ジャンル : SF・ホラー
西暦2109年、火星のアマチュア天文家が太陽に接近しつつある未知の小惑星を発見した。惑星間天文学連合による追加観測の結果、おそるべき事実が判明する。この天体は約240日後に地球と衝突するというのだ。そうなれば爆発の被害はもとより、粉塵による太陽光の遮断と硝酸雨のために、地球は今後数十年間、居住不可能な死の星と化してしまう。小惑星は死と破壊の女神にちなんでカーリーと名づけられた。この危機に際して地球は、最新鋭のマスドライバーを搭載した宇宙船「ゴライアス」に特殊任務を命じ、カーリーへ派遣する。カーリーにマスドライバーを設置してその駆動力で軌道を変え、地球衝突を回避しようというのだ。だが、その計画がいよいよ実行に移されたとき、次々に思いもかけぬ障害が…。宇宙から飛来する鉄槌の一撃をいかにして防ぐことができるのか。現実に起こりうる災厄を、該博な科学知識と迫真のストーリーテリングを駆使して描きあげる、ファン待望のクラーク最新長篇。
第一銀河帝国の崩壊を予見した科学者セルダンは、自ら発展させた心理歴史学を実用的な学問として完成させるために、帝国の首都惑星トランターに留まる決意をした。だが、その行く手には数々の難問が待ち受けていた。セルダンの友人で、心理歴史学研究を蔭ながら保護する首相エトー・デマーゼルを失脚させようとする企み…凡庸だが平和主義者で、セルダンに好意的な皇帝クレオン一世の暗殺計画…いずれも、ひとつ間違えば帝国衰亡の速度を大幅に加速する事態になりかねず、セルダンは全力で問題に対処してゆく。だが皮肉にも、人民にとって不吉な予言を伝達するセルダン自身がトランター住民の怒りを買い、執拗な攻撃を受けることになってしまった。
連邦が戦乱に揺れるなか、惑星ハイペリオンでは「時間の墓標」が開き全ての謎が解明される時が近づいていた-人気作家シモンズが雄渾の筆致で描く傑作SF叙事詩ハイペリオン二部作の完結篇。1991年度ローカス賞受賞作。
謎の知性体によって建造された巨大宇宙船ラーマ3が、火星軌道上で2000人の人類を収容するやただちに太陽系を離れ、恒星タウ・セティめざして旅立ってからすでに3年の歳月がながれていた。このあいだに、ニュー・エデンと呼ばれるようになったラーマ内部の人類コロニーでは、独裁者ナカムラが権力を掌握しすべての反対派を容赦なく弾圧した。ラーマ2探査隊の時からのメンバーであったニコルは反逆罪で投獄され、一方彼女の夫リチャードはニュー・エデンを脱出、やがて隣りあった封鎖居住区に住む共生異星種族と接触し、その助けをかりてニューヨークへと逃れた。ニコルの処刑の日が刻々と近づくなか、リチャードは2体の小ロボットをニュー・エデンに潜入させ、必死のニコル救出作戦を開始したが…。
無事にニュー・エデン脱出に成功したニコルとリチャードは、つぎに友人たちと子供たちの救出を計画し、見事成功させた。だが、独裁者ナカムラは追及の手をやすめず、ついにニューヨークにまで捜索隊を派遣してきた。からくもニューヨークを離れることができたニコルたち一行は、やがて、これまで敵対的と考えられてきた異星種族クモダコの驚異の都市-エメラルドの都に迎え入れられた。驚嘆すべき生物工学を発展させてきたクモダコたち…だが、ナカムラに率いられた人類戦闘部隊は、シリンダー海をこえてクモダコの領土に侵入、エメラルドの都へと近づきつつあった。
28世紀、人類は二百にのぼる惑星を転移網で結び連邦を形成していた。その辺境に位置する惑星ハイペリオンで、人びとの畏怖と信仰を集める遺跡〈時間の墓標〉と怪物シュライク。この謎を解明すべく、迫りくる宇宙の蛮族アウスターの脅威のもと、最後の巡礼七人が惑星を訪れた。その途上で語られる、それぞれが背負う数奇な宿命とは…。1990年度ヒューゴー賞・ローカス賞受賞作。
