小説むすび | タラント氏の事件簿[完全版]

タラント氏の事件簿[完全版]

タラント氏の事件簿[完全版]

博物館から消えた古書、ペントハウスの密室殺人、古の詩どおりに現われては消える竪琴……いずれ劣らぬ怪事件に理知の光を当て真相をあばくのは、日本人執事を従えた謎の紳士タラント氏である。巨匠クイーンが「黄金時代におけるもっとも想像力に富んだ短編集」と評した傑作短編集に、未収録作品4編を追加。不可能趣味に満ちたシリーズ全作品を網羅した文庫決定版!

関連小説

目眩まし[新装版]目眩まし[新装版]

禍々しく、ミステリアスに  1800年、アンリ・ベール(ことスタンダール)はナポレオン戦争に従軍し、後年このときの記憶を書きとどめた。第一次世界大戦が間近い、不穏の気配ただよう1913年には、ウィーンからヴェローナ、リーヴァに向かったドクター・K(ことカフカ)が日記をのこした。1980年、カフカの足跡を追って同じ旅をした語り手の〈私〉は、死と暴力の予感におののいてヴェローナから逃げ帰った。その7年後、当時の記憶を書き記そうとかつての道をたどり直し、最後に自分が捨てた故郷に立ち寄った。  〈私〉の旅、カフカの旅、スタンダールの旅ー時を超えて重なり合う旅のどこにも、永遠の漂泊者「狩人グラフス」が影を落とす。さまざまなものや人が響き合い、時間と場所を越えて併存する。本書はゼーバルト初の散文作品であり、「ベール あるいは愛の面妖なことども」「異郷へ」「ドクター・Kのリーヴァ湯治旅」「帰郷」の4篇を収録。  「たえず動いている乗り物のなかの想念に似て、消えては結び、やってきてもつれ合い、断続して定めがたい。つまりはもっとも現代的な散文表現というものだ」。池内紀氏による巻末の解説「言葉の織物」から引用。 2020/06/17 発売

土星の環[新装版]土星の環[新装版]

何世紀もの破壊の爪痕をめぐる  イギリス南東のサフォーク州の海岸線や内陸にひっそりとある町々をめぐる徒歩の旅。荒涼とした風景に思索がよびさまされ、過去の事跡からつぎつぎに連想の糸がたぐられていく。アフリカから戻ったコンラッドが寄港した保養地、中国皇帝が乗るはずだった列車が走行していた鉄橋……そして本書の同伴者となる17世紀の医師、トマス・ブラウンをはじめとした、魂の近親者である古今の人々との出会い。  〈私〉という旅人は、どこか別世界からやってきた人のように、破片を拾い上げ、想起によって忘れ去られた廃墟の姿を甦らせる。人間の営みを、人間によって引き起こされる破壊と惨禍を、その存在の移ろいやすさとともに見つめようとする眼。歴史を見つめるその眼差しは、そこに巻き込まれた個々の人間の生、その苦痛に注がれている。  「作中入れ替わり立ち替わり現われる奇妙なエピソードは、それぞれ独自の奇怪さを有していて、印象としては、すべてが次第にひとつに収斂していくのではなく、何もかもがいつまでも横滑りしていく感がある。」柴田元幸氏による解説「この世にとうとう慣れることができなかった人たちのための」より引用。 2020/07/17 発売

フランス組曲[新装版]フランス組曲[新装版]

世界350万部のベストセラーが新装版に  1940年初夏、ドイツ軍による首都陥落を目前に、パリの人々は大挙して南へと脱出した。その極限状態で露わとなる市井の人々の性を複線的かつ重層的に描いた第一部「六月の嵐」と、ドイツ占領下のブルゴーニュの田舎町を舞台に、留守を守る女たちと魅惑的な征服者たちの緊迫した危うい交流を描く第二部「ドルチェ」。動と静、都会と地方、対照的な枠組みの中で展開する珠玉の群像劇が、たがいに響き合い絡み合うー。  著者は1903年キエフ生まれ、ロシア革命後に一家でフランスに移住したユダヤ人。42年アウシュヴィッツで亡くなった。娘が形見として保管していたトランクには、小さな文字でびっしりと書き込まれた著者のノートが長い間眠っていた。連行の直前まで書き綴られたこの小説が60年以上の時を経て世に出るや、たちまち話題を集め、2004年にルノードー賞を受賞(創設以来初めての死後授賞)、フランスで75万部、全米で100万部、世界で350万部の売上げを記録した(2014年に映画化)。巻末に収められた約80ページに及ぶ著者のメモや書簡からは、この奇跡的な傑作のもう一つのドラマが生々しく立ち上がる。カバー写真は名匠ロベール・ドワノー。 2020/10/29 発売

