呉越春秋 湖底の城 第八巻
越は呉を奇襲するべく密かに大量の造船を行い、林野に運ばせていた。これをとある者から聞いた伍子胥は策を練る。その頃、何かがおかしいと感じていた范蠡は句践に伝えるも、句践は秘策を実行する。だが、すでに作戦を把握していた呉の攻撃により越軍は敗退。ついに伍子胥が率いる兵たちに句践は追い詰められるが、何とかかわし会稽山へ逃げ込む。句践は降伏も亡命もありえず、ここで戦い抜くと、ともに山に籠もった兵を前に宣言するが、大夫種の必死の献策をうけ、呉との講和を進めることをやむなく了承、囚われの身となってしまう。范蠡らはいつか句践が解放されることを信じ、その時まで越国を守り抜くことを誓う。
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