太平洋戦争末期、阪神間大空襲で焼け出された少年が、世話になったお屋敷で見た恐怖の真相とは…。名作中の名作「くだんのはは」をはじめ、日本恐怖小説界に今なお絶大なる影響を与えつづけているホラー短編の金字塔。
同日の同時刻に苦悶と驚愕の表情を残して死亡した四人の少年少女。雑誌記者の浅川は姪の死に不審を抱き調査を始めた。-そしていま、浅川は一本のビデオテープを手にしている。少年たちは、これを見た一週間後に死亡している。浅川は、震える手でビデオをデッキに送り込む。期待と恐怖に顔を歪めながら。画面に光が入る。静かにビデオが始まった…。恐怖とともに、未知なる世界へと導くホラー小説の金字塔。
2130年に太陽系外から忽然と現われた謎の飛行物体。ラーマと名づけられたこの物体は、長さ50キロ、直径20キロの巨大な宇宙船と判明した。だが、人類が初めて遭遇した異星の構築物は、その目的もわからぬうちに太陽系を去っていってしまった。そして70年後、第二のラーマが太陽系に現われた。ラーマとそれを建造した異星人の正体を探りだすべく派遣された調査隊は、謎を解明できぬまま地球に帰還した。だが、宇宙のいずこかをめざして飛びつづける第二のラーマ内部には、調査隊員三人が取り残されていたのだ。さまざまな辛苦を重ねて生き延びていたニコル、リチャード、マイケルが、旅路の果てに見た驚くべきものとは。
遥かなる未来、地球は砂漠に覆われ、以前は隆盛をきわめていた世界各地の都市も無人の廃墟と化している。かつては宇宙を自由にかけめぐり、華麗なる文明を築いていた人類もいまは見る影もなかった。ただひとつダイアスパーだけが最後の都市として、ほそぼそと生き延びていた。永遠の生命をもっているダイアスパーの住人は、すべての労働を機械にゆだね、安楽で満ち足りた日々をすごしている。だが、ダイアスパーで七千年ぶりに生まれた子供アルヴィンは、変化のない生活に飽きたらず、外の世界を探険しようと都市の境界をめざしていくが…。巨匠クラークの名作『銀河帝国の崩壊』を第1部とし、クラークの描いた壮大な世界を、ハードSFの第一人者ベンフォードがあらたに展開した傑作未来叙事詩。
西暦2130年に、忽然と太陽系に現われた謎の飛行物体。ラーマと名づけられたこの物体は金属製で、長さ50キロ、直径40キロ、自転周期4分の巨大な円筒型の宇宙船ということが判明した。しかし、異星人の構築物は人類の理解をはるかに超え、正体の解明に至らぬままラーマは太陽系を去っていった。そして70年後の2200年、第二のラーマが太陽系に姿を現わした。SF史上に燦然と輝くアーサー・C・クラークの名作『宇宙のランデヴー』で解明されぬまま残された謎に、地球人類がふたたび挑戦する、ファン待望の続篇。
2220年、人類は太陽系の各惑星の衛星軌道上に巨大な人工衛星をいくつも築いていた。それぞれが衛星都市と呼ばれ、独立した国家として繁栄している。しかし人口はますます増加してゆき、つぎつぎと作られる衛星都市で、太陽系は過密の一途をたどっていた。そこで衛星都市ローターは、新たな故郷を求めて太陽系を離脱した。それから十数年の歳月が流れた…ローターに住む天文学者の娘、十五歳の少女マルレイネはふとしたことから、たいへんな事実を知った。ローターが新たなる故郷とした恒星ネメシスが、地球をめざして突き進んでいるというのだ。このままでいけば、たとえ衝突しなくても、ネメシス通過の影響で地球の気象は大きく変化する。人類発祥の星である地球が、死の世界になることはまちがいない。だが、マルレイネをさらに驚くべき事件が待ちうけていた…。巨匠アイザック・アシモフが、新たなる構想のもとに、宇宙へと進出しはじめた人類の姿をいきいきと描きだす傑作長篇。
