ジャンル : ノンフィクション > 文庫(ノンフィクション)
童貞大学生の山尾勇二は、道で不良にからまれていた美熟女医の小野由紀子を助けようとするが、逆にやられてしまう。怪我を心配した由紀子は、実家が営む医院に彼を連れていく。検診後、由紀子は家に代々伝わる秘薬を試してみないかと持ち掛ける。その薬は男性の体力・精力を異常に向上させるという。そして、勇二が秘薬を呑むと、「検査するわ」と由紀子が誘惑してきて、初体験ながら見事、美熟女を絶頂に導くのだった。自らの変化を感じとった勇二は、他の女たちにも秘薬パワーを試そうとする…!傑作奇想エロス。書き下ろし。
亡き夫の跡を継ぎ、浄見寺で寺子屋の師匠をしている桃。ある日、すでに大人でありながら、学問を学び直したいという春が訪ねてくる。最初は戸惑う桃だったが、春の隠れた才に次第に魅せられていく。一方、寺子屋で一番優秀な生意気娘の鈴は、春のことが面白くないようで。第11回小説現代長編新人賞受賞作。
南町奉行所同心・川瀬若菜は、江戸の闇を二分する泥棒寄合・川衆の棟梁という別の顔を持つ。天敵陸衆の一角を崩したのも束の間、次々と現れる殺し屋たち。若菜が記憶を失った十余年前の事件の一部始終を知るどくろ大名こと土黯長門守も参戦する。川衆とは、陸衆とは何者なのか?江戸の魔が今放たれる!
多くの別荘地を抱え、避暑地として名高いK町が記録的な大雪に見舞われた。町民や観光客、仕事のため車で訪れた人々も動きがとれない。除雪作業も追いつかず、災害救助法が適用され、自衛隊の派遣を要請する事態に。想定外の変化が引き起こした出会い、別れなどを描いた六つの物語。吉川英治文学賞受賞作。
関ヶ原の戦から十年後、三成の娘・辰姫が津軽家に嫁ぐ。藩主の信枚と睦まじい日々を送るも、その三年後に家康の養女・満天姫が正室として当主のもとへ。辰姫は上野国大舘へ移るが、のちの藩主となる長男を産むーふたりの姫による戦国時代の名残のような戦さを描く表題作ほか、乱世の終焉を描く短編も収録。
女を騙す悪党「色悪」。囮捜査で沙耶が犯人たちを捕らえたものの、黒幕まではいきつけなかった。その後、色悪になる方法を教える「色悪講」なるものまでできる始末。奉行の命令で月也は商家のボンボンに扮し、その色悪講に入ることになるが、なぜか妻の沙耶を真剣に口説きだして…。好評書下ろし時代小説。
将軍綱吉との謁見後も江戸に留まる、百万石の宿老・本多政長の動向を探る者たちがうごめき出す。政長に随伴した数馬は、本多家と吉原の累代からの関わりに驚嘆する。宿老不在の加賀でも、あらたな難題が。急遽たずねてきた越前松平家の重鎮が、予想をはるかに超える要求をつきつけてきた!文庫書下ろし。
裁判員裁判で死刑評決を受けた、犯行当時十九歳の死刑囚に死刑が執行される。綾川冤罪裁判を闘った弁護士・松岡千紗が量刑不服として再審請求する矢先だった。直後、死刑を支持した元裁判員が容疑者となる新たな殺人事件が勃発、千紗は敢然と法廷に立つ。人が人を裁く難しさを問う、『完全無罪』に続くシリーズ第2作。文庫書下ろし。
筧の部屋に入り浸り、猫のししゃもとネトゲにハマる日々の伊月。ミチルと都筑教授の親心から兵庫県監察医龍村のもとで武者修行することに。龍村の解剖マシンのような仕事ぶりに悪戦苦闘圧倒されっぱなしだが、ある赤ん坊の遺体に微かな痣の痕跡を見つけると、一転、目を見張る変貌を遂げ真相に迫っていく。
廣瀬知剛は、政治家も利用する大病院で働く警視庁公安OB。モンスターペイシェント、院内暴力、セクハラ、果ては暴力団関係者の対応まで、あらゆるトラブルの処理に追われている。ある日、脳梗塞で倒れた財務大臣が運ばれてきた。どうやら何者かに一服盛られたらしいー“院内刑事”の秘密捜査が始まる!