アーケイディア[新装版]アーケイディア[新装版]

『ニュー・アーケイディア』(初版1590年)は、シドニーが女王への愛国的忠誠心からアランソン公との結婚に反対して女王の逆鱗にふれて宮廷から追放され、妹宅に蟄居中、不遇の憂さ晴らしに書き始められた遊びであったが、皮肉にも彼の代表作にして英国ルネッサンス・パストラルロマンスの最高峰として結実したのは幸福な歴史的逆説の一例であった。権力闘争に明け暮れる宮廷の醜い現実を熟知した廷臣詩人シドニーだからこそ、現実にはあり得ない夢の牧歌的理想郷(アーケイディア)を想定し、想像力の翼を思い切り羽ばたかせて飛翔することができたのであろう。 花咲く果樹園、囲われた庭の楽園幻想、ラドン川清流に水浴する乙女たちの裸身、秋の森がもたらす豊穣の食卓と収穫祭、想い人の肖像画を掲げてその美を競う華麗なる馬上槍試合、鷹狩り、羊飼いたちの歌合わせなどの牧歌的世界。他方、牧歌世界の表面的なの平和の裏にひそむ危機、理性を圧倒する愛欲、遍歴を重ねた異国からの二王子の思わぬ来訪に、色めく老若男女が奏でる叶わぬ恋の狂詩曲。不動の美徳に憧れながら罪に赴き、時とともに己の反対物に変容する自己矛盾と不確実性。表層と違うものを隠しもち、互いの真偽を疑い、女装、偽装にすれ違う主人公たちの滑稽譚。逆境における青年男女の冒険と精神的成長。強圧的母性がもたらす恐るべき災禍。報われぬ善意と真心の悲哀と不条理。老王の時ならぬ田園への隠棲と、政務放棄に激怒する住民たちの暴動反乱。民意に対応すべき為政者の責任義務、暴君暴政、側近の役割、身分制格差社会、自然と人工、田園と都市の調和など。シドニーの『ニュー・アーケイディア』は、理想郷の夢幻世界と不完全な人間の生の現実を対比させて、英国ルネッサンス初産パストラル・ロマンスの代表作となったばかりでなく、自然の浄化力を称えるテオクリトス流の大陸の牧歌の伝統とは逆に、美しい自然にあってもなお浄化されない「自然界のあらゆる秘密のなかでもっとも暗い闇である人間の心の闇」の満たされぬ欲望と解決し難い矛盾を深く描いて、近代心理小説の先駆けとなったのである。 特に、シドニーの分身といえる理想の騎士アムファイアラスがフィロクリア姫に捧げる愛がことごく裏目に出て、絶望死する第三巻のくだりは、望んだ政治的中枢での活躍から遠ざけられながら、公益的活動への渇望やみがたく、筆を折って未完の原稿を親友のグレヴィルに手渡し、死を覚悟して激戦地に赴いたシドニーの最後の心境を思わせて痛切である。文の途中で終わっている絶筆に、絶頂期の若さの最中に生からひきちぎられて、死地に赴く有為の青年の決意と無念が込められて胸に迫る。アムファイアラスの死を悼むエレジーも感動的で、シドニーの若すぎる死を悼んで書かれた多くのエレジーを予告する絶唱である。盛期英国ルネサンスの代表的作品でありながら、現代にも通ずる普遍的問題への関心にも十分耐えうる稀有なこの傑作を多くの次世代にわたすために、ここに新装復刊を致す次第である。 緒 言 第一巻 第二巻 第三巻 訳 注 解 説   『アーケイディア』を愉しむために   訳者あとがき 2021/02/26 発売

運命論者ジャックとその主人[新装版]運命論者ジャックとその主人[新装版]

