ジャンル : ミステリー・サスペンス
中共軍の攻撃が噂される東シナ海のサンツ島には、数家族のイギリス人が住んでいた。彼らを保護救出するため、英国中国派遣艦隊司令官は、老朽砲鑑ワグテイル号と新任艦長ロルフ少佐にこの重要任務を委ねた。使命を帯びて海原をかき進むワグテイル号、その行く手に待ち受けているものは?海軍士官出身の著者が感動的に描き上げる海と男の物語。
わたしを合衆国大統領にしてくれーそれが、有能なメディア・コンサルタント、ブルームへの依頼の内容だった。報酬は100万ドル。不安を抱きながらも、ブルームは、CMを初めとする一大メディア戦略を開始したのだが。もと州知事とその宣伝参謀が比類なき正確さで描破した、仮想・合衆国大統領選挙戦の顛末。迫真のポリティカル・ノヴェル。
筋骨逞しいローマ帝国軍団兵士カスカ。十字架上のイエスに槍を突き上げた彼は,罰として死ぬことのできない身体にされてしまう。しかも、つねに戦いつづける存在として…。平安を願いながらも、奴隷、剣闘士、傭兵と、さまざまに身分は変わり、苦しみに満ちた永遠の生を送らなければならないのだ!虚無を見つめ、歴史をめぐる戦士を描いた異色作。
季節は冬。キャットマンの脅威は去ったが、アンドリューとカリスタの新しい生活は、けして容易なものではなかった。地球人とコミンのあいだの壁のみならず、彼女の深層心理に刻みこまれた〈監視者〉ゆえの壁があったのだ…さらに、アンドリューに敵意を抱く、オルトン家の私生児ディージの存在。ヒューゴー賞候補となった、『カリスタの石』続編。
アリリンの権威者レオニーに、〈塔〉の掟に律された〈監視者〉の悲劇を訴えるデーモン・ライドナウ。が、あくまでも頑なな彼女は、彼ら4人が〈上界〉につくりあげた〈禁断の塔〉を〈監視者〉の掟に背くものと断じる…。〈監視者〉に、ありうべき姿を取り戻さんと抵抗するデーモン。未来をもたらすのは、果たしてアリリンか、〈禁断の塔〉か。
第二次大戦中、イギリスで一人のドイツ人スパイが逮捕された。戦争が終わって十数年後、男は名を変え、西ドイツ政府の高官になっていた。そして、突如、東ドイツに亡命し、内務省次官に昇進する。イギリスに忠誠を誓った彼の過去、それは絶対に暴かれるおそれがなかった。が、1本の電話が彼を奈落の底へ…。エスピオナージュの名手が放つ会心作。
アイガー北壁で氷漬けのナチ軍人の死体が発見された。謎の遺体に関心を抱いたBBC局員が意外な事実を探り出す。第2次大戦末期、原子爆弾の開発をめぐってナチ・ドイツが精鋭クライマーを集めて打った奇策。追いつめられた彼らが魔の北壁で繰り広げた壮絶な死闘。J.ヒギンズをして「比類なき傑作」と言わしめた、超一級の山岳冒険小説登場!
