ジャンル : ミステリー・サスペンス
帰国子女の栄美は桜の美しさを楽しむ余裕もなく、不安いっぱいで日本の高校での初日を迎えた。幸いにも友達ができ、気になる男の子とも仲良くなれたものの、やがて辛い別れを経験することに…。時は流れ、大学生となった栄美の前に現れたある人との出会いをきっかけに、高校時代の思い出はまったく別の形を見せてゆくー。『慟哭』の著者が仕掛ける、忘れられない青春ミステリ。
超自然現象研究会が配布した“エリア51”の「市立七不思議」特集が影響を与えたのだろうか?突如休み時間に流れた、七不思議のひとつ「カシマレイコ」を呼び出す放送。そんな生徒はもちろん存在しない。さらに「口裂け女」「一階トイレの花子さん」の悪戯まで見つかった。なぜこの三つなのだろう…。調査を進めた葉山君は、ある真実に気づく。ますます快調な、シリーズ第五弾。
米国人の学者と出会った女性作家の独白。若返る病を患い、家出から帰ってきた母。本所深川に出没する謎の辻斬り。果てのない階段がある巨大な“駅”を彷徨う脱走兵。光という影と、影という光で造る、理想の庭。-繊細で美しい物語の断片が創る、庭園のごとき小説世界。翻訳家・アンソロジストとしても知られる才人の、第14回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
20世紀初頭に入り爛熟期を迎えた文化都市ウィーン。音楽と犯罪学に打ち込む素人探偵ダゴベルトは、友人グルムバッハ夫妻との晩餐後、葉巻と珈琲を楽しみつつ、ハプスブルグ朝末期の社交界で起きる様々な難事件解決の顛末を披露する。「クイーンの定員」にも選出されたダゴベルト探偵譚から9篇を精選。オーストリアのコナン・ドイルと称される著者の本邦初となるオリジナル短篇集。
公演を終え骨休めに訪れた地で遺体に遭遇したアバークロンビー・リューカー。深入りする気はなかったが、関係者の些細な嘘を契機に、眠っていた探偵の勘が呼び覚まされた。誰かが何かを隠そうとしている。あれを事故と考えるなら不自然な点にどう説明をつけるのか、殺人であれば犯人と動機が存在するはず…。探索を始め妙な光景を目にした夜、リューカーは新たな遺体を発見。
フランケンシュタイン家の双子コンラッドとヴィクター。兄コンラッドは冷静で思慮深く、弟ヴィクターは情熱的と正反対の性格ながら、二人の絆は固かった。だが、コンラッドを突然の病が襲う。兄を救おうと、ヴィクターは遠縁の娘エリザベス、親友のヘンリーと一緒に、錬金術師ポリドリを訪ねる。求めるは不老不死の霊薬。若き日のフランケンシュタインを描いたダークファンタジー。古典的名作『フランケンシュタイン』その知られざる前日譚。
時勢ゆえ戦争に駆り出され、海の男になったピーター・ダルース。久方ぶりの休暇を愛妻アイリスと水入らずで、と思いきや好事魔多し。宿の手配に右往左往、大事な軍服を盗まれ、あげく殺人の容疑者に仕立てられる始末。軍務復帰まで三十時間、警察に引っ張られるなんて冗談じゃない。私立探偵コンビの助力を得て逃避行と真相究明が始まり…。謎が謎を呼ぶ、パズルシリーズ第三作。
濃霧に包まれた晩秋のロンドン。帰庁途中のマクドナルド首席警部は、深夜の街路で引ったくりから女性を救った後、車を警視庁に置いて帰宅した。翌日、彼は車の後部座席に、悪魔の装束をまとった刺殺死体を発見する。捜査に乗り出したマクドナルドは、同夜老オペラ歌手の車に、ナイフと『ファウストの劫罰』の楽譜が残されていたことを掴む。英国本格黄金期の傑作、本邦初訳。
