出版社 : サンリオ
両親を亡くしたジャコバは職を探して、ロンドンへ出向く。面接では、スコットランドの老貴族の世話をする仕事だと聞かされ遠路、一人で旅立った。が、実は復讐劇の使者として利用され、裏切りによって女性すべてを憎む伯しゃくと対面するはめになってしまった。罵声を浴び、追い返されかけた際飼い犬にかまれ、負傷したのでやむなく城に滞在することになる。ある日、伯しゃくが密漁者に襲われ意識不明の重態におちいった。ジャコバは、医者から頼まれ伯しゃくの看護を始めたが…。
母の死後まもなく、カリータは大嫌いな義父から結婚を強要された。相手は財産家だが、初老の貫族である。意を決したカリータは家を出ると伯父のいるノーフォーク州を目ざした。その旅の途中で、偶然にも落馬事故を目撃し、必死で助けを求める。意識不明の男性は近所の農家に運ばれカリータも同行することになったが、二人は夫婦だと、女主人に勘違いされる。誤解をただしかけたカリータだったが、このまま夫婦を装っていたほうがひと晩の宿だけでも安心だと考え直し、あえて否定はしなかった。こうして、カリータの看護が始まった。
一代で莫大な富を築いたローランド卿は、財産目あての男が、一人娘のカシアに近づき、その富を蕩尽することを恐れ、勝手に結婚相手を決めてしまう。独断的な父親に反発したカシアは新聞の求人欄で、家庭教師の職を得た。そして本名を隠し、秘かに家を出るとドレッグホーン公爵の田舎の城へ向かう。そこで待ちうけていたのは、皆から厄介者にされてきた公爵の甥だった。だが、その少年、サイモンの真情を理解したカシアは、自分の秘密も打ち明ける。二人は協力し、難問に立ち向かうが…。
スコットランド高地では、昔から氏族同士の紛争が絶えなかった。今も、マックスティールとマクブララの両族が敵対し、一触即発の状態である。マックスティール族長の娘フィナは父と共に、強く平和を願っていた。その結果、フィナとマクブララ族の若者ブララデール伯爵との縁談がもち上がる。一方の伯爵は、ロンドンでの生活を享受していたが、故郷の現実を知り、若き族長としての義務感に駆られる。二人は気の進まぬまま、一族のためについに結婚を承諾したが…。
父のアーメロン伯爵が旅先で再婚!その報せに、レンシアとアリスの姉妹は驚いた。継母の身勝手のせいで、父と約束したフランスの古城巡りも一旦は諦めざるをえなくなる。だが、妹をがっかりさせたくなかったレンシアは、若い未亡人を装いアリスと共に予定通り旅立った。そして、ロワール地方へ向かう途中でモンリシャール公爵と出会う。かれは姉妹へ城への滞在をすすめ、ショモン城のガイド役を申し出たが…。
公爵のビクター・ブルック卿はビクトリア女王を教母と仰ぎ、側近として、その寵愛も深かった。だが、宮廷の女官との戯れの恋が発覚し、女王を怒らせてしまう。そして懲らしめのためか、社交シーズン中に、ある使命が下された。政略結婚によって、小国ザラリスに嫁ぐシデラ女王の付き添い役である。英国軍艦に乗り込んだビクター卿は王女に対面し、その美貌と聡明さに驚いた。船旅は、予想外に楽しい日々となり、一路、ザラリスに向かっていくが…。
アードウィック伯爵は激怒していた。内密に婚約していたヘロイーズから一方的な破棄を宣告されたからだ。そんな折り、馬車の事故に遭遇し、弟連れの美しいルピータを救いだす。二人の父親とは旧知の間柄で深刻な事情があることを知った伯爵は姉弟の後見人をかってでた。そして、婚約者と出席する予定だった注目の仮装舞踏会へルピータを同伴しようと思いつく。その当日、華麗なるクレオパトラに扮して、ルピータがあらわれた…。
退役したメルヴァリー侯爵は、愛人達の裏切りなどで、ロンドンの生活に幻滅してしまい、失意のまま故郷の館へと向かう。その途中、馬場の事故に遭遇するが、その一台に乗っていたクリスティーナという美少女は、侯爵の領地内で乳母と二人きりで暮らしていた。だが、既に両親は亡く、強引な男に迫られて怯えながら過ごす毎日らしい。そんな事情を知った侯爵は、付添い役を捜し、自分の館に引き取ろうと決心するが…。