破格の世界文学  ラブレー、セルバンテス、スターンといったヨーロッパ文学の異形の系譜につらなり、シュレーゲルらドイツ・ロマン派の思考を刺激した後、現代においても『ブーローニュの森の貴婦人たち』のブレッソン、『ジャックとその主人』のクンデラといった芸術家たちを魅了しつづけてきた、ディドロ最晩年の傑作。フランス18世紀小説の白眉が、新たな訳でよみがえる。  うわべは「主人」とその従者「ジャック」のあてど知れない遍歴譚だ。旅する二人と出会う人びと、散りばめられたエロティックな小噺、首を突っ込む語り手らによる快活、怒涛の会話活劇が繰り広げられるが、とはいえその内実は、破天荒なストーリー展開、逸脱につぐ逸脱……主人はいつになったら、ジャックの恋の話を聞けるのか。「物語性」の決定的な欠如そのものが物語たりえていること、それこそがこの小説の身上だ。  運命論者ーーだとしても、人は誰しも筋書きのわからない、次の瞬間にはどちらに転ぶとも知れない曖昧な日常を生きている。ある意味ではこの酷薄きわまりない世界を、一片の悲哀を混じえることなくひたすら快活な笑いをもって描ききったこの傑作。装画はよしながふみ。 2022/05/02 発売

ほら話とほんとうの話、ほんの十ほど[新装版]ほら話とほんとうの話、ほんの十ほど[新装版]

鬼才の魅力を多彩な短篇で 『ラナーク』『哀れなるものたち』で知られるスコットランドの伝説的鬼才の短篇集が、待望の復刊! ファンタジーとリアリズム、笑いと哀しみ、アイロニーとウィットが混淆する饒舌な語りに思わず舌を巻くが、目に飛び込んでくる異彩を放つイラストも、作家自身の手になるもの。アリ・スミスをして「現代のウィリアム・ブレイク」と言わしめたグレイの多彩な魅力が存分に詰め込まれているのが本書なのだ。 学校を牢獄のように感じる〈わたし〉が、外へ出る想像上の〈ドア〉を恩師から授かる「ミスター・ミークル」。窒息するような現実から逃れようとする夢や欲望が、本書では多様なジャンルを横断しながら変奏される。コンピュータが導入された会社内でのちぐはぐぶりを皮肉った「内部メモ」。軟派で洒落者の鼻持ちならないイングランド人の男を揶揄した「あなた」。おしゃべりな歯医者に治療される不安と恐怖が迫る「トレンデレンブルク・ポジション」。なぜ靴下にガムがくっついているのか、その原因を綿密に理論化して可笑しい「時間旅行」。囲い込まれた世界に嫌気がさした男が、夢のような新しい移住先で体験する破滅の寓話「新世界」など──粒ぞろい短篇をほんの十ほど。 2024/05/02 発売

