出版社 : アムリタ書房
いま、注目を集めるビルマ。その厳しい社会状況の中で、たくましく“現実”を描出する女性作家たち-。ビルマ最高の文学賞《国民文学賞》を四度受賞のモゥモゥ(インヤー)始めマ・サンダーなどベテラン作家から新進まで12人が、庶民の多彩な夢と人生を活写して“知られざる国”ビルマを浮き彫りにする1974年〜85年の12作品。明日への希望をこめて綴ったビルマ《ミャンマー》の熱きアンソロジー。
ふとしたきっかけで56才の女性に、65才の男がせっせと恋文を送り始める。男側の恋文だけで成り立つこの小説は、デリベス得意のモノローグもので新小説の萌芽といわれる「マリオとの5時間」の延長線上にある。ユーモアとアイロニーに満ちたスペインの書簡小説。
筑豊人には百年の間、石炭採掘によって日本経済を支えたという誇りがある。その誇りこそが、雑草のように逞しい根強さとなって、若者達に伝承されなければならない無形の遣産だと思う。筑豊炭田に奏でる青春讃歌。
交通事故で、たったひとりの弟を失い悲嘆に沈む天涯孤独な美歩。彼女の悲哀のプロセスを見守る桂田にも、娘貴和を同じ事故で失った深い悲しみと、妻の狂気の苦悩があった…。励まし、すがる二人の間に生れた愛が、美歩を立ち直らせようとする時、桂田は死の周辺にむらがる黒い影を感じ、密かに追い続ける。
“不可避の死”の運命を背負った死の武器・特殊潜航艇乗員の坂田少尉と稲田二等兵曹。果たしてこの若者二人は真の勇者なのか、演技の英雄なのか-刻々とその時が近づく。軍港・呉から密かに特潜を運ぶ伊号24潜水艦内は、ハワイが近づくにつれ切迫した重い空気と狂気性が満ちてきた!。真珠湾奇襲まで単独航行1ヵ月。密室艦内に飛び交う鮮烈な男の死生観とエロチシズム。そして緊迫感-。三島由紀夫氏が絶賛した20年前の名作-今甦える!
それは、余りにも突然だった。死の定め、それが16才の少女に襲いかかってくる。それを知ったのは皮肉にも16才の誕生日だった。逃げ場の無い悲しみに心乱れ、自殺ばかりを考える少女。そんな少女を死の淵から救ってくれた冴えない青年に少女は心をひかれていく。そして愛するが故に、自分の気持ちを分かってもらうためについた嘘が思わぬ悲劇に発展していく。