銀河帝国の首都惑星トランターへ、惑星ヘリコンから一人の男がやってきた。男の名はハリ・セルダン。トランターでの数学の学会に出席するためだった。セルダンはその研究発表のなかで、数学理論の応用により人類社会の未来を予知できる可能性を示した。無事に発表を終えたセルダンだったが、故郷への帰途につこうとする彼のもとに突然、帝国皇帝クレオン一世からの召喚の知らせが届いた。セルダンが心理歴史学と呼ぶこの理論の存在を知った皇帝は、これをうまく利用すれば、帝国に長く平和をもたらすことができると考えたのだ。だがもし帝国の転覆をはかる反対勢力に先に利用されれば、逆に帝国は崩壊の危機をむかえることになる。それを見越して皇帝は先手を打ち、セルダンを呼びよせたのだが…。伝説の天才数学者ハリ・セルダンを主人公に、心理歴史学の完成とファウンデーション創設にいたる人類の苦闘を鮮烈にえがく、ファン待望のシリーズ最新刊。
はるかな過去に起こった熱核戦争で地球を離れた人類は、銀河系にある極寒の惑星〈氷瀑〉に〈虚無〉と呼ばれる都市を建設し、三千年の長きにわたって平和を謳歌していた。だがいま、〈氷瀑〉に恐るべき事態が迫りつつあった。近隣宇宙空間で恒星が次々と超新星化していくという謎の現象が起こったのだ。人類が生きのびる方法は、ただひとつ。神々の末裔といわれる太古の種族イエルドラ人が残した、古エッダと呼ばれる秘密を解明することだった。古エッダには宇宙と生命のあらゆる謎の答が示されているという。〈虚無〉の社会的指導者である時間守護者の指令のもと、パイロットたちは過酷な調査行へおもむくが…。
時間守護者による古エッダ調査計画に.一人の新人パイロットが志願した。彼の名はロマリー・リンゲス。時間守護者の承認を得たリンゲスは.最初の目標.ソリッド・ステート・エンティティに向かう。イエルドラ人の秘密に到達するには.この位相空間に住む謎の巨大バイオ=コンピューターの知識が必要なのだ。空間に窓をあけ.幾何学的計算によって目的地への道筋を定める超空間航法を駆使してリンゲスはエンティティのいる空間に到達する。だが.そこでエンティティは.古エッダを解く鍵は人類最古のDNAにあるという.驚くべき真実を告げた。リンゲスは新たな探索行へと旅立つが…。
目覚めると、ベッドのなかには見知らぬ男の死体。おまけに、わたしは全裸。自分がどこに、いつの時代にいるのかさっぱりわからない。いったい、何が起こったのだろう…。わたしの名前はモーリン・ジョンソン・ロング。長命族の指導者ラザルス・ロングの母にして、その共同妻。植民星テラス・ターシャスに、時空間移動可能の航宙機〈ゲイ・デシーバー〉に乗ってやってきてからというもの自分の子孫にかこまれて優雅な生活を送っていた。なのに、昨夜からの記憶がまるでない。わたしは必死になって記憶をたどるのだが…。本書はラザルス・ロングの母モーリンを主人公に、〈未来史〉シリーズにふくまれるすべての作品が見事に結び合わされる、巨匠ハインライン、最後の作品である。
『いさましいちびのトースター』ですっかりおなじみ、ぴかぴかボデイのトースターと愛すべき仲間たちが今度はなんと火星に行きます。火星の電気器具国家の野望をくじくため、よりパワーアップした活躍を見せてくれるトースターにご声援を。宇宙に旅立ったトースターの大冒険心のあたたまるSFメルヘン第2弾。
アメリカ海軍の最新鋭ミサイルがテスト中にフロリダ沖で行方不明になったらしい。マイアミ・ヘラルド紙の女性記者キャロル・ドースンは特ダネをスクープするため、証拠を得るべくフロリダで行動を開始する。船をチャーターしたキャロルは見当をつけた場所に船のクルーとともに潜り海底を探すが、そこで見つけたものは沈没船の財宝の一部と思われる金色に輝く不思議な形をした物体だった。だが、彼女たちが持ち帰った物体は沈没船の財宝でもなければ、金でさえもなかった。はたして金色の物体の正体とは?そしてカモフラージュされた珊瑚礁に隠された秘密とは?巨匠クラークがNASAのエンジニアであるジェントリー・リーと組み、今までとは違う新たな境地を拓いた最新長篇。