証券会社の経営者ベンスンがニューヨークの自宅で射殺された事件は、有力な容疑者がいるため、解決は容易かと思われた。しかし捜査に、尋常ならざる教養と才気をもつファイロ・ヴァンスが加わり、事態は一変する。物的・状況証拠を否定するヴァンスが用いる、心理学的推理とは? 巨匠のデビュー作にして、米国本格ミステリ黄金時代の幕開けを告げた記念碑的傑作、新訳で登場。解説=戸川安宣
執筆に行き詰まり、衝動に任せて麻布の長期滞在用ホテルに身を隠した探偵小説界の巨匠・江戸川乱歩。だが、初期の作風に立ち戻った「梔子姫」に着手したとたん、嘘のように筆は走りはじめる。しかし小説に書いた人物が真夜中に姿を現し、無人の隣室からは人の気配が…。耽美的な作風で読書人を虜にした名文家による、虚実入り乱れる妖の迷宮的探偵小説。山本周五郎賞受賞作。
五番街にある“フレンチズ・デパート”のウィンドウに展示された寝台から、女性の死体が転がり出た。被害者はデパートの取締役会長の後妻。遺体のくちびるには口紅が塗りかけで、所持していた別の口紅からは謎の白い粉が発見される…。この怪事件から唯一無二の犯人を導き出す、エラリーの名推理。巨匠クイーンの地位を不動のものとした“国名シリーズ”第二作。
“見えないはずのものが見える”能力を持つビデオ製作者のエリックは、93歳の大富豪、キャンベル・ブラッドフォードの生涯を探るビデオ製作を依頼される。手がかりはキャンベルが唯一手放さなかったプルート水という水と、「あの川は本当に冷たかった」というひと言だけ。彼の故郷に到着したエリックは、蒸気機関車に乗った山高帽の男を幻視し…。早熟の天才が放つ傑作ミステリ。
エリックは好奇心から口にしたプルート水の壜が、なぜかどんどん冷えていくことに気づく。さらに水は、ヴァイオリンを弾く少年の幻覚を見せる。様々な幻覚に襲われ始めたエリックは、キャンベルが生きていれば116歳になるはずで、殺しも辞さない悪党だったことを知る。では93歳のキャンベルは何者なのか。ここでいったい何があったのか。期待の新鋭が放つ、鮮やかな一大巨編。
出色の脚本を得て名プロデューサー復活の狼煙を上げるはずが、誤算続きのピーター・ダルース。忌まわしい噂のある劇場をあてがわれ、難点だらけの俳優陣を鼓舞してリハーサルを始めたが、無類漢の乱入に振り回されたあげく死者まで出る仕儀と相成った。真相究明か興行中止の憂き目に遭うか、初日は目前に迫っている!謎解きとサスペンスの興趣に満ちた、パズルシリーズ第二作。
アスラウグは母とふたりで暮らしていた。野草を食べ、薬草を煎じる毎日。母が今日欲しがっているのは、毒のあるマッドアップル…。2007年、アスラウグにかけられているのは殺人未遂と第一級謀殺の容疑。ほんとうに彼女は母親とおばといとこを殺したのか?証言のたびに、浮かび上がる万華鏡のような事件の様相。真実は?全米図書館協会ベストブックに選ばれた、気鋭の処女作。
1973年、宗教弾圧と鎖国政策下の無神国家アルバニアで、正体不明の人物が勾留された。男は苛烈な拷問に屈することなく、驚くべき能力で官憲を出し抜き行方を晦ました。翌年、聖地エルサレムの医師メイヨーと警官メラルの周辺で、不審な事件や“奇跡”が続けて起きる。謎が謎を呼び事態が錯綜する中で浮かび上がる異形の真相とは。『エクソシスト』の鬼才による入魂の傑作ミステリ。
19歳と14歳の少女がタクシー運転手を襲う事件が発生。逮捕された少女たちは金ほしさの犯行だと自供、反省の色はない。あまりにふてぶてしい二人の態度。尋問の席で母親を殴った少女に腹をたてたヴァランダーは思わず彼女に平手打ちを食らわせてしまう。ところがその瞬間の写真を新聞に掲載されてしまったのだ。孤立感に苛まれるヴァランダー。北欧ミステリの巨匠の傑作シリーズ。