ジャンル : ミステリー・サスペンス
表紙に惹かれて手にした『ななつのこ』にぞっこん惚れ込んだ駒子は、ファンレターを書こうと思い立つ。わが町のトピック「スイカジュース事件」をそこはかとなく綴ったところ、意外にも作家本人から返事が。しかも、例の事件に客観的な光を当て、ものの見事に実像を浮かび上がらせる内容だったー。こうして始まった手紙の往復が、駒子の賑わしい毎日に新たな彩りを添えていく。第3回鮎川哲也賞受賞作。
パラダイン男爵家を脅かす怪現象の数々-ポルターガイスト、うろつく尼僧の亡霊、外から鍵をかけた部屋で夜ごとひとりでに曲を奏でるハープ。さらに悪いことに、客人が幽霊に襲われた!騒動を鎮めるため駆けつけた心霊探偵ヒーロー氏の活躍やいかに?『スノーグース』などで知られる心やさしきストーリーテラー、ギャリコ唯一の長編本格ミステリ、本邦初訳。
夜の張りこみのさなか、ライアンとグレゴリーは、棺を運ぶ葬列さながら、三つの人影がドラム缶を川に沈める光景に遭遇した。夜が明け水底を探ったが、見つかったのは古びたゴミバケツだけ。ところがその中から、失踪していた悪徳警官の白骨死体が転がりだす。ニューヨーク市警組織犯罪部の対照的なふたりの刑事が、湾岸地区に埋もれた犯罪を追う。哀歓のにじむ警察小説第一弾。
「これは殺人じゃないわ。処刑よ」リディアは宣言した。姉を自殺に追い込んだ憎き恐喝者が、いま残された家族の前で息絶えたのだ。彼らは死体を処分しようと画策するが、事件は早々に警察に知られてしまう。一方、通報を受けたニューヨーク市警のヴァルクール警部補は着実に彼らの跡を追う。だが、事件は意外な相貌を見せ始めるのだった。知られざる名手のサスペンス溢れる大表作。
奇術師フーディーニは、ある貴族の屋敷を訪れた。知友のコナン・ドイル卿も招かれ、降霊会が催されるからだ。実は敵から身を隠すためでもある。護衛はピンカートン社の探偵だ。と、たちまち幽霊騒ぎが、謎の狙撃が、ついには密室での怪死が…相次ぐ事件にロンドンより敏腕警部が到着。これで役者はそろった。真真相を巡り、推理合戦の火蓋が切って落とされる。だが、フーディーニを狙う人物はすぐそこに。かくも愉しき『探偵小説』。
科学者ジョー・コリガンは見知らぬ病院で目を覚ました。彼は現実に限りなく近いヴァーチャル・リアリティの開発に従事していたが、テストとして自ら神経接合した後の記憶は失われている。開発計画は失敗し、放棄されたらしい…。だが、ある女が現れて言う。二人ともまだ、シミュレーション内に取り残されているのだ、と。あまりにリアルな仮想現実から、脱出する方法はあるのか?
