ジャンル : ミステリー・サスペンス
ロンドン警視庁の女性刑事が問題を起こして謹慎処分となった。女児を置き去りにして母親が失踪したネグレクト事件を担当していて上層部の判断に納得がいかず、新聞社にリークするという荒技に走ったのだった。ロンドンを離れ、コーンウォールの祖父の家で謹慎の日々を過ごすうちに、打ち捨てられた屋敷・湖畔荘を偶然発見、そして70年前にそこで赤ん坊が消える事件があり、その生死も不明のまま迷宮入りになっていることを知る。興味を抱いた刑事は謎に満ちたこの事件を調べ始めた。70年前のミッドサマー・パーティの夜、そこで何があったのか?仕事上の失敗と自分自身の抱える問題と70年前の事件が交錯し、謎は深まる!
70年前、コーンウォールの湖畔荘で消えた赤ん坊。見捨てられた屋敷の現在の持ち主は、ロンドンに住む高名な女流ミステリー作家アリス・エダヴェインだった。消えた赤ん坊の姉だ。当時、湖畔荘には三人の娘がいた。そして消えた赤ん坊は待望の男の子だったのだ。女性刑事はなんとしてもこの迷宮入りした事件の謎を解きたくなり、作家アリスに連絡を取る。一九一〇年代、三〇年代、二〇〇〇年代を行き来し、それぞれの時代の秘密を炙り出すモートンの見事な手法。複雑に絡み合う愛と悲しみがもたらすものは?そして、最後の最後で読者を驚かすのは、偶然か、必然か?モートン・ミステリーの傑作。
柿埼先生に、手紙を書こうと思うー中学三年になる春、山坂百音は、かつて通っていた小学校の元教員・田児あやめに伝えた。そして百音は、三年半前に起きたできごとについて、五年三組の担任教師だった柿埼に向けて思い出を綴ってゆく。すべては、彼の謎めいた提案から始まったのだ。「どうでしょう。今年一年、このクラスのみんなでゲームをしませんか?」『ニンテイ』と名づけられた、柿埼の考案した奇妙なゲームが、子どもたちの未来を大きく左右する事を、このときは誰も予想していなかったー『ゴースト≠ノイズ(リダクション)』で衝撃のデビューを果たした新鋭が贈る、入魂の長編ミステリ。
五年三組の担任教師・柿埼の提案した『ニンテイ』ゲームはクラスの子どもたちの心を捉え、学校生活にかかせないレクリエーションとして順調に機能しているように見えた。引っ込み思案で『ニンテイ』を忌避していた百音も、親友となった香住の励ましを得て、夏休みの自然教室や秋の運動会を乗り越え、クラスメイトとの距離を縮めて徐々に自分の世界を広げてゆく。この穏やかな日々が続くと、みな思っていた。ただ、「彼ら」を除いては。百音は思い返す。最後の“ゲーム”が行われたあの日、夜の校舎で何が起きたかを。圧倒的な筆力で描ききった渾身の千二百枚。
私用で大学を訪れたフォイル次長警視正は“殺人計画”の書かれた紙を拾う。決行は今夜八時。直後に拳銃の紛失騒ぎが起きたことに不安を覚え、夜に再び大学を訪れると、亡命化学者の教授が死体で発見された。現場から逃げた人物に関する目撃者三名の証言は、容姿はおろか性別も一致せず、謎は深まっていく。精神科医ウィリングが矛盾だらけの事件に取り組む、珠玉の本格ミステリ。
捕食されないように、まぎれてしまったほうがいい。そう言って、いづみはトラウマを抱える真尋の心に猫のようにするりと入り込んできた。真尋は希望を見出すが、ふとした疑念からいづみの過去を辿ると、彼女の周りで何人もの女が失踪していた。やがて真尋はあまりにおぞましい真実に直面する。抜群のページターナーが贈る、戦慄のサスペンス。
パトカーに追われた二人組の強盗、四人組の宝石強奪犯、自動車会社社長を襲った男、前総理を襲撃した四人のテロリスト…。たった一本の杖で、次々と暴漢を撃退していく謎の男「天草四郎」。島原キリシタン一揆の英雄と同じ名を名乗る男は、一躍、世間の注目を浴びる。「天草四郎」とは、何者なのか。そして、その目的は?十津川警部が現代に甦った「英雄」の秘密に挑む、長編ミステリー。
アルツハイマー病を患うジェニファーに殺人容疑がかけられる。殺されたのは彼女の親友で、なぜか死体の右手は4本の指が切断されていた。手を専門とする整形外科医だったジェニファーは重要参考人として事情聴取を受けるが、病気のせいで、体調次第では親友のことさえ思い出せない。彼女の曖昧な記憶や独白など、パズルのピースのように断片的な記述が描き出す衝撃の真相とは。