大仕事を片付けるも出向の憂き目にあう半沢直樹。子会社・東京セントラル証券での初仕事は、大きな収益が見込まれるIT企業の買収案件のはずも、それを小狡く横取りに来たのは、まさかの親会社・東京中央銀行だった。世の中以上に、会社をアテにできないピンチ連続の半沢、若い部下らと奴らに何倍返しできるのか?
腐った大航空会社が抱える七百億円の借金を、銀行は帳消しにせよ。政府主導の再建チームによる無茶な御達しを、受けて立つのは半沢直樹。拒絶するのが道理と思いきや、銀行上層部は生返事。かくして四方八方と全面対決に。図らずも掘り起こしてしまった行内のアンタッチャブルが、ある波乱の引き金になるとも知らず!
53歳の今も独身を貫く、偏屈×独善的×皮肉屋の建築士、桑野信介。まどか、有希江、早紀のこじらせ女性3人組は、そんな桑野の言動に振り回され、手を焼く日々。しかし、世間体にとらわれず、常にわが道を行く桑野が時に発する、まっすぐで胸に刺さる言動に触れるうち、それぞれの心情に微妙な変化が起きはじめる。ただの偏屈な人だと思っていたのに、なんとも言えないこの感情は果たして…!?前作から13年を経て、偏屈さにいっそう磨きがかかった独身男・桑野が選ぶ未来とは?ドラマノベライズ完結編。
一九三八年十月ー。外務書記生・棚倉慎はポーランドの日本大使館に着任。ナチス・ドイツが周辺国へ侵攻の姿勢を見せ、緊張が高まる中、慎はかつて日本を経由し祖国へ帰ったポーランド孤児たちが作った極東青年会と協力、戦争回避に向け奔走する。だが、戦争は勃発、幼き日のポーランド人との思い出を胸に抱く慎は、とある決意を固め…。著者渾身の大作、待望の文庫化!
警察官僚入江の娘が誘拐された。鳴海署の佐脇は歴代の部下を呼集し、極秘捜査に当たる。同じ頃、管内で猥褻行為に及んだ男が“上級国民”と判明。署は逮捕せず、男を監視下に置いた。「鳴海署を、ぶっ壊す!」警察の腐敗を弾劾する声が上がり、民衆が鳴海署を取り囲む。そして入江の秘書が不審死を遂げ…。警察庁幹部まで上り詰めた入江と万年巡査長佐脇、因縁の結末は!?
唐木市兵衛に返り討ちにされた刺客の一族が、復讐を誓い市兵衛の身辺探索を始めた。一方、大坂に情が移り江戸への出立を渋る小春を、亡姉の親友お茂が訪ねてきた。幼馴染みが辻斬りに遭い、生死の境をさ迷っているという。犯人捜しを始めた市兵衛だったが、己れの居場所を刺客に突き止められてしまう。良一郎らを先に発たせた市兵衛は、自ら死の罠に飛び込み…。
時は天保。新南町奉行・鳥居耀蔵により閑職に追いやられた元定町廻りの腕利き同心・仙波直次郎は、妻の薬料にも事欠き、日々を無為に過ごしていた。金で人の怨みを晴らすという『闇の殺し人』のひとり、軽業一座出身の小夜に誘われ仲間となった直次郎は、元締め“無用之人”寺門静軒や繩鏃遣いの万蔵らと、江戸に跋扈する腐った悪を、心抜流居合術で一刀両断する。
鳥居耀蔵の策謀によって、桑名藩に永預けとなった元南町奉行矢部定謙は、抗議の断食で死んだーはずだった。遺体として運ばれた寺で奇跡的に息を吹き返すも、墓だけでなく祠まで建てられ、神として祀られた定謙には、出家して別人として生きるしか道はない。修行の道中、悪政に苦しむ民の姿を見てしまった定謙は、「幽霊」として民を救おうと決意するが…。
亡き夫との思い出の地、ニューヨークに降り立ったマーサ。白タクに乗った田舎者の老女に運転手は高値を吹っかけようとする/「ホワイト・キャブ」。古書店店主のアンソニーは、地上げで閉店するグリーンマーケットの店主のためにあることを計画。奇跡のような一夜が待っていた/「ピクルス」。拾ったカモを公園の池に戻すため、少年たちが知恵を絞って小さな冒険に出発する/「C・P・D」。著者が馴染み深いニューヨークの街を舞台にした、円熟の筆冴え渡る六編。