薔薇の名前[完全版] 上薔薇の名前[完全版] 上

*伊・ストレーガ賞受賞 *仏・メディシス賞受賞 *日本翻訳文化賞受賞 *BABEL国際翻訳大賞 *日本翻訳出版文化賞受賞 国内ミステリ・ランキング第1位 全世界で5000万部超の大ベストセラー 中世北イタリア、迷宮構造を持つ文書館を備えた修道院で 「ヨハネの黙示録」の記述に沿って、 次々に修道士が不審死を遂げる。 事件の鍵は文書館に隠されているらしい……。 世界の読書人を驚嘆させた 知の巨人エーコの問題小説 [完全版]刊行! これは、中世の老修道士アドソが、見習修道士時代の体験を回顧して綴った手記である。そこに記されていたのは、彼が訪れた、北イタリアの修道院で起きた連続殺人事件の顛末だった。アドソが付き従っていたのは、理知的て論理的で誰もが驚嘆する推理力の持ち主であるイギリス人修道士、バスカヴィルのウィリアム。彼とともにアドソは、修道院の誇る、迷宮構造を持つ謎めいた文書館に足を踏み入れることになる。本書は、初版刊行以来、エーコ自身が加えてきた数々の訂正、削除等をすべて反映したものになっており、巻頭には、そうした修正について、2012年版に作者自身が寄せた付記も収めた。 【[完全版]について】 ◆エーコ自身が下描きした、文書館の図面、登場人物のスケッチ等を収録 映画監督がコンテ絵を描くように、エーコ自身も登場人物のイメージスケッチ、中世の生活関連のスケッチ、文書館の図面などを描いていました。著者の思考回路をたどれる、貴重な図版です。 ◆別巻として刊行された「覚書」を収録 『薔薇の名前』刊行直後『「バラの名前」覚書』として而立書房から刊行されていましたものを、河島英昭先生が用意していた訳文を元に河島思朗先生が見直し収録。現行のイタリア語版『薔薇の名前』は巻末にこの「覚書」が収録されていますので、これで日本語版も同じ形になります。(河島英昭先生は、翻訳の途中で病に倒れられ、2016年に逝去されたため、ご子息の河島思朗先生に引き継いでいただきました) ◆刊行後、折々に加えられた訂正を元に修正 現行版の刊行までに長い期間がかかったため、現行版刊行時にすでに訂正されていたものも含む形で、最新の内容に合わせて修正しています。 ◆古典語がご専門の河島思朗先生による、ラテン語部分の見直し、並びに本文の訂正を加筆 【原著について】 今回の[完全版]の底本は、Il nome della rosa(La nave di Teseo刊の2020年版)となります。 2010年に訂正箇所を赤い文字で示したPDFが送られてきました。それによって確認作業を進めましたが、その後に、2012年版として、さらに訂正の加わったものに「覚書」が加えられた版が刊行されました。2015年には版元がLa nave di Teseoに移り、2020年版に至りました。 2025/12/25 発売

薔薇の名前[完全版] 下薔薇の名前[完全版] 下

作者自身の訂正、そして『薔薇の名前』覚書、 構想時のメモやデッサン等を併録した完全版! 迷宮の文書館に隠された秘密とは? 中世、異端、「ヨハネの黙示録」、アリストテレース、 博物誌、記号論、ミステリ…… 21世紀の今なお、 読書人を魅了しつづける 碩学エーコが構築した知の大伽藍! 北イタリアの修道院を訪れた、バスカヴィルのウィリアム修道士と見習修道士アドソ。ウィリアムは院長から、数日前に起きた、細密画家であった修道士の死について調べるよう依頼された。それは事故ではなく殺人であった。しかも修道士の不審死はさらに続き、「ヨハネの黙示録」の記述に沿うように起きていく。そしてすべての鍵は、迷宮構造を持つ文書館に隠されているらしい……。 本文執筆後に刊行された著者自身の覚書、エーコ自身による文書館や登場人物のスケッチなども収録した現行イタリア語版を底本とする、全世界の読書人を熱狂させた問題小説の完全版。 【[完全版]について】 ◆エーコ自身が下描きした、文書館の図面、登場人物のスケッチ等を収録 映画監督がコンテ絵を描くように、エーコ自身も登場人物のイメージスケッチ、中世の生活関連のスケッチ、文書館の図面などを描いていました。著者の思考回路をたどれる、貴重な図版です。 ◆別巻として刊行された「覚書」を収録 『薔薇の名前』刊行直後『「バラの名前」覚書』として而立書房から刊行されていましたものを、河島英昭先生が用意していた訳文を元に河島思朗先生が見直し収録。現行のイタリア語版『薔薇の名前』は巻末にこの「覚書」が収録されていますので、これで日本語版も同じ形になります。(河島英昭先生は、翻訳の途中で病に倒れられ、2016年に逝去されたため、ご子息の河島思朗先生に引き継いでいただきました) ◆刊行後、折々に加えられた訂正を元に修正 現行版の刊行までに長い期間がかかったため、現行版刊行時にすでに訂正されていたものも含む形で、最新の内容に合わせて修正しています。 ◆古典語がご専門の河島思朗先生による、ラテン語部分の見直し、並びに本文の訂正を加筆 【原著について】 今回の[完全版]の底本は、Il nome della rosa(La nave di Teseo刊の2020年版)となります。 2010年に訂正箇所を赤い文字で示したPDFが送られてきました。それによって確認作業を進めましたが、その後に、2012年版として、さらに訂正の加わったものに「覚書」が加えられた版が刊行されました。2015年には版元がLa nave di Teseoに移り、2020年版に至りました。(現在の版元La nave di Teseoはエーコが私財を投げ打って創設した出版社です) 2025/12/25 発売

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