかげで本の旅が続けられる、と喜びながら
新規オープンする美術館の目玉の一つ、葛飾北斎の肉筆画に贋作疑惑が浮上した。江戸と現代で二重生活を送る元OLの関口優佳=おゆうは、真贋をはっきりさせるため、江戸で直接北斎に尋ねてみることに。しかし、調査を始めた途端、絵の売買にかかわった仲買人が死体で発見された。同心の伝三郎たちから疑惑を持たれながらも、おゆうは現代科学と北斎の娘・阿栄の助けを借り、事件を追いかける。
クリスマス直前のウィーンで、オペラの歌姫の最期を看取った人々。帰途にチャーター機が悪天候で北チロルの雪山に不時着してしまう。彼ら八人がたどり着いたのは、雪で外部と隔絶された小さな村のホテル。歌姫の遺産をめぐり緊張が増すなか、弁護士によって衝撃的な遺言書が読みあげられる。そしてついに事件がー。修道士カドフェル・シリーズの巨匠による、本邦初訳の傑作本格。
英雄スカンドゥラノンの息子にして、銀鷲獅子団のタドリスは歓声をあげた。故郷から遠く離れた前哨地で六カ月。初めての監視なしの任務だ。タドリスと人間の相棒“銀の刃”は、心配する両親を尻目に大喜びで出発した。ちょっとした冒険行のはずだった。“銀の刃”と荷物を入れた籠を装着して飛んでいたタドリスが、コントロールを失い墜落するまでは…。“魔法戦争”三部作完結。
銀鷲獅子団の司令部は大騒ぎだった。タドリスと“銀の刃”が任務地に着いていないのだ。遠話装置での連絡もない。すぐにスカンドゥラノン率いる捜索隊が現地に向かう。一方森に墜落したふたりは、大けがを負いながら見えない追跡者から逃げていた。誰が何の目的でつけ狙うのか。鷲獅子と人間、体力と知力の限りをつくし、姿なき敵と戦う。“ヴァルデマール年代記”古代史完結。
ゴビ砂漠に独立都市テラニアの建設を宣言したローダンは、中国軍が包囲するエネルギードームの内側に、都市の建造を開始した。だがクレストの病状が悪化し、彼を地球の医者に診せる方法を模索する。一方、児童保護施設での殺人事件に関与したとされ警察に追われるマーシャル、シド、スーは、次第にミュータントの力に目覚めはじめる。その頃、NASAのフレイト少佐たちは米大統領の密命を受けて密かに月を目指すが…最長SFシリーズのエッセンスを凝縮した全8巻!第1シーズン・ヴィジョン・テラニア篇を完全翻訳。
2055年、人類は異星人同士の星間戦争に巻き込まれ、リーグ星人と泥沼の交戦状態にあった。そのさなか、軍事企業で人工臓器医師として働くエリックは、致死性の病に苦しむ独裁的指導者モリナーリの主治医となる。一方、エリックの妻キャシーは夫への不満から、新種のドラッグJJ-180に手を出してしまう。キャシーに騙されてJJ-180を飲んだエリックは、時空を越えて一年後の自分に出会うが…。ディック中期の傑作・新訳版。
干上がった湖の底で発見された白骨。頭蓋骨には穴が空き、壊れたソ連製の盗聴器が体に結びつけられている。エーレンデュル捜査官たちは、丹念な捜査の末、ひとつの失踪事件に行き当たった。三十年前、一人の農業機械のセールスマンが、婚約者を残し消息を絶っていたのだ。男は偽名を使っており、アイスランドに彼の記録は一切なかった。男は何者で、なぜ消されたのか?過去にさかのぼる捜査が浮かび上がらせたのは、時代に翻弄された人々の哀しい真実だった。北欧ミステリの巨人渾身の大作。
両親の虐待に耐えかね逃亡した少年エリックは、遺伝子研究を行うテニエル博士の一家に保護される。彼は助手として暮らし始めるが、屋敷内に潜む「実験体七十二号」の不気味な影に怯えていた。一方、“ジェリーフィッシュ”事件後、閑職に回されたマリアと漣は、不可能と言われた青いバラを同時期に作出した、テニエル博士とクリーヴランド牧師を捜査してほしいという依頼を受ける。ところが両者との面談の後、旋錠された温室内で切断された首が発見される。扉には血文字が書かれ、バラの蔓が壁と窓を覆った堅固な密室状態の温室には、縛られた生存者が残されていた。各種年末ミステリベストにランクインした、『ジェリーフィッシュは凍らない』に続くシリーズ第二弾!
その古書を開いた者は跡形もなく消えてしまうーそう伝えられるとおりの奇怪な事件が起きる「古書の呪い」を始めとして、閉ざされた現場での奇妙な殺人の謎がこのうえなく鮮やかに解かれる傑作「“ブルー”氏の追跡」など、いずれもチェスタトン特有のユーモアと逆説にあふれた全9編を収録する。全編が傑作にして必読であるという、奇跡のような“ブラウン神父”シリーズ最終巻。
大学講師の職を得て、高校生の娘を連れ故郷へ戻ってきたジョージアは、親友のシド(世にも不思議な、歩いて喋る骸骨だ!)と再会した。人間だったときの記憶のない彼が、見覚えのある人物と遭遇したのをきっかけに、二人はシドの“前世”を調べはじめる。だが、その過程でできたての死体を発見、殺人事件も背負いこむことに。たっぷり笑えてちょっぴり泣ける、ミステリ新シリーズ。
大怪盗ロータスが盗みに失敗した!浅草の高層建築・凌雲閣に飾られた油絵を盗もうとした怪盗は、番人に見つかり絵を置いて逃げたという。一報がもたらされたちょうどそのとき、高広と礼は安西と再会した。ロータスが起こした一連の事件の主任検事となった安西は怪盗の昔馴染みであり、かつて共に駆けた時代があったー。決別した二人が今相まみえる。大好評シリーズ第四弾。
両親を失い、伯父の家に引き取られた綾乃。村祭の夜、サーカスから逃げたアナコンダに襲われた彼女は、危ういところを箒に乗った魔女に助けられる。魔女の正体は、村に来ていた女性民俗学者。怪我を負った綾乃は、救い主の母校で治療を受け、そのまま入学することに。だがそこは、妖怪たちが魔女と一緒に魔法を学ぶ奇妙な学校だった。第2回創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞作。
神経科学研究の進歩により、ポストヒューマンの存在が現実味を増し、その技術が取り締まられるようになった近未来。記憶や官能を他人と共有できるナノマシン、ネクサス5を生み出した若き天才科学者ケイドは、その存在を危険視した政府の女性捜査官サムに捕らわれてしまう。彼女らに協力を要請されたケイドは、スパイとなって中国の科学者朱水暎を探ることになるのだが!?息詰まる攻防を描くノンストップ・SFスリラー。