世界中の女性に愛される女流作家の生涯。94歳をすぎてなお現役作家として活躍し、総刊行点数が600冊を越え、ダイアナ妃の義祖母で、イギリス王室にも親しい世界的な女流作家による自伝的回想。
父のシェンレイ卿を亡くしたカイラは未亡人となった義母の恐ろしい計画を知る。遺産を狙って、跡とりの弟の殺害を企てているのだ。その夜ふけ、二人はロンドンの屋敷を忍び出た。今ではグランストン伯爵のリリーコート城にいるばあやだけが頼りだ。二人は励まし合って長い旅路を急ぐが、義母の魔手は容赦なく迫ってくる…。
燃えつきようとするわが家を、アリーナは弟のゲリーと共に呆然と見つめていた。召使いの不始末による火災だった。いまや姉弟には、隣のメルドン・ホール以外頼るあてはない。しかし、地主のメルドン侯爵の評判は、かんばしいものではなかった。二人が意を決してメルドン・ホールへ行ってみると、長い間不在のはずだった、メルドン侯爵本人がいた。
エヴァは父のヒリングトン卿と共に亡き母の故郷であるパリへやって来た。ところが、その父も心臓発作で急死してしまった。やっと葬儀を終えたあとエヴァは高価な飾りボタンの紛失に気づく。その行方を求めて、父の倒れた場所が悪評高い館とも知らず、エヴァはその館に赴いた…。
セジウィン卿のひとり娘ノリーナはたぐいまれな美貌ゆえ、継母から憎まれている。そのヴァイオレットは、実母の遺産までも狙っているらしい。ある夜、ノリーナが自分の夕食を猫に与えると目の前で苦しみながら死んでしまった。ヴァイオレットが毒殺を企てたのだ。継母のたくらみをさとったノリーナは屋敷を出る決意をし、計画を練る。
1066年。イギリスはノルマン軍の手中に落ちようとしていた。ダーケンウォルドの領主の一人娘エイスリンも、戦乱に巻き込まれ、父やその部下たちは目の前で惨殺される。エイスリンも、命はたすかったものの、母とともに奴隷という屈辱の身の上にあった。誇り高く、ブロンドの髪とすみれ色の瞳の美しいエイスリンを、略奪の騎士ラグナーは無理矢理に自分のものにしようとする。やがて、新して領主ウルフガーが入城。エイスリンは傷つき、激しい憎しみと愛のうねりの中にのみこまれていく。
エイスリンは、いつしかウルフガーの孤独の影にひかれていった。父の領土を略奪し、自分を奴隷としてひざまずかせる男からの寵愛。ふたりの魂は複雑に絡み合い、運命の糸は紡がれていく。身篭ったエイスリンは、その新しい命があの狡猾な男ラグナーの子ではなく、愛するウルフガーの血を引くものであってほしいと望み苦しむ。略奪と愛に、名誉を掛けて激しく戦う騎士たち、愛に揺れ動く美しい女たち-11世紀のイギリスを舞台に繰り広げられる、壮大なる長編歴史ロマン。
社交界にデビューしたばかりのヴァレリアに、フランス人公爵との縁談がもちあがった。ヴァレリアはかれのシャトーを訪れることになり、兄のアントニーとともに南フランスへ向かう。ところが、アントニーは妹を強引に説きふせ見合いの前に、評判のカンカン見物をしようとピアリッツに立ち寄った。変装をして出かけたダンスホールで、ヴァレリアはレイモン・サヴァンと名のる伯爵に出会う。
1799年、イギリス。ヘザー・シモンズは17歳になったばかりだというのにすでに両親はなく、冷酷な伯母のもとで辛く希望のない日々を送っていた。そんな折、伯母の弟ウィリアムがやってくる。アイリシュの血をひいた美しいヘザーをみるなり、好色な彼は甘言を重ねてロンドンに連れ出した。罠と気づいたヘザーに襲いかかるウィリアム…もみ合ううちに胸にナイフが突き刺さる。「私は人を殺してしまった。」背後から呼びかける追手の声にすべてを諦めた彼女だったが…。
貿易船フリードウッド号の船長、ブランドンと一夜を共にしたことから、ヘザーの人生は大きく変わっていく。子供をみごもっていたのだ。ヘザーは子供のために偽りの結婚式を挙げる。ブランドンの故郷アメリカに向かった二人を待ち受けていた、人々の好奇のまなざし、様々な事件、心の葛藤…それでも、やがて本当の愛が芽ばえ、甘い日々が続くようになった。そんな折、不審な事件が相次いで起こる。しかも、その疑いがブランドンにかけられているというではないか…。