吹雪に閉ざされた屋敷では、折しも遺産争いの真っ最中。遺言も風変わりなら、集まった一族もこれまたちょっとおかしな人ばかり。この大騒動のとどめとばかりに弁護士が殺された。サンディたちはお酒や睡魔や恋の病に悩まされながらも、犯人を追って徹夜で奮闘するのだが、その周囲では事件もお構いなしの騒ぎが続くのだった!好評『ハネムーンの死体』に続く、笑うしかない第二弾。
邸の氷室は十八世紀に小丘を模して造られた。冷蔵庫の出現にともない保冷庫としての役目を終えていたそこで、不意に死骸が発見される。胴体は何ものかに食い荒らされた、無惨な死骸。はたしてこれは何者か?…ここにはすべてがある。悲嘆も歓喜も、幻滅も信義も。これはまさに人生そのもの、そしてミステリそのもの。ミステリ界に新女王の誕生を告げる、斬新なデビュー長編!CWA最優秀新人賞受賞作。
シャワーカーテンの隙間からのぞく仮面のような顔。ぎらつく二つの目。メアリは悲鳴をあげはじめた。が、その声は切り裂かれた…肉切り包丁の一閃で!雨の夜、片田舎のさびれたモーテルでなにが起きたのか?大金を拐帯し失踪した婚約者を探すサムが見いだした、恐るべき真実とは?ヒッチコックの映画であまりにも有名なサイコスリラーの原点、今ここに復活!新訳決定版。
不慮の事故で命を落としたクリスがたどり着いたのは、「常夏の国」と呼ばれる楽園だった。だが、まもなく信じがたい知らせが届く。最愛の妻アンが、彼を亡くした悲しみに耐えきれず自殺してしまったというのだ。クリスは旅立つーアンを救うため、想像を絶する苦難が待つ地獄へと!愛のみが成し遂げうる魂の救済を描き、『ある日どこかで』と並び称されるファンタジイの傑作。
「メアリー・バーゲンか…」透視能力者メアリーに追いつめられ、警察に射殺された殺人犯は、なぜ最期に彼女の名を呼んだのか?それは新たな大量殺人の前兆だった。その夜から襲いかかる、凄惨な幻想とポルターガイスト。そして、事件は彼女自身の忌まわしい過去さえもよみがえらせる!ベストセラー作家の原点となった傑作ホラー。
好きなように犯罪を犯したあげく、まんまと法網をくぐって罰せられずにいられるものなら、こんなすてきなことはないだろう。完全犯罪ーそれはプロ、アマを問わず、すべての犯罪者の夢である。本書はこうした完全犯罪を達成した悪党たちを、殺人者、泥棒、詐欺師、悪徳弁護士、各種悪党の五つの展示場に分類して、その巧妙な手口を披露する、まことにユニークなアンソロジー。いわゆる名探偵に食傷した読者なら、この悪党本位の名作選を編集したエラリー・クイーンの着想の妙に盛大な拍手を送るだろう。
洋の東西を問わず、来し方行く末かわりなく、素人玄人の垣を越えて、ありとあらゆる犯罪者の飽くなきテーマである“完全犯罪”。この言葉の蠱惑的に甘美な響き…本書においては、もはや見果てぬ夢ではない。アンソロジスト自ら「ぺてん師エラリー・クイーン」をもって永遠の主題を追究する。善人なをもて往生をとぐ、いはんや悪人をやー偉大なる犯罪者と彼らの創造者に乾杯。
その朝、マリウスと署名された慇懃無礼きわまる投書がロンドンの主な新聞社と警視庁に届いた。興味本位に受け止められ、あるいは持て余された文書は、結果的に五紙が掲載、英国全土に話題を撒いた。第二第三の手紙で日時と場所を指定し、正面きって「完全殺人」を予告するマリウス。やがて文字通りの事件が…。傲岸不遜な犯人の、金城鉄壁・森厳壁塁の勝算を突き崩す方途は。
花の都パリは、また犯罪の都でもある。そこでは殺人、強盗、詐欺、放火等、あらゆる犯罪が渦巻いている。これは探偵趣味の持主ルボルニュ青年が、貧弱な新聞記事を手がかりに十三の犯罪の謎をいとも鮮かに解明してみせる連続短編集。いわゆる純粋推理だけで事件を解決する安楽椅子探偵の好例で、シムノンの作品中でも特に高く評価される傑作集である。メグレものの長編『第1号水門』を併載。
エドガー・アラン・ポオ終焉の地、米国ボルティモアの郊外で日系人兄妹の住む館が爆破され、沼中に潰えた。テレビ局にかかった予告電話の通り「アッシャー家の崩壊」さながらに始まった事件は、ほどなく「ベレニス」、「黒猫」の見立てに発展、捜査は混迷を呈していく…。オーギュスト・デュパン直系の名探偵がクイーンばりの論理で謎を解く、オールタイムベスト級本格ミステリ。