砲声とどろく南北戦争の戦場、そこでは一兵卒から将軍にいたるまで、いつ襲ってくるとも知れない死と向かい合っていた。そして平生の市民生活を送っているときでも、人々は死神にもてあそばれているのだ。人生の辛辣な観察者であったアンブローズ・ビアスが、類まれな技巧をもって描き上げた、生と死の悲喜劇26編を完全収録した、傑作短編集の決定版。
本巻には、鬼才小栗虫太郎の創造した名探偵法水麟太郎ものの代表作、「後光殺人事件」「聖アレキセイ寺院の惨劇」「オフェリヤ殺し」そして無論のこと、わが国探偵小説中最大の奇書とも評される大長編『黒死館殺人事件』に、小栗探偵小説の出発点ともいうべき「完全犯罪」を加え、松野一夫画伯による初出時の挿絵を残らず収録した。
生まれ故郷「地球」を求めて大宇宙をさまよう、さすらいの渡り者アール・デュマレストは、地球座標の手掛かりを握るタマ・シュノートを捜し、ライカンの奥地へと足を踏み入れた。一方、デュマレストに復讐を誓うカロウム家の当主ミルザもまた、彼を追い、シュノートの館へ向かう…。やがてシュノートが地球座標の情報提供と引き換えにデュマレストに持ち出したのは、惑星カスケードの秘境探索への同行であった。生命の謎を秘めた、そのリザムと呼ばれる秘境からいまだかつて生還したものはいない…。
地球帝国諜報員マグダ・ローン。彼女の同僚であり、かつての夫、ピーターが調査活動中に消息を絶った。彼の身を案じるマグダのもとに、ある日、驚くべき知らせがもたらされる。ピーターは、アーデス家の長男キリルと間違われ、悪名高きヘラーズの山賊ル・マルに人質として捕えられているというのだ。マグダは、単身、冬のヘラーズに向かうが…。
やった!これでようやく宇宙に行ける!16歳の誕生日に両親からプレゼントされた小型スペースクーペを改造し、連邦基地のチェックもすり抜けて、そばかす娘コーティーはあこがれの星空へ飛びたった。だが冷凍睡眠から覚めた彼女を、意外な驚きが待っていた。頭の中に、イーアというエイリアンが住みついてしまったのだ!ふたりは意気投合して〈失われた植民地〉探険にのりだすが、この脳寄生体には恐ろしい秘密があった…。元気少女の愛と勇気と友情をえがいて読者をさわやかな感動にいざなう表題作ほか、星のきらめく大宇宙にくり広げられる壮大なドラマ全3篇を結集!
〈七領土〉の法の及ばぬ地,ドライ・タウン。血の色の夕陽を背に、野営する一団の姿があった。彼女らーフリー・アマゾンがアーデス家のロアーナから受けた密命とは、13年前この地の暴君ジャラクに連れ去られた従姉妹メローラを救出することだった…。はたして襲撃は成功するか。運命の子、メローラの娘ジュエルは、このときまだ12歳である…。
スターヴェル屋敷が焼失し、主人と召使夫妻の焼死体が焼け跡から発見され、金庫の中の紙幣が大量に灰になるという事件が起こった。微かな疑問がもとで、スコットランドヤードからフレンチ警部が乗り出すことになった。だが、フレンチの懸命な捜査を嘲笑うように、事件は予想外の展開を見せるのだった。クロフツ初期の傑作として名高い作品の完訳。
私は貿易会社の美しい同僚木崎初代との恋に燃えあがっていた。ところが初代が殺され、素人探偵の友人も同一犯人の手にかかったことから私は復讐を誓った。私に好意を寄せる医学生の諸戸道雄は、初代が大切にしていた家系図を見ると、気味悪そうに自分の出生を語った。そして郷里の島へ2人は旅立つたー。
男たちの喝采の中で、黒ずくめの衣裳を取り去り、輝くばかりに美しい肉体を見せた暗黒街の女王。左腕の黒蜥蜴を蠢せながら、婉然と笑う美貌の女こそ、稀代の宝石泥棒「黒トカゲ」である。女賊の魔手から、宝石商令嬢を守ろうとする探偵明智小五郎。2人の闘いは、いつしか微妙な恋の香りを放ち始める。
男はいつも、フォード・ゼファーに乗って現れた。夫の留守中、いそいそとその男を迎え入れるルイーズのことを思うと、隣りに住むスーザンの心は痛んだ。夫に愛人ができた結果、捨てられた過去をもつ彼女としては、かつての苦い経験が思い出されてならないのだ。そんな心の振幅が、やがて自らを、渦巻く詭計の中へ導こうとは夢にも思わずに…!
入ることも出ることも不可能な鉄壁の密室。その中で殺された著名な建築家。その脇に凶器を手にしてたたずんでいた青年ー彼以外にその犯行をなしえた人物はいないはずだった。だが、本人は無実を主張する。この困難な弁護を引き受けたハンスリックは、友人のゴールドにパズルの解明を依頼する。ニュータイプの名探偵が登場する期待の本格推理!