探偵小説に夢中の小学生・森江春策は、ある夕刻に見かけた洋館で、謎の紳士と少女をめぐる不思議な事件に巻き込まれ、初めて“推理”を披露したーその後も密室殺人に首なし死体、鉄壁の不在証明などの多種多彩な不可能犯罪に遭遇する彼が、平凡な少年から名探偵へと成長を遂げてゆく道程を年代記形式で描く本格ミステリ読者必読の連作短編集。
野原のまんなかにある秋葉図書館。のどかなこの図書館でも季節はうつろい、新人司書・文子の仕事ぶりも板についてきた。だが相変わらず利用者はあれこれ持ち込み、文子を悩ませる。絵本にお菓子に料理に…とさまざまな謎を、本や先輩司書の力を借りて見事解決を目指すのだけれど。そんななか、お隣の地所から驚くべきものが発見されー。本好きに捧げるやさしい図書館ミステリ。
文学と妖怪は切っても切れない仲、意外な作家が妖怪を描いていたりする。本書はそんな文豪たちの綴る様々な妖怪物語を集めたアンソロジー。雰囲気たっぷりのイラスト入りの尾崎紅葉「鬼桃太郎」、泉鏡花「天守物語」、宮澤賢治「ざしき童子のはなし」、小泉八雲(円城塔訳)「ムジナ」、芥川龍之介「貉」、内田百〓「件」等19篇を収録。妖怪づくしの文学世界を存分にお楽しみ下さい。
レオポルト・ヴァリシュ、あだ名は“レミング”。刑事時代、犯人の逃走車輛の前に思わず飛び出したのを集団自殺するネズミのようだと言われ、以来その名前で呼ばれている。訳あって警察を辞め、現在は興信所の調査員だ。ある日、浮気調査で元教師を尾行中、目を離した一瞬の隙に彼が殺害されてしまい…。後先考えないお人よしの探偵が、事件の真相を求めてウィーンを駆ける!ドイツ推理作家協会賞受賞作。
2036年、NASAのペリー・ローダン少佐は、連絡の途絶えた月のアームストロング基地を調査するため、“スターダスト”で月面に向かった。彼らは月で驚くべき光景を目にする。そこには巨大宇宙船が着陸していたのだ。一方地球では、異星人との接触の報に米中露をはじめとする国際社会が激しく動揺する…世界最長SF“宇宙英雄ローダン”を現代の創造力で語りなおす新プロジェクト、遂に日本刊行開始。
第四作品集に至っても驚異的なクオリティーを保ちつづける“ブラウン神父”シリーズ。容疑者の不可解な行為の謎と意外な真相「大法律家の鏡」、この世の出来事とは思えぬ状況で発生した金塊消失事件「飛び魚の歌」、常識を超えたユーモアと恐怖の底に必然的動機がひそむ「ヴォードリーの失踪」など全10編を収録。シリーズの精髄である逆説とトリックが冴える、逸品揃いの短編集。
湖のほとりの館で育てられた、血の繋がらない六人の娘。養父が突然死亡し、娘たちには遺書と出生地らしい座標が遺された。長女マイアの座標が示すのは、リオ・デ・ジャネイロにある“蘭の館”。ここが自分の生まれた場所なのか。希望と不安を胸に訪ねたマイアだったが、主らしい老婦人に手ひどく拒絶される。失意のマイアの前に現れたのは…。世界的ベストセラー作家の自信作。
“蘭の館”の老婦人に追い帰されたマイア。だが二度めに訪れたときメイドがこっそり手渡してくれたのは、館の主一族の歴史の一部だという手紙の束だった。そこに記されていたのは80年前に生きた、マイアと瓜二つの顔を持つひとりの女性の哀しくも数奇な運命の物語。作品が30を超える言語に翻訳され、世界中で1000万部を売り上げた、ベストセラー作家が放つ傑作シリーズ開幕。
夏祭りにやって来た、裏染天馬と袴田柚乃たち風ヶ丘高の面々。たこ焼き、かき氷、水ヨーヨー、どの屋台で買い物しても、お釣りが五十円玉ばかりだったのはなぜ?学食や教室、放課後や夏休みを舞台に、不思議に満ちた学園生活と裏染兄妹の鮮やかな推理を描く全五編。『体育館の殺人』『水族館の殺人』に続き、“若き平成のエラリー・クイーン”が贈るシリーズ第三弾は、連作短編集。
ニューヨークのスポーツの殿堂“ザ・コロシアム”に二万の大観衆を集め、西部劇の英雄バック・ホーンのショウが始まる。カウボーイたちの拳銃が火を噴いた次の瞬間、そこには射殺死体が転がっていた。だが不可解なことに、被害者のものを含む四十五挺の銃はいずれも凶器ではない。客席にいたエラリーは、大胆不敵な犯罪の解明に挑む!“国名シリーズ”第六弾。
テレビのドキュメンタリー制作者のキャサリンは、仕事でも家庭でも、順風満帆の生活を送っていた。しかし、そんな彼女の人生は一瞬で暗転したー引っ越し先で手にした見覚えのない本を開いた、その瞬間に。その本は、20年間隠しつづけてきた、あの夏の秘密を暴こうとしていたのだ!新人の作品ながら刊行前に25ヶ国で出版が決定し、世界で旋風を巻き起こした驚異の長編ミステリ。